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シャカムニの使者☆にゅうめんマン  作者: 奥戸ぱす彦
9章 にゅうめんマン最大の敵
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にゅうめんマン最大の敵(3)

多麻林の放つ邪悪なオーラは天に達して嵐を巻き起こした。晴れていた空はにわかに分厚い雲に覆われ、風が吹き、雷が鳴り、大雨が降り始めた。多麻林は、こんなこともあろうかと思って用意しておいた折りたたみ傘を懐から取り出し、頭上に差した。


にゅうめんマンは傘を持っていなかったので、冷たい冬の雨を避けて、屋根付きの正門の下に退避した。すると多麻林がにゅうめんマンに向かって叫んだ。

「逃げるのか、にゅうめんマン!その行動が何を意味するか、お前は分かっているのか」

「どういうことだ」

「これは、俺とお前との戦いでもあり、ひやむぎとにゅうめんとの戦いでもある。つまり、お前が俺から逃げるということは、ひやむぎに対するにゅうめんの敗北を認めることだ」

「何だと……!」


それを聞いたにゅうめんマンは、寒いのを我慢して、正門の軒の下から、広場にいる多麻林の前まで出て来た。


「雨を降らせるのをやめろ」

 にゅうめんマンが要求した。

「嫌だと言ったら?」

「嫌だと言うなら、こうだ!」

 にゅうめんマンは傘を差して突っ立っていた多麻林を張り倒した。多麻林はあえなく地面に倒れ、雨もやんだ。


「きさまぁ」

 多麻林はすぐにゆらりと立ち上がり、にゅうめんマンをにらみつけた。

「にゅうめんのくせに生意気だぞ!!」

そして、怒りに震える拳でにゅうめんマンに殴りかかった。

「ぐふぅ」

 多麻林の猛烈なパンチをくらって、今度はにゅうめんマンが地面に倒れる番だった。


「……はぁはぁ。俺は手加減したのに、本気で殴ったな」

 地面から起き上がって、にゅうめんマンは抗議した。

「にゅうめん風情が調子に乗るから痛い目に合うんだ」

 相手を侮辱ぶじょくするように多麻林は言い返した。

「にゅうめん風情だと?ひやむぎがにゅうめんに勝てるなどと、本気で思っているわけじゃないだろうな」

「もちろんそう思っているさ」


「現実を見ろおおぉぉぉ!!!」

 にゅうめんマンの鉄拳が多麻林のほおに炸裂した。

「ぐふあぁぁっ!!」

 多麻林はもんどりを打って再び地面に倒れた。


「冷静になれ。ひやむぎみたいなマイナー麺類がにゅうめんにかなうはずがないじゃないか。にゅうめんどころか、春雨に勝てるかどうかも怪しいぞ」

 広場の敷石の上に横たわる多麻林に、にゅうめんマンは言い放った。

「ちくしょう……」

 多麻林は半泣きになっていたが、それでも地面から立ち上がった。


「ちくしょう!お前なんかに……お前なんかにマイナー麺類の気持ちが分かってたまるか!!」

 先ほどと同じように多麻林はにゅうめんマンに殴りかかった。だが今回は正面から受け止められてしまった。

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