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シャカムニの使者☆にゅうめんマン  作者: 奥戸ぱす彦
7章 にゅうめんマン、悪の教団に乗り込む
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にゅうめんマン、悪の教団に乗り込む(14)

坊主たちが仲間割れしている機会をとらえて、にゅうめんマンは中庭から建物の中へ逃げた。秋の海に大量発生して発電所の取水口を詰まらせ関係者を困らせるクラゲのように、無数に湧き出る坊主たちの相手をするのに疲れてきたのだった。だが、坊主たちも黙って逃がすほど甘くはなく、水中部隊との争いを放っておいて、建物の中へ逃げたにゅうめんマンを追いかけた者も多かった。


この建物は3階建てで、大きな中庭を取り囲むように建っていた。にゅうめんマンは廊下と階段を猛烈なスピードで走り、坊主たちの追跡を振り切ってから、廊下沿いの部屋の扉をいくつか空けてみて人がいない部屋を見つけ出し、そこに身を隠した。そうして思ったよりはたやすく追手をまくことができた。次は、坊主たちに見つからないように管長の部屋を探し出し、失踪した三輪さんのことを問いただなければならない。敷地全体の様子はよく分からないが、見たところ一番大きくて立派なこの建物に、組織のトップである管長の部屋もあるだろうと、にゅうめんマンは考えていた。


   *   *   *


その少し前、敷地内の別の建物の一室では、先日にゅうめんマンと戦った5人組の六地蔵ファイブが、頭脳を鍛えるためにトランプで神経衰弱をしていた。結構盛り上がっていたのだが、突然けたたましい音で非常ベルが鳴ったのでみんな驚き、火事だったりしたら危ないから、ひとまず屋外に出た。そこで1人の警備員がたまたま目の前を通りかかったので、六地蔵ファイブの紅一点である卦六臂がそれを捕まえて尋ねた。

「ねえ。何が起こってるの」

「不法侵入者があったようです。皆さんも警戒を怠らないでください」

「分かった。ありがとう」


どんな侵入者か知らないが、敷地中の非常ベルを鳴らすとは大げさだ。放っておいても誰かが何とかしてくれるだろう。火事などではないことが分かったので、5人は警報を無視して再び自分たちの部屋に引っ込み、頭脳の鍛錬を再開した。六地蔵ファイブは侵入者と遊んでいるほど暇ではないのだ。


ところが、5人がトランプを続けている間にも騒ぎはますます激しくなった。あんまり騒々しいので、全員でまた建物の外まで様子を見に出た。すると、本館の方角に走る坊主に出会ったので、今度は六地蔵ファイブ1号がこの坊主を捕まえて尋ねた。

「不法侵入者があったと聞いたが、それにしては妙に騒がしい。何が起こっているのか事情を知っていたら教えてくれないか」

「それが、その不法侵入者というのがべらぼうに強い男で、大暴れしているのを誰も止められないらしい」

「警備員が束になっても取り押さえられないほど強いのか」

「警備員どころか、あの空中部隊を壊滅に追いやったそうだ。頭も切れるようで、水中部隊も、この男の巧みな策略におちいって危ない状況らしい」

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