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シャカムニの使者☆にゅうめんマン  作者: 奥戸ぱす彦
4章 にゅうめんマン vs 理科系の男
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にゅうめんマン vs 理科系の男(5)

だが、衝突の衝撃から回復するのは、やはり攻撃をしたにゅうめんマン方が早かった。にゅうめんマンは一足先に立ち上がって、商店街の通路に横たわる羽沙林に注意深く近づき、渾身の力を込めて腰の辺りを蹴飛ばした。羽沙林はくぐもったうめき声を上げ、巨体がタイル張りのフロアをごろりと転がった。にゅうめんマンは足が痛くなるほどの強烈な蹴りをもう一発お見舞いした。そしてさらに、うつ伏せに倒れていた羽沙林の体を抱え

「でやぁ!」

 という掛け声と共に頭の上まで一気に持ち上げて、ダメ押しのジャーマン・スープレックスを決めた。推定体重200キロの体が落下する大きな音がアーケード街にひびく。どれほど優れた体格の持ち主も投げ技のダメージからは逃れられない。


さて、激しい戦いを繰り広げる2人の周りには徐々にギャラリーが集まって来た。恐ろしい坊主たちの行列がいなくなったので、野次馬根性を発揮して隠れていた場所から出て来たようだ。中には観戦(?)する距離が近すぎて危ないだろうと思うおばさんもいたが、必死で戦っているにゅうめんマンはそんなことまで面倒を見ていられない。巻き込まれて怪我をしても自己責任だ。


それはともかく、野次馬たちの見ている前で、にゅうめんマンは地面に伸びている羽沙林に言った。

「もう降参しろ。このまま黙って帰ればよし。そうしないと、大怪我をしたり、それ以上の事故が起こっても知らないぞ」

「なんの。まだまだだ」

 羽沙林は深呼吸をしてから、ゆらりと立ち上がった。あれだけぼこぼこにやられてまだ立ち上がるのだからつくづくタフだ。態度にも不思議な余裕を感じる。


それから少し、お互いの出方をうかがうにらみ合いの状態になったが、やがて羽沙林が近くに停めてあった自転車をにゅうめんマン目掛けて投げつけた。にゅうめんマンは横に飛んでそれをよけ、地面に落ちた自転車を投げ返したが、羽沙林に片手で苦もなく弾かれてしまった。それから羽沙林はにゅうめんマンに詰め寄ってポンポンとパンチを打ち込み、先程にゅうめんマンを転ばしたローキックも混じえて、再び連続攻撃を仕掛けた。にゅうめんマンは後じさってかわしつつ、ちょくちょく反撃を試みたが、リーチが短い不利がたたって、なかなか攻撃が決まらなない。それどころか延々と繰り出される相手の打撃をよけ続けるうち、ふとした拍子に気持ちが緩んで、とうとう肩にジャブをもらってしまった。

「ぐっ」

 結構こたえたものの軽いジャブだったので重大なダメージにはならなかった。ただし問題はその後だ。にゅうめんマンがジョブを食らってひるんだ一瞬に、羽沙林が恐ろしい技を繰り出したのだ。

「現代医学チョォォーップ!!」

 羽沙林の放った手刀は背筋の凍るようなうなりを上げて空を切った。間一髪のところでにゅうめんマンはかわしたが、坊主の指先がにゅうめんマンの腕をかすって痛々しい切り傷を作った。メジャーリーガーがフルスイングしたバットにも、これほどの破壊力があるだろうか。

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