表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シャカムニの使者☆にゅうめんマン  作者: 奥戸ぱす彦
1章 にゅうめんマン参上!
2/104

にゅうめんマン参上!(2)

「誰だ!」

 坊主たちが声のする方を見上げると、二階建ての家の屋根に、スピードスケートのユニフォームのようなぴちぴちの黒い服を着た男が立っていた。その服には「にゅうめん」という金色の斜め向きの文字が、全身にいくつもプリントされている。顔には同じ柄の覆面(ふくめん)をかぶっていて、見るからに怪しい。

「俺はシャカムニの使者、にゅうめんマンだ。今すぐその家族を解放して街から出て行け」


それを聞いた坊主たちは声を上げて笑った。

「いかれているのは服装だけではないようだな。これだけの集団相手に1人で何ができる。お前の言うことなど聞くものか」

「何ができるか今見せてやる。とぉっ!」

 にゅうめんマンは軽やかに屋根から飛び降りて道路に着地した。


「取り押さえろ!」

 坊主の1人が叫んだのを合図に、数十人の坊主たちが一斉に男に飛びかかった。にゅうめんマンはあっという間に坊主に埋もれて見えなくなった。


「大口をたたいたくせにたわいもない」

 リーダー格の坊主は言った。ところが、すぐに坊主たちの山の下から大きな雄叫びが聞こえた。

「うおおぉぉぉーーーっ!!」

 下敷きになっていたにゅうめんマンは、ものすごい力で坊主たちを突き飛ばし、坊主山から脱出した。あっけにとられている坊主たちの前で、にゅうめんマンは家の壁を背にファイティングポーズをとった。


「さあ。どっからでもかかって来い」

「何だと。調子に乗るな!」

 坊主たちは次々ににゅうめんマンにおどりかかった。だが、にゅうめんマンはすべての攻撃を正確にかわし、襲いかかる相手1人1人にいなずまのようなパンチを叩き込んだ。この猛烈な打撃にたえられる者はなく、坊主は次から次へばたばたと倒れていった。やがて、あえて攻撃をしかける者もいなくなった。


「やむをえん。引き上げだ!」

 リーダー格の坊主の合図で、坊主たちは一斉に逃げ出した。道にのびていた坊主たちも、意識のある者は苦しそうに立ち上がって逃げて行った。気を失っていた者も、にゅうめんマンにたたき起こされてよたよたと逃げ去った。


「母ちゃん!恐かった」

 恐ろしさに立ちすくんでいた子供が母に抱きついた。

「よしよし。もう大丈夫だよ」

「妻よ!子よ!無事でよかった」

 父も涙に目をくもらせて妻子に歩み寄ったが、どちらからも無視されたのでこの世の終わりみたいな顔をした。


ひとしきり子供を抱きしめてから、いじけている夫に代わって妻がにゅうめんマンに礼を言った。

「助けていただいて本当にありがとうございます。何とお礼を申し上げてよいやら」

「どういたしまして」

「それにしてもすごくお強いんですね。私、強い男の人がタイプですのよ」

 妻はハリウッド女優も真っ青のウインクをした。にゅうめんマンは見なかったことにした。


「それじゃあ、坊主たちは退散したので俺も帰ります」

「今すぐ帰るんですか?うちでゆっくりしてらしたらいいのに」

「気持ちだけありがたくいただきます。さようなら」

 まばゆい太陽に照らされて、にゅうめんマンは徒歩でどこかへ帰って行った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ