表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シャカムニの使者☆にゅうめんマン  作者: 奥戸ぱす彦
2章 にゅうめんマン vs 悪の教団幹部
11/104

にゅうめんマン vs 悪の教団幹部(9)

自分の番になったら5分以内に答えないと負けというルールで、しりとりは根子丹から始まった。

「俺からいくぞ『しりとり』」

「えーと……り、り、離島」

「ウニ」

「に……にゅうめ……はっ、いかん!」

 にゅうめんマンは早くも負けそうになったが、ぎりぎりのところで踏みとどまった。


《危ないところだった……》

 冷や汗をかいたものの、にゅうめんマンは気を取り直して

「庭」

 と言い直した。

「『わ』だな。ワニ」

「に……にゅうめ……ダメだ、ダメだ!俺ってやつは、同じパターンで負けそうになるなんて。俺の答えは『ニンニク』だ」

「ニンニクね。……口紅」

「にゅう……ニューヨーク」

「くぎ煮」

「に……にゅう……入学式」

「北国」

「に……にゅ……にゅう……」


《何てこった。「に」ばっかり来やがる》

 そこで、にゅうめんマンはハッと気が付いて根子丹の顔を見た。するとそこには、悪魔的な笑みが浮かんでいたのである。

「言いたいんだろう。あの言葉が。世界で一番おいしい、あの食べ物の名前が」

 にゅうめんマンの心を見透かすかのように根子丹は言った。すべては巧妙に仕組まれた罠だったのだ。

「汚いぞ根子丹」

「何が汚いもんか。俺はルールにのっとってしりとりをしているだけだ。さあ、お前の番だぞ。早く答えろ」

「にゅう……ニュース」

「スベスベマンジュウガニ」

「何がスベスベだ。ばかにしやがって」

「正義の味方が負けおしみか。情けないね」

 根子丹は相変わらず邪悪な微笑を浮かべている。

「さっさと吐いちまって楽になれよ。あのめん類の名前を」

「刑事ドラマみたいなこと言ったって俺は負けないからな。――にしきごい」

「イリエワニ」

「に……にゅ……にゅう……ううぅ……」


   *   *   *


そんな調子で2人の戦いはしばらく続いたが、長く続くほど、言いたいことの言えないにゅうめんマンの精神は衰弱していった。

「……にゅう……にゅう……入荷日」

「ビタミンB12」

「にゅ……入港」

「ウンベルト・ボッチョーニ」

「誰だよそれは。聞いたことがないぞ」

「20世紀に活躍したイタリアの画家だ」

「実在したんだろうな」

「もちろんだ。ごちゃごちゃ言わずにさっさと答えたらどうだ」

「こんちくしょう。……にゅう……にゅう……にゅうめ……」

「にゅうめ……?」

「……ニューメキシコ州」

「ちっ。しぶといな。――うち死に」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ