9/22
8、魔女は猟師に頼んだ
「おじさん。呪いの依代を殺して欲しいのだけれどお願い出来ますか?」
魔女だからといって筋力などに優れているわけじゃない。
貴族に囲まれがちな呪いの依代を殺す事は私には難しい。
だから信頼ができる猟師のおじさんに頼んだ。
こういう汚れ仕事は昔から魔女の協力者である猟師に頼む事が多いらしい。
初代様もそう言っていた。猟師の一族はそういう仕事と引き換えに優先的に魔女から助けを受けられるとか。
そういう契約なのだ。気にする事はない。
「わかった」
おじさんは私の手引で王城に入り、彼女を連れて王城を出た。
呪いの依代もこの王城から消えたし、私もこれで王城から出る事ができる。
彼からも離れる事ができる。これでもう問題はないはず。
おじさんには悪いけど先に家に帰ろう。ここはやっぱり私の居場所じゃない。
この空気が私にはとても好きになれない。たまに感じる視線も気持ち悪くて仕方がない。
人に見られるのは好きじゃないって事がよく分かった。