5、魔女は王城へ行った
「ベラドンナ様。少しお耳に入れたいことが」
初代様がある日私にそう話しかけた。
何でも魔女の呪いが見つかったという。
このままでは世界が壊れるかもしれないとさえ言われた。
場所はあいつがいる場所。王城だ。
顔を合わせたくない。でもこのままではいけない。
おばあちゃんがしていた仕事だ。他にする人もいない。
やらない理由をたくさん頭に思い浮かべてしまう。
他にもやる仕事があるとか。あいつに顔を合わすのが面倒くさいとか。
でも私がやらなければ世界が壊れてしまうのだろう。
世界が壊れたら私も生きられないだろう。
初代様も悲しそうな顔をすることだろう。
おばあちゃんはどう思うだろうか。悲しむだろうか。
私は嫌だ。でもしなくちゃいけない。
王城にどうやって入るかといえばあいつに頼むのが無難だろう。
私は隠れるのが不得意だから大手を振って王城を歩けないと呪いの元が見つけられない。
それにしても魔女の呪いね……。厳密には魔女の修行から逃げた弟子の呪いだとか。
魔女が現世に関わってはいけないという理由になったお弟子さんがかけた呪いだろうか?
魔女になった私でも世界を脅かす程の呪いなんて作れないのにどうやったのだろう?
まぁ、いい。魔女の弟子の始末は魔女じゃないと出来ないし、これは仕方がない事なんだ。
「……気が乗らない……」
自分から断ったくせに用事ができたから向かいます?
言葉を翻すのはとても嫌だ。だが私じゃないと見つけられない。
魔女の呪いには魔女が対応しないといけない……。
私は筆を取りあいつへと手紙を送った。