プロローグ
完結まで1時間置きに投稿されます。1話1話短いです。
挿絵をつけて絵本風に出来たら良かったんですけど、そこは皆様の想像力にお任せします!
欲望に塗れたモノは欲望の果てに死ぬがいい。
白い雪のように、暖かい綿のように見えて、氷のように冷たい。
黒檀のように、例え死ぬことがあろうと、何度も美しく蘇る。
血のように、紅くさらさらとしながら、時が経てば粘着き固まり腐り落ちる。
私の子よ。私の命を奪え、その身で復讐を。
「だぅだぅ」
黒髪のその赤子は親の呪いを一身に受けてこの世に生を受けた。
その深い青い瞳を見たものは一様に心を奪われた。
白い肌は新雪の如く、黒い髪は黒檀の如く、唇は血の様に紅い。
その女の子の名前はマルガレータ。
後に「白雪姫」と呼ばれる女の子である。
彼女が生まれ落ちた時、彼女の母親は命を落とした。その死に顔はどこか満足気だった。
産婆達は子供を無事に産む事が出来たから幸せな表情でこの世を去ったのだと噂した。
彼女は産婆達に世話をされながら彼女の父に面会した。
彼女の青い瞳に魅了された父王は国政を忘れ、いつ何時もマルガレータの側を離れたくないとワガママを言った。
まともな官僚もマルガレータの青い瞳に心を狂わされ、政治の滞りはどうしようもないところまで行ってしまった。
当時7歳前後だった正妃の息子はマルガレータに狂わされた貴族に命を狙われた。
正妃は仲の悪い側妃の娘と顔を合わせる事がなく、狂っていく宮廷から息子共々命からがら逃走。
正妃は追っ手に討たれ死んでしまったが、最後の力を振り絞り息子を果ての魔女へと預けた。
「ねぇ、お父様? 私、これが恐いの」
「わかった。おいっ! 全て失くせ! この国から全てだ!」