逃走にて
どこまで走ったのだろうか。
男→安藤昌は今まで走ることをやめた元ランナーである。走ることを生きがいにしてたが膝を壊した。
挫折は男の自信と生きがいを奪う。そこからは引きこもりのニートへと変わった。
親の仕送りでワンルームの安いアパート。狭い世界の中生きていた。
久しぶりの走りで胸の鼓動が激しい!!ここで止まればすごく楽のだろうか。
なぜか男は走るのをやめない。このモヤモヤした気持ちを振り払いたい思いで走り続ける!!
「はぁ、はぁ」
後悔はした日々が走馬灯に流れてくる。親に迷惑をかけた自分。言い訳をしてなにもしない日々。
もう守るものがないプライド。
なのになにも動けない。
ジタバタするしかない。
だんだんと頭が重くなってくる。
この現実から逃げての毎日。一歩だけでいいから前へ歩みたかった。
「はぁはぁ」
こんな状況なのにただ走るのみ。
何がしたいわけでもなく。
ただ茫然としてた。
このまま老いて一人で死ぬのだろうか…
嫌だ嫌だ。
「はぁ、はぁ」
一回だけなにかを決意して婚活パーティー行ったがなにも話さずお金だけ払って終わった記憶。
アパートから出るまでは決意したのにどうしたのだろうか。
女性の前だと決意した心が粉々に粉砕する。
なにをどうして今、走っているのか分からない。
「あれ…?」
体力の限界なのか男の視界が暗くなってきた。
そう。力尽きたのだ。