シラコメ普及
一瞬で王都に着いた事にリリーはびっくりしていた。
「驚いたな。亜空間移動って本当に凄いんだな。」
オニキスにお子様抱っこしてもらい、列の最後に並ぶけど、例によって列の前に流される。
「王都へようこそ、聖女様」
「わお、さすがだね」
「んー、何故かね?」
マントを付けていたのに何故分かったんだろう?
道行く人も殆どの人がこちらを振り返る。マントのフードも被った方がいいだろうか?
それとも抱っこされてるから目立つのかな?あとは、頭の上のヒスイが目立つか。
(ヒスイ、目立ってるから、影に入って?)
(あたちのせーじゃないのー。るーが目立つのー)
(へ?何で?)
(案外本人は分からないものなんだね)
(周りにいた人たちもルーナちゃんに気づかせてあげないのが悪いわ)
(何の事?また光っては…いないよね?)
(私達は慣れてしまったけど)
〈主様のご威光ですね〉
んー?よく分かんないなー。
バートの屋敷に行ったら、仕事に行っていると言われた。へえ。ちゃんと仕事してるんだ。等と失礼な事を考えてしまった。
「あの、よろしければ直接会いに行かれては?」
「へ?でもお城にいるんだよね?勝手に行っちゃだめじゃん?」
「いいえ、喜ばれると思います。ヒューバート様のご両親も、ルミナリア様の話しを聞いて、とても感謝しておられたので」
「感謝、ですか?」
「何でも、アルフォンス様と共にヒューバート様が変わるきっかけを作って頂けたとかで」
「私は、別に…散々変態呼ばわりしてたし」
「それでも、普通に扱ってもらえたことは、とても嬉しかったようですよ?」
まあ、それは分からない気がしないでもない。
「あ、なら私は王都見学でも…」
「逃がさないよ?リリー」
有無を言わせぬルーナに、リリーの顔がひきつる。
「え、えええ…」
なら、王様にもおにぎりを食べてもらおう。たくさん複製しておいて良かった。
お城と言えば、つい最近嫌な思いをしたばかりだけど、自国の王様はろくでなしだと思いたくないなー。
門番さんにバートに会いに来たと言ったらすぐに通してくれた。
通された部屋には、王様と王妃様、そしてバートがいた。
「よお、ルーナ、久しぶり。妹が生まれたんだって?」
「先に言っとくけど、妹に手は出さないでね」
「だから、私はロリコンじゃないと言っているだろう?後ろのお嬢さんは友達?」
「リリアーナ エレインです。初めまして」
「今日は、シラコメのおにぎりを持って来たんだけど、あの…王様達も良かったらどうぞ」
「遠慮なく頂くわ」
冷めても美味しいけど、収納庫から出したてなので、ほかほかだ。
「へえ…ほんのり甘くて、塩がまぶしてあるのか。海苔で巻いてあるから手もべたつかないし、…お?中に何か入っているな」
「ツナマヨだよ。えっと…オーマノマグロを油漬けにしたものを、マヨネーズで和えたんだよ」
「このマヨネーズというのもルミナリアさんが考え出したと聞いたわ。本当に多才なのね」
二人の男性が入って来た。
「私の兄達だ」
おお、王太子と次期宰相だね。
「初めまして。ルミナリアです」
「こちらこそ、小さな聖女様」
「弟が世話になったそうで」
「別に、お世話はしてませんけど。でも少し、安心しました。家族とわかり合えたみたいで」
「忙しさにかまけて放っておいた私たちも悪かったがな」
「まあ、私が馬鹿だったんだよ」
「それは知ってる」
「ぐ…」
「で?どう?」
バートは溜息をつく。
「相変わらずみたいだね」
「看破使わなくても勝手に逃げるんだよ。ルーナ、やっぱり眷族に」
「またお前は」
「馬鹿な弟で済みません」
「ちゃんと結婚しなさい!」
「リリアーナさん?あなたはどう思います?」
「ルーナの事は私も大好きなので、気持ちは分からなくもないですけど、人としての人生から逃げるのは違うと思います」
「はあ、どこかに物好きはいないもんかね?」
「その魔眼がなくても、バートだからね」
「おい、全否定するなよ」
「まあ、それはどうでもいいとして、シラコメはどうですか?」
「うむ。パンや麺の他にも選択肢が広がって良いと思う」
「そうだな。調理の仕方が少し難しそうだが、慣れれば何とでもなるだろう。その炊飯器とやらの魔道具も、便利そうだし」
「王都へも量次第だが、広まるだろうな」
「あとはいかにたくさん作れるかですけど」
あとは需要が高まれば、増えてくるよね。




