表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/70

アクアとシラコメ

 夏野菜の収穫が終わり、陸稲が黄色に染まる頃、妹が生まれた。

 陣痛が始まった時、寝ていたお母さんは、朝早くに起きた時、陣痛が5分間隔になっていて、周囲を慌てさせたが、本人はけろっとしていて、寝ていたから気がつかなかったと堂々と言っていた。

 そして、その日の午前中には生まれた。

 生まれた赤ちゃんは銀の髪に水色の瞳の、お母さんによく似た赤ちゃんだった。

「アクアってどうかな?」

「いい名前ね。それにしましょう。ありがとう、ルーナ」

 およ?名付けたら私の加護がついた。まあ、元々付けるつもりだったからいいんだけど。


 産着にくるまれたアクアを抱っこさせてもらった。ちっちゃくて柔らかくて、可愛い。

「お姉ちゃんだよー」

 つぶらな瞳が可愛い。

 夏休みが終わったばかりのお兄ちゃんだけど、週末には帰ってくるらしい。


 父様がラースからシラコメの種籾を輸入したので、見に行った。古い種籾も混じっていたので、再生をかけた。来年から栽培する農家は決まったらしい。

 父様に栽培方法から全て教えてほしいと言われたので、発芽から栽培方法をまとめて、食べるまでの方法を紙に書き出した。一応炊飯器を使わないで炊く方法も書いた。

「本当に凄いな、ルーナは。神でなければどこに出しても恥ずかしくない、立派な伯爵令嬢なのに」

「私の事は諦めて下さい、父様」

 私の身長は、生命神になった時から止まっている。それを知った時には愕然としたけど、どこか納得もした。もう人とは違うものなのだ。


 陸稲の収穫が始まった。新米は涙が出るほど美味しかった。やはり私のソウルフードは米なのだ。

 家族のみんなも気に入ってくれて、来年も畑の一面は陸稲を育てる事になった。

 約束通り、リリーにはおにぎりにして持って行ってあげた。

 初めて食べるシラコメの味にリリーもすごく驚いていた。ボルドーの街で栽培する話をしたら知っていたようだ。

「エレインの港から輸入してボルドー領に届けたんだよ?」

 あ、そういう事なのか。

「腹にも溜まるし、何より美味しい。絶対普及するよ、これは」

「もちろん。ああそうだ。バートの奴にも持って行ってあげようかな?」

「ふうん、なら、私も連れて行ってくれない?同じくルーナを好きな同士なら、気が合うかもしれないし」

「いいけど、看破されても怒らないでね?」

「生憎と、知られて困るような生き方はしてこなかったつもりだからいいよ」

 うん。友達になれたらいいな。亜空間移動だから、移動は一瞬だし。

「その前に、私の亜空間にリリーを招待するよ。良かったら泊まっていく?」

「なら、今日はルーナはうちに泊まる事にして、実際は亜空間でお泊まりだね!楽しみ!」

 

 リリーのお父さんにもシラコメのおにぎりを渡してお礼を言ったら、逆にお礼を言われた。

 ボルドーの領主と話してから、ずっと気になっていたらしい。実際にシラコメを食べて心を動かされたようだ。

「これなら我が領でも育ててみたいな。ルミナリアさんは栽培方法を知っているかな?」

「はい。父にもマニュアルを作ったので、良かったら同じ物をお渡ししましょうか?」

「是非頼むよ。来年からでも試験的に育ててみたい」

 おおう、シラコメ大流行の予感?一応父様にも話しておこう。

 もし大丈夫なら、精米道具だって複製しなきゃならないね!


 父様に話したら、快く応じてくれた。エレインはまだ試験的に育てるという所がポイントらしい。

 私が作成したマニュアルを一旦預かり、数冊複製した。バートも興味を持つかもしれないからね!


 今日は亜空間のベッドでお泊まりだ。いくら黒竜で眷族でもリリーと一緒のベッドにオニキスを寝かせるのは気が引けたので、今日だけは別に寝てもらう事にした。

 後で埋め合わせするからと言うと渋々ながら了承してくれた。ラグの方で竜に戻って眠るらしい。

 同じ亜空間内なのでリリーが怖がったけど、同じオニキスなのにな。

 でも、怖がりながらも竜の姿が見たいのか、チラ見しているんだよね。

 

 その日はミミも加わったもふもふベッドで眠った。





出産の話は実話だったりします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ