ステータスの事と、これからの事
そういえば、自動回復が超速自動回復になっていたっけ。隠蔽さん、仕事してよ。
えっと、隠蔽は…ああ。ボードみたいに強制的に表示されるのは、ちゃんと考えながらじゃないと駄目なんだね。
普通はメニューを開いた時に、自分で設定しておくんだ。じゃないと、鑑定をかけられた時に丸見えになっちゃうんだね。これは時間のある時にじっくり考えよう。
鑑定は、精神の数値に関わっていて、上回れば鑑定出来ちゃうのか。結界で鑑定を弾くことも出来るけど、スキルレベルにもよるみたい。私はまだまだ弱いから、強くならなくちゃいけない。
お父さんは、鑑定を持っているか分からないけど、レベル高そうだから注意しなきゃ。試しに鑑定をかけてみたけど、何も見えなかった。
考えながら歩いているうちに館についてしまった。
「お父さん、早速教えてよ」
「早速って、ルーナは武器を持ってないだろう?」
リュックから取り出したふりをして、ツノウシの双剣をアイテムボックスから出す。
「ツノウシの角から作ったんだよ。風魔法で削りだして」
「器用だな。しかも逆手持ちはあまり見ないし。いいだろう。やって見なさい」
お父さんはその辺に落ちていた枝を拾う。
構えて、腕や足を狙って振り抜くけど、枝であっさりいなされて、隙ができた所を枝で軽く叩かれる。
「素早さもリーチも足りてないから、ルーナには不利な武器じゃないかな?」
結局、10分程でばててしまった。
「やる気があるのはいいことだけど、左手はまだまだお留守になっているし、ルーナの武器は魔法もあるんだから、それも使ってごらん?」
「魔法使っていいの?」
「ただし、お父さん以外に当てないこと。庭は広いけど、木や建物に当たったら大変だからね」
お父さんは、魔力障壁を展開した。
『スキル 魔力障壁を習得しました』
ルーナは自分に身体強化を使い、左手は防御で使えるように意識する。火魔法をけん制に使い、精一杯頑張る。
『スキル 並列思考を習得しました』
「うん?何か生えたか?」
動きの良くなった私に、お父さんが目を見張る。
でも、体力のない私は長続きしないので、すぐにばててしまう。
『火魔法と風魔法が一定レベルに達したので、スキル 雷魔法を習得しました。土魔法と火魔法が一定のレベルに達したので、重力魔法を習得しました。雷、氷、木、重力魔法が統合されて、上位属性魔法になりました』
へえ、重力魔法ってなんか凄そう。レベルが上がれば空も飛べるかな?今は重さを変える事位しか出来ないみたいだけど。
試しに近くの石にかけてみると、土に少しめりこんだ。
「大丈夫か?ルーナ。さ、お昼にしよう」
中に入ると、メイドさんに声をかけられた。
「従魔のお食事はどうしたらいいでしょう?朝は何も食べなかったようなので」
「サファイアは肉が好きです。ヒスイは水でいいみたいです」
「かしこまりました。すぐにご用意いたしますね」
食卓についた。サファイアとヒスイは私の足元に器が用意されている。
「ぴ!」
ヒスイはご機嫌斜めのようだ。水魔法の水じゃないから駄目らしい。
「はいはい。分かったよ」
小さな器の水をサファイアの容器に移し、水魔法の水で満たしてあげる。
(僕もルーナの水魔法がいいな)
(分かった。今度からそうするね)
何が違うんだろう?試しに自分のコップの水を飲んで、水魔法の水を入れる。
味は変わらないけど、水に魔力が含まれているのが、魔力感知で分かった。これから二人には魔力水をあげる事にしよう。
「ね、その小鳥の言ってる事が判るの?」
隣に座っているお兄ちゃんに聞かれた。
「なんとなくだけど、分かるよ」
「へえ、従魔ってすごいんだね」
「サファイアは凄いよ。ゴブリン位なら簡単に倒しちゃうから。ヒスイはまだ子供だから、出来る事は少ないけど」
「僕も従魔欲しいな。従魔にするのに魔法の才能って必要かな?」
「どうなのかな?サファイアはテイムする前から優しくしてくれたんだよね。ヒスイは魔法がきっかけだった」
「あー、ルーナって、動物に好かれるからね。いいな」
「ルルティア様の加護があったからだと思う。ね、お兄ちゃんのステータスボードは?」
「破棄しちゃったよ。加護もないし、スキルも少なかったし、自慢出来ないよ」
「別に自慢している訳じゃないけど。私は冒険者になりたいから頑張るんだ」
「それは僕もなりたいけど…利き腕が取られなかっただけましだけど」
「それって、魔物にやられたの?」
「違う。村を襲った奴らだ。ちゃんと警戒出来ていなかったから。…お母さんは無事かな」
「大丈夫だよ。お母さんは魔法の天才だもん。きっと村のみんなも助けてくれるよ」
それにお母さんは美人だから、命までは取られないと思う。奴隷として売られるかもしれないけど。
「ほら二人とも、食べ終わったら移動しないと、片付けの邪魔になるよ。アレックスは今日から家庭教師が来てくれるから、勉強だ」
「私もいてもいい?」
「そうか、なら一緒に勉強しなさい。家庭教師は午後からだから、戦う修行は午前中にしてやる」
「お父さん、僕にも剣を教えてよ。片手でも戦えるようになりたい」
「分かった。だが二人とも無理するな?週末は完全に休みにする」
因みにこの世界の1週間は6日間で、一カ月は5週間。1年は360日だ。先生は一日置きに三日来てくれて、宿題を出されるそうだ。
科目は算数、歴史、教養で、文字は教養に入る。その他にも教養では、一般常識や、貴族等と渡りあう為の話術も教えてくれるらしい。私に必要なのはこれかな?
お兄ちゃんの教科書を見せてもらったけど、算数は四則演算だけで、最後の方にそれを混ぜた数式が載っていた。かけ算までは分かるから、割り算は予習しよう。歴史も覚えればいいだけだしね。
今日教えてもらったのはお金の事。銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨とあって、向こうの価値で、銅貨1枚10円位。50枚で次の貨幣になり、10円、500円、千円、五万円、10万円、5百万円、一千万になる。ただ、物価がこちらの方が安いので、あくまで目安だ。
二時間で先生が帰り、私にも宿題を出してくれた。教科書は明後日持って来てくれるらしい。
部屋に戻り、5分位で宿題を終わらせて、ステータスに偽装をかける。
大体は、ステータスボードと同じ位にして、称号を消す。人族の後ろの?も消した。
消したけど、文字が薄くなるだけで完全には消えない。
魔物を倒す方法だけがステータスを上げるものではないと教わり、特に力と敏捷を上げるように意識する事にした。
氷魔法は、冷たくすると美味しいので、使えると思う。木魔法は、ヒスイと一緒に修行する。雷魔法だけが使い道が魔物退治位にしか使えなさそうなので、今上げるのは無理。