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船旅 2

 ゆっくり寝てたら、いつの間にか船は出発していた。

 ヤバかった。朝ごはん食べ損ねる所だった。

 船を進ませる為の魔法は、ヒスイがやってくれたようだ。

「ありがとう、ヒスイ」

 人さし指で頭を撫でたら、もっと撫でろと言わんばかりに体をすり寄せてきたので、ご飯を食べたらたくさん撫でる約束をして、オニキスと食堂へ急ぐ。


 夕方頃、やけに揺れると思ったら、進行方向に、ウミボーズが現れたと皆、慌てていた。

 外に出て海を見たら、渦に巻き込まれていた。その渦の中心に、巨大な魔物がいる。

 この辺り一帯の主らしく、何隻もの船が犠牲になっているらしい。


「頼む!奴を倒してくれって黒竜に頼んでくれないか?」

 頼まなくても、自分でやっつけられると思うけどな。


 ルーナは渦の真上に飛んだ。そこから貯水池を作った時よりも大きなホーリーショットを魔物に放った。

 看破 ウミボーズ ランクS 天災級の魔物で、出会ったら勝てる者はいないと言われているが、肉質はとろけるほど柔らかく、美味


 ルーナは脳を消滅させられて沈んでいく魔物を、慌てて収納庫にしまった。


 船へ戻るとたくさんの人がルーナを褒め、感謝された。中には竜より強いと言う人もいたけど、それはどうかなと思う。


 お父さんを殺されて頭に血が上っていたし、絶対に許さないと思っていたけど、魔力を奪っても意識を刈り取るまでには至らなかったし、ホーリーも、鱗を数枚はじき飛ばしただけだった。

 もしあの時本気で戦ったら、負けていたのは私の方だったと思う。


「オニキスはどう思う?同じ天災級でランクSだけど」

〈私の方が強いでしょうね。まあ、私が海上にいる事はありませんし、主だからこそ勝てたと思いますけど。再生能力があっても脳が無くなったらさすがに再生できませんし〉

「でも美味しいらしいから、ラッキーだったね!」

 むう。笑われた。


「ねえオニキス、あの時従魔にしないで戦っていたら、負けていたのは私の方だよね?」


〈あなたを一目見た時、私は強い衝撃を受けました。

 小さな体に秘めた強い力と抗い難い存在感。すぐに私は惹かれました。

 ですので、私が主を手にかける事はなかったと思います〉

「でも最初は私、お父さんを手にかけたオニキスを許すつもりはなかったよ?」


〈相手は人間。刃向かう者に容赦はしませんが、それでも主には初めて仕えたいと思ったのです。竜としてのプライドなど、どうでもいいと思えたのです〉

「私って、魔物ホイホイなのかな?」


〈惹かれる何かがあるのは事実だと思います。あの時従魔にして頂いて、更には眷族にまで。私は主の為に一生を捧げられる事、嬉しさしかありません〉

「一生かぁ。寿命が消えたから、私の存在自体が無くなるまで一緒だと思うよ?そうなれば、飽きるかも」

〈あり得ません!私の方から主のお側を離れるなど、絶対にない事です〉


「ならきっと、みんなとずうっと一緒にいられるね!」

(ルーナ、一緒)

(正直、たまに独占したくなるけど、ルーナは望まないよね?)

(にーに、るーはみんなのなのー)

(でも、日替わりで独占はありかもしれないわね!ああ…でも、その他の日が耐えられそうにないわね)

(ねーねは耐性が付くかもー?)


(いやん!思い出させないで!あの程度でへばってるなんて、ワタシじゃないわ!)

(でもさっきの渦の時も…)

(教えちゃいやん!)

 ああ、またきらきらが発生したんだね。


(あたちがきれいにしといたのー)

「よし!ヒスイ偉い!」

(えへへなのー)

(ピュアもかけた)

「モモも偉い!」


 船は、やっとエストールの港に着いた。この国はテイマーは差別される。

 魔物は憎むべき存在で、従魔としたとしても、戦闘の道具以外ではあり得ないのだ。

 なので、ルーナはさっさと亜空間に入り、眷族達には人化して貰った。

 教会にもハザード様の像は無く、五柱の神々の像だけがあった。

 とはいえ、この国の人達もベジタリアンな訳ではなく、普通に魔物肉が売られていた。

 売られていたカレーの実を買い、他の特産品も見て歩く。


「ね!こうしていると、家族みたいね。オニキスがお父さんで、コハクがお母さん。サファイアがお兄ちゃんでヒスイが妹。私とモモが双子」

〈嫌です主!男と夫婦とか、あり得ません!〉

〈ワタシだって嫌よ。ワタシは守ってあげたくなるオトコがいいのよ〉

「もう、見かけだけだってば」

 二人以外は喜んでいるようだ。


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