これからの事と、新たな命
という訳で、ちゃんと話しておく事にした。羊羹を食べながら。
「…と、いうわけで、再生と転生の固有能力を得たので、生命神になりました」
みんな、驚いて声も出ないようだ。まあ、私が一番驚いたんだけど。
ガルド様に言われた時、頭の中でゲームのレベルアップの音が聞こえた気がしたよ。
「じゃあ…ルーナはいなくなっちゃうの?」
「ううん、今の所私の仕事は、この世界で亡くなった魂の管理だから。
たまに神界に行って溜まった魂を分類して処置すればいいだけだから、ちょろっとたまにいなくなるだけ。
ガルド様が言うには、私が地上を離れるって決意するまでは人々に正式な神として発表しないから、好きに生きていいって」
でも、聖女としての信仰だけじゃなくて、私の存在そのものに対しても僅かに信仰心が集まっている。
分かる人には分かるということだろうか?
「亡くなった人の魂は、神の御許にゆくのだよな?」
「うん。そこでしばらく休んで、記憶とかそういうのを全部洗い流されて新しい命として生まれ変わる。
悪い事して丸くなくなっちゃった魂とか、つらい思いをして欠けてしまった魂とかは特別な処置が必要だけど。
再生の方はルルティア様の力と被るから、これからの加護はルルティア様のが少し変わるかな?実際眷族達達には私の加護が付いているから、自動再生するし」
「離れなきゃいけないのか?そのまま大人になって、暮らしていけるんだろう?ルーナがそれを望めば」
「そうありたいとは思うけど、分かんない。その時がいつになるかは。1年後か、10年後か。
まあ、急にいなくなったりはしないよ。ちゃんと言う。まだ自分で育てたシラコメも食べてないし、ダンジョン巡りだってしたい。
美味しいものたくさん食べたいし、妹にも会いたい」
「え?」
「ええっ!」
「あれ?お母さん気が付いてない?赤ちゃんがいるよ?」
「な、何ー!」
「う、そういえばしばらく…気にしてなかったけど」
うーん、凄まじくお母さんらしい。私の時もこんな風だったのだろうか?
「…そういえばルミナリアの時もそうだったな。私が聞いた時にはかなりお腹が大きくなっていた」
「俺もちょっと太ったかな?位にしか思ってなかったんだよ」
「仕方ないじゃない!色々忙しかったのよ。いいじゃない。生まれる前に気がついたんだから」
よかった、私、無事生まれて。
残った羊羹を口に入れる。ちょっと味が薄いかな?今度はこしあんにも挑戦してみよう。
「じゃあ、しばらくは今のままって事だね?ちなみに再来年から学校には?」
「行くつもりはないかな。家庭教師の先生も私には初等学校は必要ないって言ってたし」
「そうだったね…ちょっとあり得ない位算術も出来たし、記憶力も良かったね」
「なので当面は、農業やりながら冒険者やります!折角のSランクだし」
小さく仕切った容れ物の中に、発芽した種籾を入れていく。もちろん発芽率は100%だ。再生させたからね。
はやく苗にならないかなー?もう、今から新米を食べるのが楽しみだ。眷族達が、草とりを手伝ってくれる。
ヒスイは…またワームをほじくり返している。鳥の習性?いや、性格かな。
お母さんの畑では、芋が芽を出している。その向こうの畝は、まだ何も植えられていない。
お腹も大きくなるだろうから、無理なく育てられる範囲で作るのかもしれない。
次の目標は、どこのダンジョンにしようかな?




