美味しいダンジョン
モーラス国ニスタの街。高い山の麓にある街だけど、この山こそがダンジョンだった。通常のダンジョンと違うのは、階段を下りるのではなく、登る所。
中に入ると、森が広がっていた。近くに咲いていた花が不自然に揺れたので、剣で切ったら、瓶入りの透明な液体を落とした。中身は水飴だ。もしかしてこの世界の砂糖の原料ってこれなの?と思ったらそうだった。簡単に採れて水分を抜くだけ。安く流通する筈だ。
ダンジョンで採れるものは季節も関係ない。キノコも生えているし、魔物じゃない花も咲いている。
トビウサが襲ってきたのでさっくりと倒したら、毛皮を落とした。
キノコ類も豊富に採れたので、次のステージに進む事にした。
凶暴化した鶏の魔物を倒したら、卵になった。たまに肉も出てくるけど、卵が多い。もしかして養鶏場で飼われている鶏は、魔物だったりするのだろうか?
すごい勢いで豆がたくさん飛んできたので何のトラップかと思ったら、その豆が小豆?だった。魔力の網を張って全弾頂く。このダンジョンを攻略したら、あんこを作ろう。
(ルーナ、美味しいもの、考えるの危険)
モモの念話で、はっと我に返り、お饅頭やあんパン、羊羹を頭の隅に追いやる。
今日は、三階層までしか行けなかった。食べ物を採取出来る系のダンジョンだから、仕方ないよね!
白花の雫を見つけた。以前に精霊達から貰った液体バニラだ。これで堂々とバニラアイスが作れる。
他にもここは、食材系が豊富なダンジョンだった。港街のダンジョンと並んで美味しいダンジョンだった。
メープルの実も見つけたし、味わいの違う蜂蜜も採れた。
小豆の他にも、赤や青、黄色や白い豆も採れた。
宝箱からはラスボスの宝で弓が出てきた以外は、特筆すべきものはなかった。もちろん弓はオニキスのだけど、私にとっては豊富な食材こそが宝物だ。
ダンジョン内を流れていた小川がセイシュだったので、お父さんと父様へのお土産用にたくさん汲んだ。料理にも使えるしね!
たかが30階層のダンジョンに、一ヶ月もかかってしまって、危うく誕生日を過ぎる所だった。
種籾もまだ発芽させてないし、危ない所だった。
暫くはスイーツを作ったりしてゆっくり過ごそう。




