リリーの従魔と米
次の日にリリーに会いに行ったら、すごく心配していて、申し訳ない気持ちになった。
「無事で本当によかった。そうだ、これお土産」
袋の中身は、異国感溢れるデザインの髪飾り。
「えへへっ私とお揃いなんだ!」
うん。可愛い。
「そういえばリリーはいろんな国に行ってるんだよね?米って知らない?白、もしくは薄茶で丸くて、麦とは全然違ってて、田んぼ…じゃなくて畑で栽培されてて、ラース国原産の植物」
「うーん?それってもしかしてよく煮ないと柔らかくならない雑炊の、シラコメの事?」
「それ!輸入とかしてたりしない?」
「サンプルでもらってきたのあるけど、輸入はしないと思うよ?中途半端な料理方法じゃ食えたもんじゃないし、収穫に時間がかかるし、栽培には面積も必要だしね。何?もしかして欲しいの?」
「うん!物凄く!」
あ、リリーが引いている。
「分かった、持ってきてやるよ。ルーナはあのエチゴヤクラゲを美味しくしちゃうような子だもんな。シラコメだって美味しくできるかもしれないな」
リリーについて行ったら、倉庫から5キロ位の袋を出してくれた。運良く種籾状態だ。
「ありがとう!私、来年はこのシラコメを育てるよ!」
お母さんに、畑の一面を貰おう!
「良く分かんないけど、凄い嬉しそうだな。美味しくできたら、あたしにも食べさせてね!」
「勿論!…えへへっ!まずは炊飯器を作らないと!そして精米はどうしようかな?それも魔道具かなー?」
「おーい、ルーナ?大丈夫かー?」
〈無駄ですよ。こうなってしまった主は食べ物の事しか頭にありませんから〉
「あははっ!ルーナらしいか!豊穣神様はきっと大喜びだね!」
〈むしろ主様こそが女神様です!〉
「従魔って主大好きって聞くけど、本当みたいだね。私も従魔欲しいな」
〈ティムすればよろしいのでは?〉
「あっさり言うなよ。まずティムが分からないよ」
「リリーも従魔欲しいの?リリーってルルティア様の祝福か加護持ってない?」
「えっ!分かるの…って、ルーナもだよね?確かに加護持っているよ。男っ気のない私には宝の持ち腐れだけど」
「うん。私の場合は守ってあげたいと思われて初めてティムしたから参考にはならないかも知れないけど」
「いいな、ね、明日森に付き合ってくれない?何かコツみたいなのがあれば聞きたいけど」
「うーん。ごめん、本当に分からないよ」
多分普通にティムしたのはモモだけじゃないかな?あとのみんなは特殊過ぎて説明しにくい。
次の日、できるかどうか分からないけど、森に行ってみた。
ゴブリン等のおなじみのザコを倒して、リリーが欲しがっているミュラットを探してみる。
いた。木の上から顔を覗かせている。イタチに長い耳を付けたような外見で、もふもふして可愛い。
看破 ミュラット ランクD 愛玩動物としても人気が高い。木魔法と水魔法を操る
「おいで」
方法が思いつかないので、呼んでみた。じっとこっちを見ていた子が、木を伝って私の手の上に、降りてきた。
本当に可愛い。リリーが欲しがらなきゃ、私が欲しい位だ。白くて、尻尾がふわふわしている。
「凄い…!警戒心高いから、人には懐かないのに」
私は、ミュラットをリリーに渡した。
(いい子だね。リリアーナがご主人様になってくれるよ?そうしたら名前をもらえるの)
「ミュー?(リ…リ、ある、じ?)」
「この子、頭いいね。念話が使えるよ?名前を付けてあげて」
「よし!ミミだ!あたしの従魔になってくれる?」
「ミュ!(ある、じ、よ…よろ)」
看破 ミュラット(ミミ)主 リリアーナ
「成功だよ!リリーは念話を使える?」
「いや…無理」
「心の中で話しかける感じ?」
「分かった。やってみるよ。ありがとう、ルーナ」
成功して良かった。リリーは数少ない友達だから、私に出来る事ならしてあげたい。
「従魔登録はちゃんとしてね?」
(ミミは、何を食べるの?)
(木の…み)
「ミミは木の実が好きみたい。従魔になったから、あんまり餌は要らないかもしれないけど、あげてね」
「もちろん!頑張って念話も出来るようになってみせる!」
随分長居してしまったけど、私もそろそろ両親が恋しいし、冬休みにはお兄ちゃんも帰ってくるはずだ。
再会を約束して、空に飛び立った。高速飛翔を覚えてから、飛び方が上手になった。
よし!空中鬼ごっこでヒスイに勝った!ヒスイは全然気にしていないみたいで、単純に私と一緒に飛べるのを喜んでいる。次の目標はコハクかな?空を駆けるように飛ぶコハクには、まだかないそうもない。




