再び海へ
私は、旅に出たい事を相談してみた。まあ、反対されるのは分かっていた。
「コハクもオニキスも強いから、お願い!」
「ルーナ、お前はまだ小さい。せめて大人になるまでは、この街にいて欲しい」
「今まで通りの日帰り冒険じゃだめなの?お母さんが心配しているのは、相手は魔物ばかりじゃないということよ。盗賊もいるし、それにね、悪人はともかく、従魔に人を傷つけることは許されていないの。そうなったら、罰を受けるのは主人であるルーナなのよ?」
「悪人は神の罰を恐れない奴らばかりだから、聖女だから手を出さないとは限らない。
それに、今回は何故か侯爵自身が神の罰を受けたが、基本直接手を下さないと、神の罰は受けないから、どこにでも馬鹿な事を考える権力者はいる」
「それは、分かる…と思う」
例え盗賊相手でも、人を手にかけるのは怖い事だと思う。自分が嫌だからって従魔にやらせるのも違うと思うし。
「なら、日帰り冒険ならいい?」
「ルーナは羽根があるからどこまででも飛んで行きそうだな」
「それ位なら許してあげるわ。ただし、毎日ちゃんと家に帰る事。いいわね?」
やった!亜空間移動を使えば一瞬で帰れるから、またそこから冒険できるもんね!
とりあえずは去年行った海とダンジョンの町かな。
そういえばあそこで採れた素材って、売ってなかったな。キノコは食材で使うけど、毒とか要らないし。
亜空間ゲートは幾つまで開けるか分からないけど、イメージさえ固まっていれば大丈夫だと思う。
(ここはコハクと会った場所でもあったよね?)
(そうだったわね。正直、神に言われてくる前は、子守りなんて嫌だと思っていたわ。でもルーナちゃんを見て、この子になら仕えていいと思ったの。今ではもう、離れるなんて考えられない位に大好きよ?)
(ありがとう、コハク。私も大好きだよ)
そのまま商店街を見て廻ったら、ワカメ草と海苔らしき物が売っていた。
海苔といえばおにぎりだけど、ここではスープに乗せる具材として売っていた。それならラーメンだろうと思うけど、この世界にはラーメンもない。うどんはあるのに。今度作ってみようかな?豚骨背脂たっぷりの麺が食べたい。
(ルーナ、また食べ物の事考えてる?)
サファイアのツッコミに少し慌てる。
(何で分かったの?)
(何でって、すごく分かりやすいよ?ルーナは顔に出るもん)
(るー、美味しいの大好きー。わたちはるーのお水が大好きー)
〈主の望みを叶えるのが我が務め。何なりとおっしゃって下さい〉
「そんな大した事じゃないから。ていうか食べ物にそこまで言われるの恥ずかしい」
私、そんなに食い意地張ってるって思われているのかな?
一旦家に戻り、翌日は海に潜った。一メートル位の蛇みたいのがいたから、穴子かと思って捕まえた。
看破 ウナドン ランクE 表面にぬめりがあり、捕まえにくいが美味
名前が料理名とか哀れなヤツ。是非とも鰻丼にして食べてあげよう。しめて複製してアイテムボックスにしまう。ギルドの依頼で出すものは、収納庫に入れる事にして、複製して食べるものはアイテムボックスにしまう事にした。
空間把握は出来るけど、この前みたいに大量に捕まえた時なんかは、考えないでどんどん出せる方がいいと思った。
そして今回もゲット!伊勢海老ならぬイセビー。前回は複製忘れちゃったんだよね。前回より小ぶりだけど、薬の素材になる内蔵も手に入ったから、満足だ。他にも数種類の魚と、顔位の大きさのホタテを見つけた。バターしょうゆ焼きにして食べよう!こうなってくると、コンロだけじゃなくて、バーベキューセットも欲しくなるよね。炭も。鰻丼の為にも、今度炭を作ろう。
マグロはいないのかな?さすがにこんな岸近くではいたとしても採れないかな。考え事してたらハンマーフィッシュが襲いかかって来た。コイツは鮫みたいな奴だから、強気で攻撃してくる。食べられないから要らないので、足にダークソードを出して蹴りを入れたらあっさりと沈んでいった。
今日はこの位にして、釣りで手に入る魚は買う事にする。どう考えても私に釣りは向いていない気がするから。と思ったら、コハクが人化して釣りをしていてくれた。ありがとうコハク!しかも大漁だし。
オニキスはカーニを採って来てくれた。脚を何本か残してギルドに売ったら、大喜びされた。
お金も随分貯まって来たけど、今の所欲しいのは家具位しかない。大きなベッドと、絨毯が欲しいかな。
衝立はボルドーの街で買ったけど、大きなベッドはなかった。王都に行けばあるかな?
王都の商品は高いけど、種類も豊富でいいものが多い。
亜空間の中は温度は快適に保たれているけど、薄暗くて殺風景だ。オニキスが竜の姿に戻りたい時は利用しているけど、ベッドと、棚。ソファーセット位しかない。
それとお風呂の魔道具。排水も空間把握で水だけ抜けるので、簡単だ。
お風呂は暗いと嫌なのでライトの魔法を使っている。
後は何が必要かな?




