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告白

 帰りは歩きなので、四日かかってしまった。オニキスの自動回復は私の回復よりずっと遅いので、魔力を奪ってしまった手前、ちょこちょこと魔力譲渡の魔法を使った。それでも足りないらしくて、自分でも魔物相手にマナドレインを使っている。でも他の子達と一緒で、私の魔力が一番いいらしい。

 初めはお子様抱っこで私を過保護に扱ったけど、私は将来冒険者になるから強くなりたいと言ったら、手を出さなくなった。

 歩き辛い山下りも、本当に危ない時にしか手を出さない。こういうスタンスは好感が持てる。

 山の中腹辺りで辺りが暗くなってきた。食肉になる魔物が狩れなかったので、収納庫の魔法を覚えた事を明かした。

 中から取り出したスープは熱々で、懐かしいお母さんの味のスープ。量は充分とは言えなかったけど、三人で分けて食べた。従魔達には昼間に狩ったオークをあげた。焼いてあげられなかったけど、文句も言わずに食べてくれた。ヒスイとモモはいつもの魔力水。モモはごくたまに少量の食べ物を消化した方がいいみたいだ。

 ドラゴンをティムしたのだから、もう家族にはステータスを隠さない方がいいかもしれない。聖女にもなったしね。

 ただ、転生神様関係は隠した方がいいだろう。私も上手く説明出来ないし。

 あとは複製のスキルは隠そう。さすがに不味いと思う。

 種族はお父さんには人族?は見られているから、そうしよう。

 ステータスオープンで現れるボードで操作できるみたいだし。あとは、違う意味で隠したいのがマジカルマスターかな。この世界にあるスキルだけど、やっぱり恥ずかしい。

 お父さん達の持っていたテントは二人用で、私だけなら中に入れる。

 オニキスは2~3日眠らなくても平気らしい。更には気配隠匿を使わなければ、魔物はドラゴンの気配を恐れて寄ってこないらしいから、今晩はそれに甘える事にした。


 やっとボルドーの街に着いた。お母さん達は先に着いていて、お兄ちゃんも週末には一旦帰ってくるようだ。やっと家族が揃う。

 オニキスが竜だと説明しても、なかなか信じてもらえなかったけど、お父さんとローレンさんもティムした所は見ていたから、信じてもらうしかない。

 とりあえず従魔の首輪を買って、教会へ行った。ステータスボードを発行してもらいたい事を話して、ボードに手を置いて祈る。

 相談したい事があるので、お話させて下さい。


「ふむ。あ奴まで従魔にしてしまうとは、予想外じゃった。ま、悪い奴ではないから安心せい」

「ルミナリア、オニキスを連れて教会へ来てほしい。一度きちんと話すべきだと思うのだ」

「ハザード様、分かりました」

「まさか一年も経たずにマジカルマスターのスキルを取ってしまうとはな。ヤマダ殿の加護は凄いな」

「本当に、儂らから見ても予想外じゃな。六柱全ての加護を持っている事は、いずれ神になる予定だからと話せば良い。

 この世界にないスキルはこっちで隠しておこう。

 それとお主の錬金術スキルは、この世界のスキルと性質が少し違う。例えばハンカチ2枚を合わせて袋を作ってしまうようなやり方は出来ないのじゃ。

 性質の違う金属をかけ合わせたり、分離したり、薬草を調合したりするためのスキルじゃから気をつけてな。

 スキル習得難易度低下は、儂の加護ということにしておこう。でないとスキルが多すぎる事に説明がつかんじゃろう。

 あとは複製とマップはない」

 マップもなかったんだ。半透明のボード自体が転生神様の力なのかな?

「そうじゃな。スキルのない世界の神なのに、面白いの」

「魔物に好かれるのも加護ですか?」

「それは違う。正真正銘ルミナリアの力だ。我の従属は、魔物を従わせる補助に過ぎない。ルルティアも、人専門だからな」

 はぁ…サファイアの言うとおり、魔物ホイホイなのか。

「それと、レベルだけでは充分な強さを得たとは言えんのじゃ。

 スキルにレベル表記はないが、ルーナも感じているように、ただ持っているだけのスキルは役に立たない。使い込まないと、いざというとき役に立たなければ意味はないからの」

 それは良く分かる。私はまだまだ未熟だ。車を運転出来るからといってレーサーに勝てないのと一緒だ。


 皆が暖炉を前に、寛いでいる。言うなら今だ。がんばれ私!

「実はみんなに、大切なお話があります。まず、私の新しいステータスボードを見て下さい」

「どうしたの?改まって。こっちにいらっしゃい」

 お母さんの膝の上に座って、みんなの反応をじっと見る。

「昨日、去年取ったルーナのステータスボードを見せてもらったけど…一年で、こんなに伸びたということ?」

「去年はまだ、ゴードン様とレレイ様からは加護を頂いてなくて、神様からのアドバイスで、ある程度強くなるまでは、色々隠した方がいいと言われたので、消して隠してたの」

「う、うむ…確かに数値だけなら、俺を超えているな」

「それは、加護による数値の嵩上げだから。魔法は頑張ったから、魔力と精神は伸びたけど。たくさんのスキルはガルド様の加護で、習得しやすくなっているから」

「しかし、六柱全ての神々から加護を頂くなんて、聞いた事もないな。神と直接話せる事も」

「それは、神様が人数が足りないので、私を神様にしたいらしいの。種族が神人なのも、私がもう半分位は神だからって」

「つまり聖女はなるべくしてなったと。しかし歴代の聖人や聖女が神になっている訳ではないのだろう?」

「そっちは聞いてないけど、素質ある人全てが神になれる訳じゃないみたいで」

「しかし、私達はこれからルーナをどう扱ったらいいのだ?」

「今まで通りでいいんです。父様。私はまだ、ただの子供なんで。神様からも好きに生きていいって言われてますから」

「ずっと黙っているのは辛くなかった?ルーナ。短い間だけど一緒に旅をして、何か隠しているんじゃないかと思ってたけど、ルーナ、何も言わなかったから」

「兄様には言ってもいいかと思ってたけど、色々あったから、タイミング逃しちゃって」

「こんなに可愛いワンちゃんと猫ちゃんがSランクの魔物だなんて、誰も信じないわよ。良かったじゃない。ルーナにとっては最高の用心棒でしょ?そこのイケメン君も」

 うん、お母さんらしい答えだな。

「素敵じゃない!ルーナなら、伝説のマジカルマスターも夢じゃないわね!」

 ええっ!お母様マジですか?どんだけ魔法リスペクトしてるの?

「え…それって凄いの?」

「当然じゃない!魔法使い全員の憧れよ!ルーナならきっとマジカルマスターになれるから、頑張ってね!」

 恥ずかしいから連呼しないで下さい、お母様。

「やはりこうなったら親子でマジカルマスターを目指すべきじゃなくて?条件は多くの魔法を極める事と言われているんだから、マリーさんなら出来るわ!うーん、ルーナみたいに付与魔法もやってみたら?」

「あー、付与魔法はやった事はないし、やり方も分からない。関係あるのかな?それに補助魔法がな…」

「ああん!もう!私の周りにはログウェル様の加護持ちが三人もいるのに!甥っ子は剣ばかり握っているし。やっぱり希望はルーナね!是非、マジカルマスターを目指してね!」

「ど…努力します」

「頼むから少しは落ち着いてくれ。まあ、今の話は家族内だけに留めておいた方がいいだろう。今のところは。聖女に自ら手を出す馬鹿もそうはいないだろう」

 まあ、私にというよりはお母さんにだけどね。見かけは美人だけど、お母さん、怒ると怖いのに。

 聞いた事なかったけど、お父さんはお母さんと一緒に竜を倒したって言ってた。もしかして本当にお父さんより強いのかな?



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