王都 2
朝起きて、日課のストレッチをやった後は、魔法の練習。
時空魔法はいつか転移を覚える為に頑張ったけど、補助魔法は何か条件があるのか、あれ以来種類が増えない。
それと重力魔法は、使う頻度も少ないので、スキルレベルが上がらない。今の所重力をかけて押し潰して倒す位しか使い道が無いからだ。
重量軽減で体を軽くしても、飛ぶ事は出来ない。ジャンプすれば高く飛べるけど。上位魔法はきっと沢山経験が必要なんだと思う。地道にやるしかない。
ぴょんぴょん跳ねていたら、ヒスイとモモが付き合ってくれた。モモの飛翔は対空時間が短くて、距離も50メートル位だ。それでもちょっと羨ましい。サファイアも飛べないけど、風のように速く走れる。
あ、新しい魔法を覚えた。反重力か。
試しに使ってみたら、体がふわりと浮いた。慣性制御を使えば、そのまま移動出来るけど、飛ぶって感じじゃない。宇宙飛行士かな。
(るーと一緒に飛ぶのー)
ヒスイははしゃいでいるけど、二つの魔法を制御しなきゃならないから、結構大変。でも楽しい!
お母さんとお父さんが喧嘩した時、お母さんが投げたタンスが浮いているのを見た事があったけど、この魔法だったのかな?お父さんは泣いて謝ってたけど、確かに怖い魔法だと思う。
試しに降りて小石に反重力をかけたら、簡単に浮いた。指でつつくと、どこまでも飛んでいく。壁に当たる前に、魔法を解除した。
モモがもっと飛びたがっていたけど、そろそろ朝ご飯の時間だ。
兄様達は今日も出掛けるらしくて、私はお留守番。出かけてもいいけど、商店街だけにしてくれときつく言われた。
人化したコハクにお子様抱っこしてもらって、気になったお店の前で降ろして貰う。
甘芋が沢山売っていたので、あとで干しいもを作ろうと思う。田舎の定番おやつだけど、私は結構好き。ただ、食べた後に手がぺたぺたするんだよね。
あ!あれはメロンだ!しかも表面が編み目になっている高級なやつ。ボルドーの街で見かけなかったから、ないと思っていた。ちょっと高かったけど、一つ買った。後で複製出来るしね。
うん。複製に関してはズルを認める。ただ、たくさんの魔力っていう対価を払ってもいる。
流石王都。食材だけ見ても、あらゆる物が揃っている。前世では食べた事なかったトリュフも見かけた。黒と白、赤と青、黄色いトリュフもあった。看破で見たら味は同じらしい。ただ、香りが違うようだ。要らないから買わないけど。
干物になっていたけど、魚も売っていた。シジミーもある。あの時のは塩味スープだったけど、是非味噌汁で食べたい。味噌も醤油もあるのに、米だけがない。
お母さんを取り戻してお父さんが帰ってきたら、冒険に出たいな。陸稲を手に入れて、ご飯が食べたい。
〈ルーナちゃんは食べ物ばかりね。折角だからお洒落な服やアクセサリーも見てみたら?〉
「興味ない。動きやすいのが一番だもん」
〈ほら、あんなのとか素敵じゃない?〉
トルソーに飾られているのは、大胆なカットのワンピース。
「あれはコハクの趣味でしょ?大人用の服だからサイズ合わないし」
〈違うわよ。ルーナちゃんに似合うのを考えてたの。私はもっとこう…あっちの服みたいなレースたっぷりの服がいいわ〉
思わず想像した。ないわ。
「王都を出てからも人化するの?」
〈いいえ。耳と尻尾がちゃんとならないと、嫌ね〉
ちょっとひと安心。
「そろそろお昼だから、戻ろう?」
午後は本を読む事にした。過去の聖女や聖人の本。図解付きで、ちょっと納得した。聖人のおじさん、髪の毛がない。これで光ってたら確かに辛い。
お話自体は恐らく拡張されて書かれている所もあると思う。この村を疫病から救った話は、エリアピュアかな?あれって余計な雑菌まで消しちゃうから、可能だと思う。
どうして光るのか?光が羽根になったかは書いていない。条件だって曖昧だ。聖女の中にはシスターもいたけど、何故彼女だけが聖女になったかは分からない。おじさんに至っては元は農民だった。
羽根か…あったら飛べるんだろうか?そんな事は書かれていないけど、今朝の浮遊感は心が躍った。
補助魔法に関しての本はなかったけど、過去に加護を頂いた人の、創造魔法について書かれた本を見つけた。何を考えてこんな魔法を使ったのか、想像するだけで楽しい。
水魔法で温水を直接出すのは、お風呂にすぐに入る為だよね。便利そう。
熱い風が出れば、ドライヤーみたいに髪の毛がすぐに乾いていいかも。
さらさらの細かい氷は、かき氷が作れそうだな。
要らないアイディアもたくさんあったけど、本当に想像力次第なんだよね。創造魔法って楽しい。
兄様の心が読めたら、お母さんの居場所が分かるんだろうか?
『暗黒魔法から、リードを作成しました』
…さすがに、これはだめ。使えない。
ある意味看破以上にたちが悪い。
この先の展開を少し迷っています。更新が遅くなったらごめんなさい。




