沢山のスキルと初めての従魔
半透明のガラスに並ぶステータス。ええと…マジックポイントと精神が、やけに多い気がする。視線を合わせ考えると、MP、精神は魔法神ログウェルの加護により+1000と出た。…ありがたい。
他の人のステータス知らないから、これが多いかどうか分からないけど、少なくとも加護は多いと思う。神様に会った気がするし。
それよりツノウシ、どこに行っちゃったのかな?これかな…アイテムボックスEX。時間停止、収納スペース無限。アイテムリストオープンと唱えるか、考えるだけで発動。取り出し、収納は手をかざすか、思考により可能。
アイテムリストオープン…あった。ツノウシ、スープの入った鍋、調理ナイフ、花飾り、小瓶の塩、お気に入りのワンピース、お気に入りのリュック、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、ポテ芋、ポテ芋、ポテ芋、丸芋、干し芋、石、石、石、石、石、石、石、石、石、石、石、異世界神の手紙。
あったけど…ついでになくしたと思っていたリュックとワンピースもあった。大切にしまっておこうって考えたから、アイテムボックスに入っちゃったのかな?手紙って何だろう。
「舞月幸子様
優しい心を持つあなたが、不幸な人生を歩まれた事、大変遺憾に思います。違う世界ではありますが、仲の良い神の管理する世界にあなたの魂を預けます。今度こそ幸せな人生を送れますようお祈りしています。
転生神より」
懐かしい日本語で書いてある。どうせなら生きているうちに助けて欲しかったけど、転生神だから無理だったのかな?何にせよありがたい。早速家族ばらばらだけど、頑張って探しに行こう。
とりあえずお腹が空いていたので、お母さんが作っていた塩スープを出す。熱々だ。鍋におたまが刺さっているけど、お椀も何もないな…
仕方ないから、おたまで掬って直接飲む。
「犬さん、スープ食べる?」
興味無さそうにしているから、自分の食欲を満たす事にした。元々二人分の小さなお鍋で昼食用だったから、あと半分しか残っていない。
もっと大事に食べればよかった。お母さんのスープ…
『スキル 複製を覚えました』
ええっ?!それって増やせるって事?そんな魔法聞いた事無いけど。
「複製」
一気に魔力が抜ける感覚がして、鍋が二つに増えていた。中身も半分だ。確認したら、500も魔力が減っていた。中身を一緒にして空の方にクリーンをかけ、アイテムボックスにしまった。
「お父さんたちが帰って来たら会えるよね…でもお家はどっちだろう?」
『スキル マップを覚えました』
早速表示させるけど、範囲が狭い。見える範囲、およそ100メートル位かな?もっと遠くまで見えるといいんだけどな。
『スキルレベルが足りません。スキル 遠視を覚えました』
スキルにレベルなんてあるんだ。考えるだけでスキルが取れるなんて凄いけど、特殊スキルにスキル習得難易度低下ってあったからそれだろう。
今まで魔物退治した事無いのにいきなりレベル12なのは、経験値獲得二倍のおかげ。Cランクの魔物って言ってたから、強かったんだろうな。とにかく魔物が出るんだから、武器とかも必要だよね。調理ナイフしか持ってないけど…ツノウシが倒した木を削って木刀を作ろうかな。
風魔法を使って手頃な枝を切り落とす。
「駄目じゃん。調理ナイフじゃ木は削れない」
なら、創造魔法かな。畑に水を撒く魔法を考えた時、お母さんが魔法神の加護を持ってるのかもねって言ってたから、呪文要らないし、考えた通りの魔法が使えたんだろう。なら、木刀よりもツノウシの角がいいかな。硬そうだし、二本あるから二刀流で使えるかも。
根元から風魔法で切り落として、くるっと先端がカーブしているのをどうにか出来ないかな。このままじゃ短いし。うん、カーブしている方を持ち手にしよう。逆手に持って使うと良い感じかも。で、風魔法で削り取るイメージで…。うん、ちょっと失敗。片方が少し短い。でも硬そうだし、良い感じ。
『水魔法と風魔法が一定のレベルに達したので、氷魔法を覚えました』
ああうん。水魔法は毎日使っていたからね。頑張れば、違う魔法も覚えられるかな?
折れたら嫌だから、複製しておこう。…今度は二本で400持って行かれた。あんまり多用出来る魔法じゃないな。風魔法も沢山使ったから、魔力不足で体が怠い。回復するまで魔法は使わないようにしよう。短い方を左手に持って、振りぬくように振るう。試しに草を切ってみたら、スパッと切れた。身体強化を使って枝、木の幹に切りつける。さすがに木は切れなかったけど、傷はついた。
『スキル 短剣術、双剣術を手に入れました』
何とか戦えるかな?魔法もあるし。…怠いな。寝たいけど、魔物が出たらどうしよう?
『スキル 索敵を覚えました。マップと統合されます』
良く分からないけど、素早い魔物だったら間に合わないよね。
「犬さん、ちょっとだけお昼寝したいの。魔物が来たら起こしてくれる?」
かすかに頷く姿を見て、この犬凄く頭が良いんじゃないかと思う。…なら、少しだけ眠らせて貰おう。もふもふにもたれかかると、ルーナはすぐに眠りに落ちた。
はっと目を覚ますと、夕方近かった。思ったよりも疲れていたらしい。森の中で眠るなんて、自殺行為だけど、もしかしたら犬さんが追い払ってくれたのかな?
ふと木の上を見ると、オレンジ色の実がなっていた。凄く美味しそうに見える。アイテムボックスに大量の草と石があったのを思い出して、草を捨てて石を拾い、実にぶつける。…届かない…当たったけど、落ちないよ。
『スキル 投擲、命中を得ました』
そもそも石じゃ落ちないんじゃないかな。まあいいや。今度は風魔法で実のついている枝を狙う。もしかしたら魔法の命中精度も上がるのかもしれないな。
何の実だろう。食べた覚えがないな。
『スキル 鑑定を習得しました』
見かけはデコポンみたい。…鑑定。不知火の実、食用可
皮を剥くと、大振りのみかんにも見える。
「!すっぱーい」
味は濃厚だけど、酸味が強い。食べられなくはないかな。種が邪魔。思い付いて皮を鑑定すると、湯に入れると保湿効果があると出た。うん。お風呂に入れてみたい。とは言ってもこの世界にお風呂はないらしく、川で水浴びするか、冬もお湯で体を拭く位だ。思い出したらお風呂に入りたくなってしまった。
木の根元に大きな、赤に白い水玉模様のキノコを見つけた。食べたら大きくなれるのだろうか?
マニ茸 毒があり食用には向いていない。
やっぱり。そんなに甘くない。でも魔物に使えば楽に倒せるかも。
『スキル 闇魔法を習得しました』
魔法なんだ。毒魔法とかあるんだろうな。
とにかく不知火の実をいくつかもぎ取り、念のために複製してアイテムボックスに入れる。
ツノウシが倒した木を見ると、進んで来た方向が分かった。あっちに行けば村があるかも。森を抜けると、犬さんが付いてくる。
「一緒に来てくれるの?」
頷く。正直嬉しい。春だから昼間は暖かいけど、まだまだ夜は冷えるから。
「私はルーナ。貴方はサファイア。目の色が綺麗な青だから」
『スキル テイムを覚えました。フェンリルの祝福を得ました。言語習得率向上、経験値が10%シェアされます。スキル 念話を習得しました』
え?え?獸魔って事だよね。犬じゃなかったんだ。でも魔物って、こんなに大人しいの?
「サファイアのステータスって見られないのかな?」
(良いよ。見せてあげる)
サファイア (15) ルミナリアの獸魔
神狼
レベル 57
スキル 水魔法 氷魔法 爪斬撃 噛み付き 威圧 回避 気配感知 気配隠蔽 忍び足 瞬脚
縮地 咆哮 縮小化 暗視 念話
超強い。何この子。どうして獸魔になってくれたのか分からない位。そりゃ前世から動物に好かれやすい自覚はあったけど。
「サファイア、本当に私の獸魔で良いの?」
(うん。良いよー。僕ルーナの事気になって、側にいるうちに守ってあげたくなったんだ。今はルーナの事大好きだよ)
「ありがとう。私もサファイアの事大好きだよ」
座った位置で、私より頭の位置が高い。ぎゅっと抱きしめて、サラサラの毛並みを撫でると、サファイアが頭をこすりつけてきた。支えきれなくて後ろによろけてしまうけど、凄く嬉しかった。
「暗くなってきたから、今日中の移動は無理かな。まだ村に人攫いがいるかもしれないし」
森の側だけど、変に目立つよりいいだろう。壁をイメージして三方向に土魔法を使って、サファイアが入れる位の壁を作る。ふと、一輪の花が目に入った。花まで淡い緑の小さな花で、魔力を感じる。
鑑定 ??? 魔力草と呼ばれる。
(どうしたの?あー、珍しいね。僕達は精霊草って呼んでるよ。食べると魔力が回復するけど、滅多に見かけない貴重品だね)
「そうなんだ。あ、ツノウシ食べる?まずは解体しなきゃだけど、大き過ぎるよね」
『スキル 解体を習得しました』
あ、やっぱり。一応鑑定 ツノウシ 火を吐く獰猛な魔獣。食用可 角、皮、喉元の火袋が素材。
何か鑑定が詳しくなったな。スキルレベルが上がったのかな?
牛が火を吐くなんて怖い。
『スキル 火ブレス習得失敗しました』
いや、要らない。
「素材らしいけど、皮は分けるしかないよね」
喉元の火袋を取り、風魔法で分断する。大きく四つに分けて調理ナイフで皮を剥ぎ取る。
「どれ位食べる?生?それとも焼いた方がいい?」
(従魔になったから、食べ物はあんまり要らないよ。料理してくれたら少し頂戴)
ルーナは串焼きを作る事にした。塩があって良かった。家のテーブルの上に置いてあった塩だけど、なくなったと思ってたのがアイテムボックスに入ってたなんて…お母さんごめんなさい。
複製して、目に付いたハーブと一緒に揉み込んで味付けする。さっき捨てておいた草が、良い感じに枯れてきたので、薪の下に小枝と一緒に置いて、火魔法を使う。そういえば、一番火魔法が使ってないな。レベルがあるなら使うようにしよう。