私の種族と海
海、の前に、この数日間でお母さんが見つかっていないか、教会に行って確認する。いつも何の音沙汰もないけど、この日は違った。いつか感じた浮遊感と光に目を閉じると、神様の世界にいた。前に見た方達の他に、おっとりとした雰囲気の女性と、筋肉マッチョな男性がいた。豊穣神レレイ様と、戦の神ゴードン様だろうか?
「その通りよ。残念ながら、あなたのお母さんが見つかったから呼んだ訳じゃないの」
「すまんの。昨日の戦いを見て、ちょっと確認したかったのじゃ…少し眠ってくれんかの?」
意識がすうっと遠のいて、白い、ふわふわなソファーに寝かされた。
どれ位時間が経ったのかは分からないけど、神様達は、戸惑っているみたいだった。
「現実世界では時間は経っていないから、安心しとくれ。少しだけ難しくなっているようじゃ。相談されなかったから気が付かなかったが、種族が人族?になっておるじゃろ?」
「お母さんが、精霊の血を引いてるって聞きました」
「いや、種族が確定していないのは本来あり得ないんじゃ。だから先程調べた。いくら我らの加護があってもルミナリアは強すぎる。で、じゃな、元々異世界の魂に、儂らの世界に馴染めるように魂に、力を与えた…それがちとやり過ぎだったようじゃな」
「え…それで私、どうなるんですか?」
「うむ…将来神格を得るかもしれない…いや、将来ではないな。世界樹の実は神の果実とも言われておる。それを口にした事によって、魂がこちら側に近付いてしまった。普通の者が口にしても問題はないが…そもそもヒスイが居なければ口にもできんが」
「私、どうなるんですか?」
「必ず神になるわけではない。もしなったとしても、我らの仲間の一柱として迎えよう」
「もっと優しく言ってあげて下さいな。今までどおり、好きに生きていいのよ?ただ、その力は隠しきれないと思う。だから他人にどうこうされないように、逆に力を付けてもらいたいの。そうすればあなたをどうこうするなんて、出来なくなると思うから」
「レベルを上げればいいですか?」
「基本はそうね。それとスキルアップね。色々な経験も必要だけど、あなたならきっと大丈夫。私たちみんなあなたの事大切に思っているから」
「転生神も、たまに覗きに来ておるしの。安心して幸せを掴みなさい」
「はい…私、幸せになります」
「うむ。ではまたの」
目を開けたら兄様が隣に来ていた。
「随分熱心に祈っていたね?」
「お母さんに無事会えますようにって」
兄様は、優しく頭を撫でてくれた。
「そうだね。こんな可愛い子を残して先に逝くなんて、きっとないよ。さあ、海に行こう」
その前にちょっと、ステータスオープン。
ルミナリア ボルドー(5)
人神 伯爵家養女
レベル23 HP 2372 MP 8315
力 2061 精神 3315 敏捷 2048
幸運 543
特殊スキル
経験値獲得10倍 アイテムボックスEX スキル習得難易度低下 レコード 神速自動回復
創造魔法EX 従属EX 鬼神化 祝福 経験値シェアMAX 言語習得率向上 精霊視
アクティブスキル
属性魔法 上位魔法 結界魔法 付与魔法
複製 精密魔力操作 身体強化 投擲 看破
錬金術 解体 忍び足
パッシブスキル
状態異常無効 苦痛無効 記憶力向上 算術
家事 直感 命中 ティム 念話 魔眼
隠蔽 気配隠蔽 回避 芸術 並列思考
短剣 双剣 棒術
サファイアの主 ヒスイの主 モモの主
主神ガルドの加護 愛の女神ルルティアの加護
魔法神ログウェルの加護 獸神ハザードの加護
豊穣神レレイの加護 戦神ゴードンの加護
転生神の加護
神獸フェンリルの祝福 世界樹の精霊の祝福
称号 転生者 神々に愛されし者 神の卵
加護がめっちゃ強くなってる。人神って事はまだ神じゃないようだ。
今まで以上に見せられないステータスになっちゃったな。
海中に魔物がいるので、この世界の水着は可愛いくない。自動調節機能付きなので、ぴったりとしたウエットスーツだ。地元の人は自分用のを持ってるけど、観光客向けのレンタルサービスがある。
武器は銛のようなもので、突いて使う。夕食で出たオリーブ油焼きも美味しかったけど、シンプルに塩焼きも食べたい。マヨネーズの作り方も伝授しておいたので、この街でも流行ってくれたらうれしいな。
『スキル 補助魔法を得ました』
うーん。魔法って色々あるんだな。呼吸補助の魔法で、空気のない所でも呼吸出来るようだ。心配させちゃうから、今は使わないけど。
前世では泳げなかったけど、ステータスが高いからか、泳げるようになった。
あ!海老発見!やけに大きいけど、早速銛で突いた。
うーん、獲物に対して銛が小さ過ぎる。海底に押し付けて、蹴り潰す。
『スキル 体術を得ました』
体術って、今までに取れてもおかしくなさそうなスキルだけど、攻撃系のスキルには、人によって向き不向きがあるみたい。戦神様の加護で、不向きなスキルも取れるようになったのかな?
早速仕留めた海老を持って、海から上がる。
「おいおい、そりゃ虫だぜ?」
ええっ! 看破 イセビー ランクD 虫系魔物だが、身は甘みがあって美味しい。内臓が薬の素材
って、伊勢海老じゃん!絶対美味しい。内臓は潰したから駄目になったけど、食べたい!
「虫じゃなくて海老だもん!食べるもん!」
「あー…確かに美味しいってあるしなぁ。…食いたくないな」
「絶対あげない!私が食べるんだから。捨てないでおいといてよ?」
「あー。はいはい」
そういうのを食わず嫌いって言うんだから。私も食べたことないけどさ。
よし!次は魚を狙おう。
再び潜って、素早い魚をゲットした。
『レベルが上がりました。ヒスイのレベルが上がりました』
海から上がって、看破 シジミー ランクE 出汁が美味
え…もしかしてシジミ?貝じゃなくて魚なんだ…何かが違う。
「お!そいつはシジミーだな?スープにすると旨いな!」
「うん…スープにするよ。もう一回採ってくる」
よし!今度こそ!
残念ながら、採る前にお昼ご飯の時間が来た。兄様とかお兄ちゃん、いつの間にかバートも採っていたらしい。ミーシャさんが用意してくれたバーベキューの網の上には、ホッケーやサババ、シマージが並んでいた。メートル級の伊勢海老は、網の上が少なくならないと焼けない。その他にもイッカーやタコン、ニジスマがいた。川魚…なんて突っ込まない。だって異世界だから。
形や名前が微妙に違っても、味は同じで非常に美味しい。シジミーは、夜に調理してくれる事になった。ランクは低いけど、素早いので中々採れないらしい。
イセビーは、やっぱり美味しかった。先入観のないお兄ちゃんが美味しいって食べてくれた。兄様も、美味しくて驚いていた。奴が手をつける頃には殆どなく、美味しかったのに一口しか食べられなかったらしい。ざまぁ。
午後の狩りは、補助魔法の水中移動で、思いっきり泳ぐ。あ!蟹だ!大きくて、すごく固そう。
…どうしようかな…よし!風魔法のアレンジで、真空を作って見よう!
『レベルが上がりました レベルが上がりました レベルが上がりましたレベルが上がりました サファイアのレベルが上がりました ヒスイの…』
嘘、レベル上がり過ぎじゃない?とにかく上がろう。
「お嬢様!お怪我はございませんか?」
いつも冷静なミーシャさんが、珍しく慌てている。
「魔法で倒したから大丈夫だよ」
『四属性魔法がレベルMAXになったので、スキル 時空魔法を手に入れました』
おお!念願の時空魔法!でも使えるのは、空間把握と空間固定だけみたいだ。スキルレベルを上げれば収納魔法や移動魔法を使えるらしい。頑張って上げよう。
忘れる前に、看破 カーニ ランクB 肉は非常に美味しく、高額で取引される。甲殻 内臓が素材。魔石の質も非常に素晴らしい。
大きいし、複製したら沢山魔力持っていかれそう。複製のレベルが上がったからか、触れてなくても、一部分だけでも複製出来るようになった。ただし、魔力は余計にかかる。でも、アイテムボックスに入れるなら、人目がない方がいい。休んでいる風を装って、まずは魔石だけ複製…おおう。いきなり2000持って行かれた。蟹爪と、足を複製。…今度は1500。狩った時の魔力混ぜると、半分以下になり、ちょっときつい。でもチートなリンゴを食べるのは嫌なので、回復を待つ。
「如何しましょう。売りますか?食べますか?」
「ん、食べられるのは爪と足だから、それ以外売る」
「では、解体はお任せ下さい。足はすぐにマジックバックに入れて、結界を張って休んで下さい。大分騒ぎになっておりますので」
確かに視線が痛い。私はミーシャさんごと包む結界を張って少し休む事にした。
少し眠っていたらしい。結界の外で入れない兄様達が焦っていた。慌てて結界を解く。
「ごめんなさい兄様、お兄ちゃん、寝ちゃってた」
「無理したんじゃないかい?魔力は大丈夫?」
「平気。ちょっと疲れただけ」
「バート、ソリを借りて来てくれ」
「いえ、私が行きます。かなり目立ってしまったので」
足肉も、少しでいいから出してくれと懇願されて、丁度依頼が出てた事もあったから、半分出した。
足一本で5人位食べられるから、屋敷中で食べても充分なのだ。
私のランクがFだから、Cランクにならないとカウントされないけど、本当に私が倒したのか疑われたけど、前にもCランクのフォレストバイパーを倒した話をしたら何とか納得してくれた。兄様にバレちゃった。
金額的には全部で白金貨一枚と大金貨一枚、金貨が25枚になった。金貨5枚だけ残してカードに入れた。急にお金持ちになった気分だけど、奴隷を買うとしたら大金貨以上必要になるって話を小耳に挟んだので、使い道は決まったも同然だ。別に私が買わなきゃだめって事はないけど、父様に負担はかけたくない。




