ロングソード+3
血の海の中に倒れ伏す女は既に息絶えていた、魔術師の男は愛する女の亡骸を前にして崩れ落ちるように地面へ身体を投げ出した。
事の始まりは盗賊ギルドの抗争の激化であった、難を逃れようと二人は隊商に紛れて街を離れようとしたが不幸にも隊商は妖魔の部族から大規模な襲撃を受ける。
隊商の先頭で警戒に当たっていた女性の軽戦士は雪崩をうって襲い掛かって来た妖魔たちの猛攻を防ぎ切る事が出来ずに早々に命を落とす。
数時間にも及ぶ激戦の末に隊商の警護部隊は妖魔の部族を蹴散らしたが、全体の六割にも及ぶ犠牲者が命を落とし、少なからぬ財貨を乱戦の中で奪われていた。
奪われたのは隊商が運んでいた貨物だけではなく、護衛として闘っていた冒険者の装備品も含まれる、女性の軽戦士が持っていたロングソード+2もそのひとつである。
ロングソード+2は下級妖魔であるゴブリン達が争うように奪い合ったが、騒動に気付いた上級妖魔であるダークエルフの手に渡った。
ダークエルフは月が満ちる数日後、邪神に生贄を捧げる儀式を控えていた。
生贄の心臓を貫くのに相応しい名剣を探していたが、このロングソード+2のままではいささか格が足りない。
ドワーフ仕立てのこしらえは気に入らないが銘品であるのも確かで、封じられた魔力もなかなかのものである。
これ以上の出物を探す時間も無いだろうと判断したダークエルフは己の部族に古くから伝わる彫金の技術でロングソード+2に魔紋を刻み込み、剣に元々籠められている魔力に加えて周辺の精霊力も利用する高度な魔術回路をロングソード+2に形成した。
ドワーフの鍛冶技術、人間の魔術、ダークエルフの彫金と精霊の知識が合わさってロングソード+2はロングソード+3となった。




