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22―地下二階層


「魔物に見送られながら先に進むってのは、どこか異様な光景だったな」


 扇状に整列した一角ラビットたちは俺たちが広間から空洞の中に姿を消したとき、ピョンピョンと跳ねながら手を振っているみたいだった。


 空洞の中は一本道になっており、光球に照らされる闇の奥へと歩みを進めていると、下層に降りられる螺旋状となった洞穴に到着した。

 この洞穴の手前にあった空洞を見つけたときライドがそれはだな、と説明をしてくれ、どうやら枝分かれしていた左ルートの出口だったようだ。


 今は洞穴の中を覗き込みながら、ぐるりと左回りに下がっていく空洞内を確認していた。もちろん何か異変が起きないだろうかと視認したあと、聞き耳を立てて確かめる。

 いくら探知察知があるから周辺確認は大丈夫だからと、高を括るつもりはない。

 そうして警戒しながら洞穴の中に一歩足を踏み入れると、


「この先からはアンダーベアのような強敵が出てくる」


 背後から用心しろとライドが念を推してくる。

 アンダーベアとは、ギルドの酒場でダンジョンの説明を受けたときに言っていた熊型の魔物のことだ。

 あぁ。と相槌を打ち、


「それよりも蜘蛛型の魔物が出るとは聞いていなかったが、ライドたちは遭遇しなかったのか?」


 ギルドでも言ったがと、


「一角ラビットが棲処にしていた空間は把握していた」


 それと先にも説明したとおり、小さなとは言っても魔物相応の大きさをした蛇型の魔物が居たはずだった。


「あんな大きな蜘蛛の魔物を見たのは俺も初めてだ」


 それに以前は遭遇しなかったと付け足したところみると、ライドが仲間たちと地下迷宮(ここ)に潜った頃とは様変わりしていると言う事だろう。


「思っていたよりも難易度はさらに高くなっているようだな」


 森に開いた大穴を見てからは下層へ潜る方法は縄を垂らして開いている穴から降りるものだと想像していたが、こちらは良い誤算だった。

 洞穴の中は進んでみると、人が二、三人は纏まって移動できる程度の幅高があり、その空洞は傾斜になった螺旋状の空間が下層へと続いていた。

 いくら程よい広さがあるとしてもジメリとした嫌な空気が肌にまとわりつき、下るに連れて、


「長くて狭い螺旋に思えてくるな」


 ここで魔物に襲われたら少し厄介だ。

 感覚が麻痺して相手との距離感が掴みにくい。


「各階層の魔物は他の階層には上がってこないはずだ」


 螺旋で魔物と遭遇した事も、下層の魔物を上層で見かけた事もないからなと、ライドは険しい表情を浮かべている俺に声を掛けてきた。


 ダンジョン内の魔物は固有のなわばりを持ち、行動範囲もその中だけに限られているという事なのだろうか。

 魔物の生態系は俺よりもライドの方が詳しいかと、思案した内容はたぶん正しいだろうと結果を出しておくと、視界の先に浮遊する光球がポワリと照らし出す範囲を広めた。

 またも大きな空間が広がっている事は明らかで、この螺旋の出口だと確信すると同時に、光球では照らしきれない広さなのだと実感した。


「ひろーい!」


 俺の脇を潜って一歩前に出たロロアは、その壮観な光景に興奮していた。

 螺旋の空洞を抜けて眼前に広がったのは、自然に出来ただろう何本もの柱が天に向かって聳え立つ、まさに大空洞と呼ぶに相応しい神秘的な空間だった。


 氷柱を逆立てた様に広がるその光景に見とれ、思わず周囲への警戒を解きそうになる。自然の壮大さに呆気にとられてしまったが、気を引き締めて周囲の確認に入った。

 広すぎて光球では照らしきれておらず、出口のあった壁伝いに光球を移動させてみたところ、相当の距離を浮遊すると行き止まりに到達したようだ。


 距離にして優に百メートル近くは移動しただろう光球を、今度も角を曲がらせて俺たちの進むべく方向へと進行させる。

 すると遠くてわかりずらいが、岩壁の低い位置に無数の穴が開いている事に気がついた。


 今俺たちの周囲を照らしているのはライドの持つ松明だけ。

 もしも魔物が近くに居れば、俺たちはここですよと手招きしているようなものだが、俺だけは探知察知で魔物の居所を把握していた。

 危機感が欠如していると思われても仕方がないライドが、本当に上から数えて三位に位置するBランク冒険者なのかと疑いたくなったところ、


「岩壁にあんな穴は開いてなかった気がする」


 一応地図を描くために一通り調べたはずだったんだがと口にすると、ギルドへの報告の為にあの穴が何なのか確かめさせてほしいと言ってきた。

 こういう地道な努力がBランクまで成り上がることのできたコツか。


「あれは魔物の棲だ」


 探知察知には穴のある付近からまばらに散った赤い光点の反応がいくつもあった。

 その反応に穴の中を塒にしているだろう事は十分に理解できたため、


「ロロア、もしもの時はリロードマジックと唱える事を忘れるな」

「うん」


 近くに魔物が居るんだねと、ロロアは首から提げた魔石の首飾りを握り締めた。

 ロロアはもう大丈夫だろうが、問題はこっちのやつだ。


「なあカザミ」


 呼ばれて視線が交差すると、あれは遠隔で操作できたのかと、光球に向かって視線を飛ばし直した。

 光球がまだ岩壁沿いを浮遊していたが、急遽こちらに光球を戻すと、


「せめて遠目からでも確認しておきたかったんだけどなー」


 どんな魔物がこの階層に棲みついたのかなんて、他のパーティーとやってくれ。

 あまり魔物を刺激せず、避けられる戦闘は出来る限り避けていくつもりなんだ。

 

「それで、このまま進めばいいのか?」

「ずっと先に進んだ右側に空洞が開いている」


 そこが螺旋の空洞に通じているんだと、地図も見ずに説明する。

 まぁ一度訪れれば、この圧巻の階層は記憶に残るか。


 俺たちは周囲を警戒しながら固まって進んだ。

 光球からの光量が届かない暗闇はどうなっているのかわからないが、それでも先ほど直角に光球が移動したことから、この階層は四角い部屋になっているだろうことが想像できる。


 抜けてきた螺旋の出口の位置からして、俺たちは今、階層のちょうど真ん中辺りを移動してるはずだ。前衛職のライドを先頭に行かせるのではなく、ここも、これから先ももちろん俺が前を行く気でいる事を流れで理解している二人は並んで後をついてくる。

 ライドは主に穴の在った右側と後方に注視しているようだが、ロロアの方はキョロキョロと忙しそうに視線を右へ左へと振りながら辺り全体の警戒に勤めていた。


 そんなロロアの様子を見ていたライドは、


「こんな場所で全方位からこられちゃ笑えないよな。へへっ」


 こいつはバカだ!

 そうならないようロロアは忙しく首を振って周囲を確認しているんだろ。

 ロロアには悪いが、魔物が近寄ってきていない事はわかっている。俺が今は安全だと伝えないのは、お前とは違い危機感を肌で感じてもらうためだ。

 

「かじゃみがいるもん。だいじょうぶ」

「前は背中合わせで死角を無くしてたんだ」


 ロロアちゃんは左側を念入りに頼むよ。俺は後方と右側を見てるからさ。


 かみ合わない会話が静かになったところ、なるほどなと、ライドは少人数での慣れない行動に不安を感じていたのかと俺が一人納得したところで、


「まだつかない?」

「まだまだ先だったと思う」


 静けさからか、ライドの不安はロロアにも伝播したらしく、緊張を誤魔化すように小さな声で会話をし始めた。

 ロロアの緊張が誤魔化せるなら、これぐらいはいいだろうと目を瞑るが、状況がそれを許さなかった。

 探知察知に岩壁とは別の赤い光点が五、六と左前方に映し出され、それは暗闇の中をこちらに向かって静かに移動していた。


「……鉄臭いな」


 探知察知に気を取られていたため、どんな魔物が居るのかも考えずに思わず言葉が洩れた。

 無風だったため、近くに寄るまでは臭いを感じなかったが、鉄臭さが鼻をツンと刺激する。

 足元を見れば、この異様な光景と血生臭さにすぐにも気づけたはずだった。絶妙なタイミングで魔物が現れたものだと感心してしまった。


 後方を見ながら進んでいたライドも、小さな血溜りに足を突っ込んでしまったようで、ペチャッと液体の撥ねる音を響かせた。

 音のない空間に撥ね音がよく響くと、まだ気づいていなかったロロアが鼻でスンスンと臭い確かめていた。


「なんかにおうよ」

 

 それもそのはず、俺の目の前には小川の様に血の流れた跡が残っていて、それはまだ乾いてもおらず、時間にしてもほんの少し前に流れ出ただろうことは明白だった。

 足を止め、左手を横に伸ばし、裏返した掌でロロアに制止を促す。


「左前方から右側に回り込みながら魔物が近づいている」


 暗闇の中に身を紛れ込ませ、注意深く柱の陰を利用し移動続ける魔物は、すでに俺たちに気づいているだろう。俺の声を聞くと獣の様に「グルゥウ゛」っと唸り声を上げたので、声の方向に対して背中は向けず、相手を刺激しないさいよう一歩ずつ、光球をその場に浮遊させたまま静かに柱の陰に身を隠した。


「きゃッ……」


 ロロアの口を掌で覆い、声を殺した。

 不意を衝かれたように驚きの声を上げそうになっていたロロアの口を掌で覆い声を殺すと、指を口許に立てたライドが、


「こいつらが地下狼(アンダーウルフ)だ」


 身を隠した柱の裏には、ご丁寧にも積み上げられたアンダーウルフの亡骸が転がっていたのだ。

 まるで北国に棲む様な真っ白いふわふわの毛皮を身に纏い、肉付きの良い体躯のアンダーウルフは、大きいもので一メートル弱程度の大きさだろうか。

 幻の北極狼を間近で見る機会があれば、それはたぶんこのアンダーウルフの様な姿をしているのだろう。


 黙ってアンダーウルフの亡骸に視線を送っていると、ロロアは口を覆っていた俺の手をパンパンッと叩き、苦しい……と小さく声を漏らした。

 思考が現実へと戻ってくる感覚にハッと目を覚ました気分だった。静かにな、と伝えるとコクコクと首肯して見せたので、俺はゆっくりと口許から手を離す。


 すぐ傍らに積まれたアンダーウルフの亡骸を指で軽く突いたロロアは、


「まだあたたかい」


 でも死んでるんだねと静かに口にするロロアに、俺は黙って頷いた。

 鉄の匂いは、このアンダーウルフたちの流した血の匂いだった。亡骸には真新しい剣傷が残っているので、おそらく先に進んだ騎士団が始末したのだろう。

 剣傷と言っても、斬られた傷は少なく、ほとんどが首元を一刺しされていた。


 薄暗い闇の中から、積まれたアンダーウルフと同じ容姿をしたウルフ群れが姿を現し始めると、


「次は俺がなんとかする番だ」


 光球が邪魔だ、二人は先に行ってくれと、ライドはヒラヒラと手を振ってくる。


「松明と盾で両手が塞がっているくせに何をする気だ」

「俺のかっこいい姿もロロアちゃんに見せておかないといけないだろ」


 全身鎧(フルプレート)で首元までスッポリと頭部全体を覆う兜の、上げていたブレス部分(視界を確保する部位)を下げると、ロロアに向かって突き出した拳の親指を立てて見せた。

  

「あぶなくなったら、にげないとダメだよ」


 ライドに向かってロロアは握り締めた両手を軽く振って見せながら、


「あぶなくなったらにげるんだよ」


 体は応援してる素振りだったが言葉は正直だったようだ。

 ロロアの頭の中はライドで大丈夫なのだろうかと、すでに心配でならない様子。それもそのはず、二人は先に行ってくれと口にしたかと思えば、直後にはかっこいい姿を見せるとはりきった様子のライド。

 色々矛盾している事にロロアも気づいてしまい尚更心配になってしまったのだろう。

 自棄になっているという事ではないので、そこは触れずにいてやろうな。


光球(ライトボール)を一つ、お前の傍に寄せておいてやる」


 光球が邪魔になると言っていたが、それでは松明片手に盾を持った、まさにシルエットだけならさまよう鎧をただ置いて行くだけになってしまう。

 そう思い進言したのだが、


「今回は松明の薄暗さが肝心だからな。それは遠慮しておくさ」


 なら先の空洞で待っているからなと伝えると、ジワリジワリと距離を詰めてきていたアンダーウルフに向かい、注意を引き付けるため声を張り上げ駆け出した。


「ウオー!」


 大声を上げるライドがそのまま柱の陰から出て、光球に照らされていたアンダーウルフの群れ目掛け突貫する様子を確認して、


「走るぞ」


 ロロアと一目散に駆け出した。

 前方を照らすため浮遊させていた光球戻すと、闇の中で燃える松明だけが揺らめいていた。


◇◇◇


「よし、二人は行ったようだな」


 アンダーウルフの群れを惹きつける事に成功したところで、俺は盾を構えながらチラリと視線を泳がせ、二人が先に進んだ事を確認した。

 すると隙を突こうと一瞬逸れた視線を見逃さなかった最前に居た一体のアンダーウルフは、一駆けで急接近してみせるとそのまま飛び掛かってきた。

 

 焦らずに左手で持つ盾をしっかりと地面に付け固定し、飛び掛ってきたアンダーウルフの爪撃を防ぐと、盾の上縁部分に爪を引っ掛けてしがみ付いていた。

 後ろ足で踏ん張りを入れて俺の頭上にもう一度飛び出そうとしたところで、俺は盾を勢いよく振り下ろしてしがみ付いていたアンダーウルフを振り落とした。



 岩壁の穴がアンダーウルフの作った棲家なのは明々白々。

 以前よりも好戦的に感じられるのは殺された群れの仲間の復讐心に燃えているから、この様子を見ていれば言わずとも知れた事だ。

 けれども、その怒りを俺たちに向けるのはお門違いってもんさ。


「オラッ!」


 振り落としたアンダーウルフは後方に飛び退いたが、それと入れ替わる様に残りの五体のアンダーウルフが距離を詰めてきた。

 咄嗟に松明を振り回して怯ませると、唸り声をグルゥ゛と洩らしてその場で様子を窺い始めた。


 一歩踏み込めば届く距離に居るアンダーウルフ。


 後方へ退いたアンダーウルフも群れに加わり六体が一塊となったところで、俺は右手に持っていた松明をアンダーウルフの後方へと力一杯に放り投げた。ゴトッ、ゴロゴロっと松明は地面を転がると、唯一の光源は光を弱め薄暗くなっていく。


 辺りは完全に暗闇が支配した。

 光源が消えたことで、アンダーウルフの瞳からは薄気味悪い妖光が放たれる。


 別に自暴自棄となって松明を投げ捨てたのではない。これは俺の作戦だ。

 戦いの最中、単独となってしまった前衛職ならば、いついかなる時でも生還する事を第一に置く。

 つまりはパーティーの中で最後まで生き残った場合、討伐手段を用いない盾職(ガーディアン)は選択を迫られる。

 逃げるか、応援を待つか。

 もちろん俺は前者さ。後者はたぶん、生き残った俺は選ばないだろうよ。その時が来たとすれば、信を置ける仲間が居なくなった時なんだから。


 松明を捨て、アンダーウルフを近づける事はできたが、向こうもそう簡単には作戦を実行させてはくれないみたいだ。

 至近距離から大きく口を開けたアンダーウルフは、盾が邪魔だと言わんばかりに火を吹きその猛威を振るった。


「【失われし城(ロストキャッスル)】」


 火を吹いたのは塊の隅で気配を消していた奴だったが、咄嗟のあまり防御スキルを発動させて正解だった。

 隅の一体がカザミの扱っていたものと似た火炎放射を放った直後、それに続けと言わんばかりに群れの後ろに居た盾にしがみついたアンダーウルフが「ワオン!」と一吠えしたところ、たちまち残りの奴らも我の先にと火をボフーッと吹いてきやがった。

 俺は仲間の聖職者(クレリック)マリンが戦闘前に施してくれる防御魔法、纏聖(クロッシング)があればと脳裏を掠めたが、今はそんな事を言っている場合ではない。

 これを耐え切るしかない。俺はアンダーウルフの猛攻を、握り締めた盾一つで受け止め続けた。


 本来ならアンダーウルフに関係なく、狼系統の魔物はリーダー固体を軸にして配下に指示を出し包囲殲滅、それこそ狩猟を生業にしている猟師の如く緻密な連携の上で的確に、そして確実に獲物を狩りにやってくる。

 だがこの群れは、


「ウルフにしてはやる事が単調すぎる」


 囲んで相手を翻弄し、追い詰め群れでトドメを差しにくる習性を持つウルフにしては正面からの集中攻撃ばかり。そうであれば導き出される結論は一つ。


「あれは仮初のリーダーってことか」


 ワオンと吠えてはみせたが、本来の群れのリーダーは柱の裏で屍になっているようだ。

 まとめ役が必要だと群れのリーダーに名乗りを挙げたはいいが、出来立てのダンジョンでは経験を積めなかったみたいだ。


「まとまっているなら好都合」


 そろそろ頃合いだ。これでもくらいやがれ!


 アンダーウルフから放たれていた火が吹き終えた直後、手甲に忍ばせていた筒を足元に向けて叩きつけてやった。

 ピカーッ! っと強烈な閃光が瞬間的に周囲を明るく照らし出し、閃光の眩さに視界を奪われる。

 突然視界を奪われた生物ってのは感覚器官が麻痺するようで、自分の意思と関わりなく硬直した状態で数秒呆けてしまうらしい。

 今度は俺がその隙を見逃さずに、アンダーウルフの群れにすかさず盾を薙いで群れに強烈の一撃を叩きつけてやった。


 一塊になっていたアンダーウルフは、キャンッと可愛らしい声を上げ吹き飛ばされていった。

 着地のしどろもどろな状態で、生まれたての子羊の様にピクピクと小刻みに震えるだけ。視界も奪われ相手の位置がおぼろげになってしまった以上、その場からは動かず狼らしく嗅覚と聴覚をフルに活かして追撃を警戒していた。


「十分かな」


 カザミたちが先の空洞に辿り着く為の十分な時間稼ぎはできたはずだ。今度はチラリと視線をカザミたちの向かった方向へ向けても、アンダーウルフの群れはその場から動こうとはしなかった。

 俺も遠くで輝く光球を目指して暗闇の中を走り出した。


 離れていく俺を追う事はせずに、若い群れのリーダーが「ワフッ」と小さく鳴くと、群れもそれぞれに警戒はしたまま耳をピンと立て、駆け抜けて行く俺の足音を拾っていただけだった。


 「にしても防御魔法がないと火の魔法もここまで熱くなるのか」


 あちちっあつっ……。

 盾を右手左手と交互に持ち替えながら、オーガからの至近距離メテオを受けて生還できたのはマリンのおかげだと、俺は心からマリンの補助魔法(存在)の大きさを再確認させられた。


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