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食事が終わり、リビングのソファーでコーヒーを飲み一息ついていると伯母がアンドロイドに話しかけ始めた。
「調子はどう?、不具合とかは無いかしら?。」
「うん、元気だよ。」
「そう。」
「ちょっと。」
にこやかに話す2人に私が割って入る。
「なーに?。」
「聞きたいことが山ほどあるんだけど。」
「もー、すーぐ難しい顔するんだから優希は。」
「誰のせいよ。」
伯母は、テヘッと小声で言いながら頭に手を当ておどけて見せた。
「なんなの、このアンドロイド。」
「電話で話したとおり、今研究開発してる新型アンドロイドよ。」
「どうして私を、モニターに選んだの。」
「それは、あれよ、あれあれ。」
「あれって何よ、伯母さんだって規約を忘れてるわけじゃないでしょ。」
「まーまー、気にしない気にしない。」
「気にするわよ。」
「それよりこの子、何で裸なの?。」
言われてみればそうだ。
起動してからずっと裸で過ごしている。
辛うじて、前はバスタオルで隠している状況だ。
「ちゃんと服も箱に入れておいたのに。」
「え、そうなの?。」
アンドロイドが置きっぱなしの箱の中の梱包材をかき分け探すと、袋に入った新しい服が入っていた。
「でも、上と下1着づつじゃこれからの生活で足りないわよね〜。」
「これからの生活って、私預かるきないわよ。」
「そーだ、2人ともお小遣いあげるから新しいお洋服とかこれからの生活に必要な物買って来なさい。」
「ちょっと、人の話聞いてる?。」
「やったー!、行こ行こ優希!?。」
「だから、人の話を...。」
「ほらほら善は急げよ、いってらっしゃい。」
伯母に、背中を押されなかば強引に外に追い出されてしまった。
「ちょっと!。」
「はーい、いってらっしゃい。」
「行くなんて言ってない!。」
扉を開けようとしたが、ロックがかかってて開かない。
インターホンを鳴らすが、伯母は出ない。スマホもカードキーも部屋に置きっぱなしで入る術がなく途方に暮れた。
「せっかくだから行こうよ。」
アンドロイドが嬉しそうに私に笑いかけながら手を差し伸べてくる。
私はその手を無視し、むすくれながらエレベーターの方へ歩き出した。