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おかえり  作者: 凰雛
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私は雨が嫌いだ。

眠りは浅くなるし、頭は痛いしイライラしてしかたない。

肌寒く感じたり、湿った空気もあまり好きでない。

雨の日が続き、機嫌悪く起きた昼過ぎ。

スマホの着信と、タブレットに送られている仕事のメールのチェックをコーヒーを飲みながら済ませる。

イラついている原因の一つが鳴り続ける着信音だ。朝から会社からの着信が何件も入っている。

素直な話し、会社に出向くのが面倒い。

まあ、3ヶ月ほど行ってないせいではあるが...。

仕事はきちんと納期を守っているし、今のところ出来たプログラムも問題は出ていない。

しかも雨が降っている。

こんな時に会社に行って、特に変わり映えしない会議に参加させられるのはまっぴら御免だと思う。

しかも新しいプログラムの開発をしてて徹夜が続いていたし...このまま着信を無視して寝てしまいたい。

マグカップに残っていたコーヒーを飲み干しベットに行こうとすると、


『ピンポーン』


...誰だこんな時に。だるい足をフラつかせながら玄関のインターホンを確認する。

「はい...。」

「アラスカ宅配便です。すみません、こちら東条優希さんの御宅でしょうか?。」

「ええ、そうです。」

「お荷物お届けに参りました。大型の荷物なので中に運ばせていただきます。」

届いた荷物は2m近い箱だった。重たいものらしく男性2人がかりで部屋の中に運ばれた。

送り主は私の伯母だ。いったいなんだろう?。

とりあえず箱の梱包を外し中身を確かめてみる。

箱の蓋を開け、中身を見た途端私は蓋を閉め直した。

嫌なものが入っている、私はそう認識した。

アンドロイドだ。

私が、雨に続いて嫌いなものだ。

今の時代、一家に1台、いや1人に1台アンドロイドが共にいる。

人権を認められ人間と同じように住民票も取得できる。それくらい共にいるのが当たり前の時代なのだ。

しかし、私はアンドロイドが嫌いだ。

その事を叔母の薫子も知っているはず。

なのに...何故。

確かめるためもう一度箱を開けてみる。

箱の中に入っているのは男性型のアンドロイドだ。

背は170cmくらい、細身だけどそこそこ筋肉もある。

整った顔立ちに長いまつ毛、サラサラの金髪。

製品番号が付いていない...通常首の後ろ側に付いてるはずの番号がない。

体の隅々まで調べたけど見つからない、まさか...。

私は机に置いといていたスマホを手に取り電話をかけた。


『はーいもしもーし。』

呑気な声で伯母が電話に出た。

「ちょっとこれ、どーゆうこと?。」

『あ、無事に届いたー?、よかったよかった。』

「よかったじゃないわよ、どうゆうつもり?。私がアンドロイド嫌いだって知ってるのに...。」

『あのねーその子今私のチームで作ってる新型なのー。』

「は?。」

『それでー、悪いんだけど貴女にその子のモニターになってもらいたいのよー。』

「ちょっと待って、それって。」

『まあ、詳しい話はその子に聞いてね〜。じゃーねー。』

「ちょっと!。」


プツ...ツーツー。

あ、ありえない...。

雨に続いて、こんな訳のわからないアンドロイドを送り付けられるなんて...。

打ちひしがれていると箱の方からガサゴソと動く音がした。驚いて振り向くとすぐ後ろにあのアンドロイドが立っていた。

「何で?勝手に...。」

「おはよう、マイハニー。」

すぐさま、怒りのままに伯母に電話をかけた。



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