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掌編小説集7 (301話~350話)

あるから

作者: 蹴沢缶九郎

山があるから登る。


海があるから泳ぐ。


空があるから眺める。


陽があるから浴びる。


道があるから歩く。


店があるから入る。


欲しい物があるから買う。


家があるから帰る。


テレビがあるから付ける。


面白いから笑う。


飽きたから消す。


腹が減るから食べる。


時計があるから見る。


風呂があるから入る。


布団があるから寝る。


明日があるから備える。


夢があるから見る。


朝が来たから起きる。


目的があるから出掛ける。


標的がいたから取り出す。


刃物があるから取り出す。


標的がいるから突き刺す。


刺したから倒れる。


気分が良いから笑う。


警察が来たから捕まる。


それでも僕は笑う…。

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