第ニ説 深海へのエレベーター
次の一手を打ち始めた国外アリスと、糸島君、米沢先生。この一手がさらなる悲劇を生むことなど誰が・・・予想・・・したことか・・・。
第ニ説 深海へのエレベーター
突然校内へ侵入してきた「通り魔」。逃げ遅れてしまった私と、糸島君そして米沢先生。一時的な対処として学校にある防火シャッターを降ろした。そして・・・
「この後はどうする国外アリスさん」そんなことを訴えるような視線を二人は送っていた。「通り魔には、まだこの三階に上がってくる方法があります。火災の時には絶対に使うはずのない、エレベーターです。なので、エレベーターを封鎖しようと思います」注意力の高い私が出した次の一手だった。
三階には、三年一組の教室、三年ニ組の教室、生徒会室、図書室、コンピューター室、調理室、美術室があった。エレベーターを一つ封鎖するには、充分すぎるほどの材料がこの階にはあった。
「先生は、美術室から机を運んできてください。糸島君は生徒会室から、大縄跳び大会で使われる縄を持ってきてください」二人は頷く前に行動にでた。私も続いて調理室に向かった。
私は調理室に着いた。「やっぱりか」そう思ってしまった。この時期は、まだ学校が始まったばかりだから、調理室に入る生徒や先生がいない。だけど、それが今回の判断の決め手だった。美術室には、そもそも鍵自体が付いていない。生徒会室には、鍵が付いているが、大縄跳び大会の準備に追われているからこそ、朝早くから学校に登校して準備に専念していたことを知っていた。だから、生徒会室の鍵が開いているという確信があった。
私はスカートの中に手を入れた。そして、取り出したものは、ピッキングツールのセットだった。私がしようとしたことは、ピッキングだった。なぜ、私がこのようなものを所持しているかというと、単純に私が恥ずかしがり屋だからである。先生と話すのが苦手な私は、よくピッキングをしていた。先生に特別教室を開けてもらうように頼まなくて済むからだ。
「ガチャッ」調理室の鍵が開いた。ピッキングツールをポケットにしまい、スライド式のドアを開けた時、まさか、あのような光景が目に飛び込んでくるなんて・・・
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