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高層マンションにSTOP!  作者: 嬉野三太郎
反対運動の始まり
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住民の組織は難しい

  住民運動組織の運営は簡単ではない、というより難しい。運営するのは運動経験を積んだ人たちではなく普通の市民だ。それぞれに違った職場などで異なった経験を持っているし、もはや性癖が変わる年令でもない。常識もそれぞれに異なる。これといった運営のコツというものはないが、強いて言えば「よく話し合うこと」「よく知らせること」これにつきる。


  運動の初期に起こった行き違いの一例はお茶代だった。運動のやり方などを先行する反対運動の人たちから聞くのに喫茶店でお茶を飲んだ。民間企業の営業畑の人にとっては必要経費でこれを会の会計で処理することに何の問題もなかった。しかし、公務員の感覚ではこれはあり得ない支出になる。


  こんな小さなことでも議論になり、飲食費というのは一番中傷のネタになることを考慮してこのような出費は一切しない事を決めた。会のために良かれと思ってやった事を否定されたと感じた当事者は憮然たる面持ちだった。


  しかし、この人はこれを受け入れ、その後も会の活動に先進的に取り組んでいった。「住民の結束が大事」だと言うことを各自が意識して、自分の主張に優先させることが出来たのが大きい。飲食費の問題がもっと大きな額で現れる前にお茶代位で議論になったのは良かったとも言える。ちいさな事でもよく話し合うことが大切であることも学んだ。メールリストを使ったのは、オープンに話し合うことに大きく寄与した。


  他のところの事例なども聞いてみると、議論はなるべくオープンにした方がいいことは明らかだ。一部でこそこそと陰謀的に物事を進めたり、有力者のコネを頼って解決を図ったりすると大抵運動は頓挫してしまう。


  とは言うものの、実際には会の運営には紆余曲折があり、その後も何回も難しい局面に見舞われた。住民運動の運営は本当に難しい。だからこそ運動が実を結んだ時の喜びはひとしおなのだとも言える。


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