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百原まつり

  マンション紛争で住民側が勝利することは少ない。私たちも何とかして勝ちたいと思いながらも、実際勝てるとは思っていなかった。百原一丁目の空に覆いかぶさるような十四階建てを想像し、憂鬱な気持ちにさせられた。しかし、駆け込み着工は阻止され、もう百原一丁目に十四階建てが建つ事はない。


  この半年間の闘いで得られたものはもっと大きかった。何とかして高層マンションの建設を阻止したいということで、住民が結束した。何度も説明会や住環境を守る会で話し合ううちに、これまで、知らない隣人であった御近所どおしが、みな顔見知りになってしまった。住環境を守る会の活動のおかげで、百原一丁目がさらに住み心地のよいものになったといえる。


  この勝利をお祝いしたい。住民の気持ちは「百原まつり」を行うことに結実した。四月一日の日曜日、百原一丁目の真ん中にある「けやき公園」に、思い思いのご馳走を持ち寄り楽しい集いとなった。


  公園は「高層マンション反対」の赤旗で飾り付けられ、運動で使った看板も集められた。子どもたちは看板で作った御神輿をかついだ。焼きそばやバーベキュー、おでん、エビチリ、ケーキ、おもち、その他ありとあらゆるご馳走が並び、お腹一杯に楽しんだ。 地域のレストランからも美味しい差し入れがあった。


  十四階マンションを阻止した住民の力は、自分たちの住環境は自分たちで守るという住民の気概を示したものだ。高度地区規制が発行しても、一八m以下の建物には規制がかからない。まだまだ、悪辣なマンション建築が百原一丁目を狙ってくることが考えられる。百原一丁目の住民は、これからも住環境を守っていくために団結していく。百原まつりはそういった決意を確認するお祭りでもあった。


  これが恒例となりその後も百原一丁目では毎年、桜の季節にお花見を兼ねて百原祭りを開催することになった。民衆の中から生まれた各地のお祭りはそれぞれにその始まりの伝説を持っているが、研究学術都市では高層マンション阻止を起源とするお祭が根付いて、新たな都市の伝統が生み出されたことになる。

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