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高層マンションにSTOP!  作者: 嬉野三太郎
都市計画を住民の手に
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高度地区指定を目指して

  月葉市では、百原の十四階以前にもあちこちでマンション問題が起こっていた。市としても無秩序なマンションの乱立をこのまま野放しには出来ず、高度地区指定を行い、ビルの高さ制限を導入するようであった。地域区分することで建物高さに一定の制限を加える都市計画である。法律自体は国が定め、具体的にどの地区にどの基準を適用するかが地方自治体に任されている。月葉市長が三月議会で、来年度には高度地区指定を行うことを明言して、市当局は準備作業にはいっている。


  百原住民もこのことを知って、これを頼りにしたいと思ったのではあるが、制定されるのは来年の四月だと言う事だった。タワラコーベンの工事看板にある着工予定は二月一日であり、いささか手遅れな感じもした。すでに建っている建物や着工済みの建物には新しい規制は適用されないからだ。それでも今はこれ以外に頼りになるものはない。


  さらに調べてみると、高度地区指定は建物の絶対高さを一八mに制限するものであったが、それは全ての地区に適用されるのではなかった。一部の地区では北側の隣地からの斜線制限だけになることもわかった。具体的な区割りは十月に案が発表されるが、議会ではすでにその原案が説明されていた。議会で配られた資料を見せてもらったら、なんと百原一丁目は高さ制限の区域に入っていない。この説明案ではだいたい中心街と北部地区を高層住宅地と見ており、南部地区を中層住宅地と見ていた。学術都市の中心部に近い百原一丁目は境界で、高層住宅地に属してしまっていた。


  とにかく、なんとしても百原を高さ制限の地区にしてもらわないといけない。市役所に談判に行こうということになり、第一回目の市役所訪問となった。マンション反対運動の中では、行政を動かすことが終始重要であったが、私たちの行政に対する働きかけの活動はこれが始まりであった。都市整備課の人たちを相手に、百原こそが高さ制限をすべき場所であることを皆で力説した。南北の地区で分けるよりも、大通りに面した所と、生活道路に面した住居地区を区別することの合理性を口々に訴えた。


  結果が出たのは、第一回の説明会の翌日だった。正式な高度地区指定の原案が公表され、北部の高層住宅地、南部の中層住宅地、大通り沿いの高層住宅地と言う三通りの区分になっていた。境界にあった百原一丁目はからくも中層以下の第一種高度地区に入った。我々の訴えは効を奏したことになる。タイミングよく訴えれば行政もあまりに非合理な決定は出来ないということだ。来年四月からは、一八mの絶対高さ制限が適用されることになる。しかし、それはあくまでも来年四月からのことであり、着工予定よりも二ヵ月も後のことである。規制の実施を早めること、工事の着工を遅らせること。それ以外にはなかった。しかし、当然業者も抜かりなく準備しているし、その道のプロである。道は依然として険しい。


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