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高層マンションにSTOP!  作者: 嬉野三太郎
説明会での奮闘
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なぜ住宅街に高層マンションが建つのか

  小店舗や住宅が並ぶ穏やかな場所に突如として高層マンションの建築が始まり紛争となることが全国的に頻発するようになった。周りには取り立てて高い建物もないのに、いきなり高層マンションなら、その圧迫感は相当なものである。日照は奪われ、道路は渋滞し、学校は児童数の急増となるし、長い間培われてきた地域環境は一変してしまう。このような事態が大都市だけでなく全国の地方都市にまで広がっている。マンションディベロッパーと呼ばれる業者が乱立し、粗利益率二五%の利潤により急成長を遂げており、耐震偽装事件ではそのあきれるような無責任さが露呈した。


   このようなマンションブームは昔からあったものではなく、一九九四年にバブル経済が崩壊した直後から突如として始まったものである。それまで年に数万戸であった首都圏のマンション建設が急激に増大し、年間八万戸レベルに跳ね上がり、現在に続いている。バブル期にはオフィスビルの需要が異常に膨れ上がり、ゼネコンによるビル建設がラッシュであったが、これがバブルの崩壊で吹っ飛んでしまった。その建設工事の受け皿として登場したのがマンション建設である。そこには政府のゼネコン救済策と言う側面が見え隠れする。


   国は一九九二年に都市計画法を改定して、それまで住居と店舗が混在していた「第二種住専地域」を「第一種」及び「第二種」の「中高層住居地域」としてしまい。マンション建設のお墨付きを与えた。民間ディベロッパーが○○分譲地として整備売り出しをした宅地以外の、自然に形成された町並みは強制的にマンション候補地にされてしまったのである。建設省は「優良建築物等整備事業」として高層建物に補助金を出した。さらに、一九九七年には規制緩和で共用廊下を容積率から外してしまうなどの建築基準法改定を行った。結果としてマンションの建設が大いに促進された。さらに低金利政策が、家賃より、マンションローンの方が安いという状況まで作りだし、多くの人たちがマンション住まいを決意するに至った。


   次々に建つマンションは市街地の空間を埋めて行き、好適な場所がなくなった状態では、だんだんと住宅地に侵入を始めた。これで、マンションと周りの戸建住宅住民との間の紛争が日常化するようになった。これは首都圏だけでなく地方都市にも広がって来ている。


  マンション建築の大問題は、その仕様の決定権を持つ施主が建物に関して何の責任も持たないことにある。工事責任は建設会社にあるし、分譲して建物の所有者になるのは入居者である。地震で窓ガラスが壊れ歩行者を直撃したら誰が責任を取るのか? 機械式駐車場の設計が悪いために起こった事故は誰が責任を取るのか? おそらく管理者つまり入居者に責任を押し付けるのだろう。説明会で質問しても明確な返答はしなかった。その仕様や設計について何等決定権をもたない所有者がどのような責任を取れるのか。仕様の決定にもっとも責任がある施主が完成後は何の関係もない第三者になってしまうという特異な建築物がマンションである。


   他のビル建設と異なるマンション建設のもうひとつの特徴は、施主に資金負担が少ないと言うことである。マンションの販売は着工と同時に始められ、多くはは完成までに完売してしまうか、少なくとも大部分を販売してしまう。だから、工事経費の支払いは販売収入で賄うことが出来る。すなわち、建設には手付金以上の資金が必要ないのである。だから土地さえあれば、いくらでも建設が出来る。いくらコストの高い高層の建物であっても構わない、どうせ建設費の支払いは販売してからだ。


   そんなことから、雨後の竹の子のように、次々とマンション建設に参入する会社が出てきた。Y建設の従業員が独立してタワラコーベンを作った。タワラコーベンの販売会社だったロジャース(仮名)もマンションディベロッパーになった。建設技術も設計技術も必要なく、マンションの販売が出来れば施主になれる。そして利益率は大きい。ヒューザーの小島進もダイナシティー中山諭も二十代でマンション会社を興している。資本も信用もいらない事業なのだ。


  しかし、日本は人口が増えてないのでいずれマンションも売れなくなるのはわかりきっている。それでも、建設ラッシュがやむことはない。立て遅れると売れ残りを抱えることになるから、逆に建設を急ぐ必要がある。このようなことで、すさまじい勢いで必要も無い高層のマンションが建設される事態になっているのだ。


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