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高層マンションにSTOP!  作者: 嬉野三太郎
説明会での奮闘
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説明会の運営は住民サイドで

  説明会は本質的には一方的なものだが、向こうもあたかも協議の場であるかの態度を取るのだからこちらはなんとかこれを協議の場にしていくことを狙った。


  説明会には第一回で七四人、第二回で七八人と多くの人が集まった。これは住環境を守る会が「百原通信」などで呼びかけたし、住民の危機感の表れでもあった。多く集まればそれは力になる。これだけの人数になると、会の進行役が必要になる。議長を設定することになり、住民側から出すことが出来た。これは、説明会の運営を公正にするために多いに役立った。住民側には、冷静に会をすすめることが出来る人材もいて、業者もこの議長に納得せざるを得なかった。


  実は議長を選んで議題を整理することは、非常に重要なことがわかった。論戦で会社側を追い詰めて行ったところで、住民側から唐突な発言のあることが結構ある。本人は他の人の発言に触発されて自分の思いを吐露した援護射撃のつもりであるが、論戦の道筋をはぐらかしてしまうことになる。あるいは狡猾な対策屋は自分が返答に困ったとき適当な住民に発言を振ってごまかそうとする。こんな時、議長の存在は大きい。


  必ず次回を約束させて終るなど、運営の工夫もあって、結局説明会は着工までに五回開かれた。住民がいかに困っているかの訴えは常に会場の共感を呼んで拍手が巻き起こったが、それが実効を持たないことは早々とわかった。「合法です」の一言で片付けられ、責任追及には「裁判所の命令には従います」としか言わない。裁判所の命令には誰でも従わされる。つまりは、「責任など取るものか」と同じことである。


  説明会の議論は、何かを引き出す交渉とは成りえない。文字通り説明を求め、いかに計画の内容が酷いものであるかを明らかにすること、計画に違法性があればそれを見つけ出すこと、これ以外に説明会で得られるものはないことは心得ておかねばならない。 しかし、説明会は会社側を公衆の面前に引き出す機会であり、法律で定められた彼らの義務なのだから積極的に利用する必要がある。


  さまざまな質問に対して、慇懃無礼に誠意のかけらも無く答える対策屋に、住民はますますマンション計画が社会倫理に反する事を確信していった。 計画の内容も杜撰だった。十四階の高層建築であると言うのに地盤調査は一ヶ所しかやらない。地下一階部分については図面すら出さないといった具合だ。


  なぜ、地盤調査を一箇所しかやらなかったかと言えば、出来なかったからだ。予定地には三階建てのアパートが建っていた。一箇所は中庭でやったが、あとの場所には建物がある。これを撤去してから地盤調査をするのが筋なのだが、それでは建築確認の申請が遅れてしまうからだっただろう。実は時間に追われていた。これが、後日わかった彼等の弱点だった。


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