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高層マンションにSTOP!  作者: 嬉野三太郎
反対運動の進め方
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建築基準法の問題点

  建築基準法という法律がある。建物はいくら高く作ってもいいものではなく、例えば道路斜線という制限とか、日影制限がある。


  日照権をめぐって、裁判が起こり大きな問題になったのは一九七〇年代のことだったが、建築基準法にこれがはっきりと明記されて以来、日照権をめぐる裁判は無くなった。これは、日照権を侵害する建物が建たなくなったのではなく、むしろここまで日照権は侵害して良いと明言したことになったからだ。


  建築基準法五六条では日影になる建物があった場合の規制を定めている。だから、この基準を満たして合法だと居直られれば、裁判で勝てる見込みは無い。規制の詳細はいろいろ別れて複雑だが、マンションが問題になるのは中高層住居専用地域といわれる区域だ。以前は第二種住居専用地域となっていたのが、勝手に中高層住居専用地域という分類にされてしまっている。○○ニュータウンといった住宅メーカーが宅地造成した低層住居専用地域以外の場所は、どこでもこういうことになる。


  こういう所で、どう規制されているかと言えば、まず高さの基準が四mになっている。つまり、平屋や、住宅の一階部分はどれだけ日影になっても文句は言えないということだ。四m以上の高さ、つまり二階でも、一〇m以内の近距離なら、一日に五時間までは日影にしても良いことになっている。しかも、この五時間は、午前八時から午後四時までの間しかカウントしない。午前十一時から午後七時までずっと、日影にしても良いと言うのが法律の規定なのだ。これでは、やりたい放題と変わらない。


  しかも、この規制はビル一つについてのもので、他の建物の影響は合算しない。午前中はこちらのビルの陰、午後はあちらのビルの陰となって、一日中全く日が差さなくても、日照権の侵害にはならないのだというからあきれる。だいたいにおいて、町並みなのだから、日影を与える建物が一つだけと言うことはあり得ない。今までの日影に加えて隣地にマンションが出来たら、まずほとんどの日照は奪われると考えた方が良い。建築関係の法律は、徹底して建築業者の都合がいいように出来ている。


  境界から一〇m以上離れたところでは三時間の規制になるが、高層の細長いビルだと、陰が細いので三時間も日影にすることなど起こり様がない。しかし、遠くまで影にするから、あちこちのビルの陰が、低層住宅に影響し、あわせれば、住民には日照が届かないことも多い。だから、日影規制がマンション建設の障害になることはまずあり得ない。妙なことにマンションに対する規制の最も強いものは北側の道路斜線規制である。この規制を守ったとしても、道路に日が当たるというわけではないが、斜線の寸法制限をしているから、現実的には人よりも道路に対する規制が、最も強い規制となっている。


  この道路斜線規制というのも、まったく心もとない。建築基準法では、道路に面しておれば、道路から勾配一・二五の斜線以下に作らねばならない。しかし、こういった法律は見事に穴だらけだ。日本国憲法で禁じられた武力が巨大な防衛予算を食っているように、法律の曲解は日本のお家芸と思われる。


  まず、勾配の起点は敷地の端ではなく、道路の向かい側に取られる。つまり、広い道路に面しておれば、道路斜線制限はなくなることになる。ベランダや階段はこの制限の例外になる。さらに、建物が、普通はみなそうだが、道路ギリギリに来なければ、このセットバックの分だけ勾配の起点が、道路向こうで、さらに後ろに下がる。セットバックは二重にカウントされるのだ。


 それだけではない。建物の幅が、敷地一杯でない場合は、天空率が同じ範囲で、建物高さに換算される。天空率とは、魚眼レンズで三六〇度見回して、ビルが天空をカバーする率で、要するに端の方を引っ込めれば真中を高く出っ張らすことが出来ると言うものだ。こうして、勾配一・二五の制限のもとで、単純には勾配六・三にもなる四三mの建物が可能になるのだ。


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