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序章  声と死

武器職人は村長に武器を作るように頼まれて作ったがそれがマンモスを討伐するために使われて弱っていくのを目の当たりにして罪悪感を感じつつも一頭のマンモスをこの手で殺してしまった事に罪の意識を覚えた。

 私たちが住んでいるムラから五百メートルいった所に一面に広がる草原の中に一頭のマンモスが迷い込んだ。その姿をムラの内部にある物見やぐらで周囲を見張っていた警備兵の一人の視界に入った。男は大声で「巨大なマンモスが現れた。狩りの時間だー」と何度も叫んでムラの住民に伝えた。すると、男の人が物見やぐらに上っていった。警備兵がいる所に着いて情報を貰いに来た。

「マンモスはどこにいる」

 と言う言葉を聞いて警備兵は振り向くと驚いた。

「三日月冬樹さん。ここのムラのトップである村長という重役に席を置いている方がここに来られるとは思いませんでしたよ」

「そうだな。一様は、外敵などの処理も担当してるからな。で、どこに出た?」

「はい。方位は北です。ここからの距離は五百メートル行った草原にいます。あと、ここから肉眼で確認出来る限りでは一頭に思えます」

「分かった。ありがとう。」

 話し終えると冬樹は物見やぐらから下りて前を見るとマンモス狩りに行く意志のある男が集結していた。

「お前らありがとう。これよりお前らの命はこの俺に預けて欲しい。では、マンモス狩りに行くぞー」と叫んだ。

 男たちはその言葉に答えるように「おー」と大声で叫んで、村を出てマンモス狩りに行った。村に男たちがいなくなるとにぎやかだった所が静かになったりして村にはひと気の少ない場所になった。残った女たちはマンモス狩りに行った夫や息子が無事に帰って来るのを祈る様にして待つ人々が多くいた。その行動で更にひと気の無さが強まった気がした。また、今音を出したらムラ全体に聞こえるくらい静まりきっていた。「コツン、コツン」と何度も聞こえてある女は音が聞こえる方に向かった。そこは自分の家の隣にある武器を作る所の武器管理倉庫からだった。中を覘いてみると一人の男が作業をしていた。

「男の人はマンモス狩りに行ったよ。春樹兄はここで作業してていいの?」

 そう問い掛けると作業を止めて背後から聞こえた声と頭の中に(た、たすけて)と言う声が聞こえて振り向いた。そこには、古川優佳が立っていた。

「優佳。いいんだよ。あ、助けてって言った?」

「言ってないよ。てか、今は平和だから『助けて』って言う事はないよ。何か幻聴でも聞いたんじゃあない?」

「うん。そうだな」

「何を作っているの?」

「う~ん。青銅の剣を一本と鉄の矢じりを二個作ってるよ」

「そうなんだ。でも、何で作る事になったの?」

「それはね。古川家は代々村長のために武器を作る役目を直属に応接かっているからだよ。今の現村長である三日月冬樹から三日前に青銅の剣を十本と銅矛を五本と鉄の矢じりを二十個と細型銅剣を五本作るように応接かったからだよ」

「そうなんだ。それにしてもこの短期間で青銅の剣を一本と鉄の矢じりを二個に出来たね。どうやってしたの?」

「応接かってから睡眠時間を削って作業に没頭した」

 そう言った春樹の目の下にはくっきりと隈が出来ていた。その姿を見て優佳は無力で寂しい気持ちになった。

「もう少しだね。頑張って」

 そう言うと優佳は武器管理倉庫から出て行った。春樹はその後も脇見も振らずに作って行った。それから、一時間が経過して全ての物が完成した。完成したものを今もマンモス狩りをしている奴らに届ける為に全てを紐で行く途中で落ちないようにしっかりと縛って準備が終わるとムラを出て行った。自分の出せるスピードで全力で走った。疲れて立ち止まると目と鼻の先でマンモス狩りをしていた。春樹は直ぐに冬樹の元に行った。

「村長。頼まれていた物を全て完成させたので持って来ました」

「そうか。ありがたく使わせて貰うよ」

 冬樹は春樹に一礼した。

「お前ら、新しい武器を持って来て貰った。マンモスが逃げさせない為に上手く自分の武器と新しい武器を変えていってくれ」

 と大声で言うとマンモス狩りをしていた全員が「はい」と大声で返した。

 冬樹はここまで近くでマンモス狩りを見るのは初めてで目が離せなかった。男たちが少しずつ古い武器から新しい武器に変っていくにつれて古い武器よりも新しい武器がマンモスが弱体化を早くしているのは見れば一目瞭然であった。その後もじっと見つめるとマンモスと目があった。そこには目に涙を溜めて痛みに耐えている表情に見えた。その表情に春樹は(すまない。俺が新しい武器を作ったばっかりに生存率を下げてしまった。本当にすまない)と罪悪感を抱いた。

 罪悪感を抱くのもつかの間にマンモスに決定打ともいえる一撃が当たった。その瞬間にマンモスは倒れて瀕死の状態になった。すると、冬樹が手を挙げて合図を出した。

「攻撃中止だ。後は一発喰らわせれば死ぬだろ。今回は古川春樹のお陰で倒す事が出来た。と、言う事で止めを春樹君に刺して貰おう」

 そう言って持っていた青銅の剣を渡して前に春樹を出した。すると、大きな歓声を浴びた。

「待て。マンモスを殺せと言うのか?」

「そうだ。あと、他の奴らも待ってるよ。この雰囲気では後には引けないよね」

「そうかよ。とことん悪魔の様な奴だな」

「何を言うんだ。俺はお前に活躍の場を与えたんだよ。むしろ感謝して欲しいね」

「頼んでもいないのに感謝しろと言うのか。おめでたい奴だ」

「そうかよ。ただ、時間は限られている。早くしてくれ」

「はいはい」

 春樹は青銅の剣を持ったままマンモスの目の前に来て構えた。

「ごめん。そして、さようなら」

 一言だけ言って振りかざした。

(さようなら)

 そう聞こえた頃には遅かった。その時には腕を下ろして自分では止める事が出来ない状態になっていたからだ。マンモスは春樹の一撃で死んだ。

「鈍感でごめん。あの時に『助けて』と言ったのはお前だったんだな。あの時に築いてやれれば救えたのかも知れないのにな。本当に何もかもお前には悪いことしかしていないな。俺なりの償いかたでお前に償うよ」

 その時に春樹はマンモスに誓った。そして、マンモスはムラに運ばれていった。


初めて投稿するので緊張しました。

楽しんで読んで下さったなら嬉しいです。

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