零話
いきなりですが皆さんは『危機一髪』な状況に陥ってしまったことはあるでしょうか?
え?私ですか?ありますとも。勿論ありますよ……。
というか現在進行形で『危機一髪』ですが何か?
え?どんな感じで『危機一髪』なのかって?仕方ありませんね教えてあげましょう。
え?態度がでかい?読んでやってんだし、時間の無駄だからさっさと逝っちまいなよ?
あら?漢字が違いませんか?え?勘違い?す、すいません……。
許してください。奴隷にしてください……。すいません冗談です。
ということで気を取り直して教えて差し上げましょう。
上からの態度なのは気にしないでください……。
と、いうことなので早速行ってみましょう!
◇◆◇◆
「だーかーらー、それはあんたが悪いって言ってんでしょ?なんでそんなことがわかんないのかな?頭が悪いのかな?そうなのかな?きっとそうなんだろうね?だよね?」
いきなりのことで驚いている方も多いであろう。だが…!こんな状況に陥ってしまっている俺自身がとても驚いている。
というよりも、どうしてこんな状況になってしまったのだろう?と疑問に持つ方もいるだろう。それは……
「ねぇ……人の話聞いてんの?さっきから誰に向かって話してんの?もしかして、俺はそこにいる幽霊のゆうちゃんに話しかけているのだよ!とか言わないよね?」
や、ヤヴァイ……ここはひとつ男として名誉卍解…間違った…名誉挽回しなくては…。
「うぉっほん。えーーと…せ、説明しよう。なんで俺が怒られているかについて…。聞いてくれるかい?幽霊のゆうちゃんよ…」
あ゛ーーーーーしまったぁぁぁーー。完全に怒らせてしまったーー。だ、だが落ち着け。俺はクールでナイスガイなお・と・こ。こ、こんなことで同様なんかしないのだよ!!
「ん?なんて言った?なんで怒られてる理由も分かんないの?ついに頭に虫でも涌いたの?どうしてかなぁ?」
「そ、そんなに怒らなくてもいいじゃないですか?理由ですよね?はいはい説明いたします。いたしますとも。それでは説明させていただきますよ陽菜お嬢様」
「ええ。説明していただきましょうか?下僕…間違えたわ。蛆虫の翔平くん?」
く、くそ。なんたる屈辱。しかし、目の前にいるのは鬼神だからな。ここは怒りをぐっと抑えて冷静な対応をしなくては。なんて言ったって俺はくーr…そんなに睨まずとも言いますよ…。
「そ、それはですね…蛆虫であるこの俺が、陽菜お嬢様のお気に入りのぬいぐるみにジュースをこぼしてしまったからです……。………どうもすいませんでした!!」
ふっ…こんなふうに誠心誠意謝ればいかに心が冷え切った人間といえど許すにきまっt…?あれ?
「…誤ってすむと思っているのかな?蛆虫の翔平くん?」
そんなに蛆虫蛆虫って言わなくてもいいじゃん。と思いながらも俺は誤った姿勢のまま「はい」と返事をする。
「……許すわけ無いでしょ?これすごく大事にしてたんだからね!(……あ、あんたからの贈り物だったから…)」
ん?最後のほうがよく聞こえませんでしたが?まぁそんな些細なことはどうでもいい。しかし俺はくーr…もういいやめんどいし。だが一体全体どうしたものか…このままにしているとここにいる鬼神に後で何を言われるか…。仕方ないここは幼馴染にしか使えない奥の手を使うとしよう。
「陽菜お嬢様…。これはあくまで提案なのですが、明日は何と都合の良いことに休日ですので二人でぬいぐるみ探しの旅に出ませんか?そしていいものが見つかりましたらこの私めがご購入いたします。いかがでしょうか?」
ふっ…こんなところか。見ろよ…あの揺れまくってる心を。いや心は見えないんですがね…。なんというか雰囲気でわかるじゃないですか?それですよ!
あっ……今わずかに頷いたぞ…。だが、今日の俺はサディスティックなんだ。だから多少いじめてやろうではないか…し、仕返しとかそんなんじゃないんだからね!!
「…で?実際どうすんの?行くのか?まぁ行かないってんならそのぬいぐるみをクリーニングに出して終わりだけど…まぁそれでいいって言うなら俺は大歓迎だけどな」
若干ぶっきらぼうに喋る俺の言葉にかなり動揺しているみたいだ…。これは俺の勝ちだな。うん間違いない。
「…いくよ。……行きます!そうしてください!」
言わせてやったぜ。勝ちだ。これでこの事件は幕を下ろすぜ。
はぁ疲れた。なんでちょっとジュースこぼしただけでこんなに怒られなきゃいけないんだよ。意味がわからん。だいたいあれは俺が買ってやったやつじゃないか……。まぁ所有者は陽菜だから起こるのは当然だと思うが、思いますが…いくらなんでも怒りすぎじゃないっすか?
◇◆◇◆
いやー。怖かったすよ…。だって目の前に鬼神がいるんですよ?ビビらない方がどうかしてますよ。
え?お前は何なんだって?あぁ言ってませんでしたね。私……主人公の内側に住んでる人格です。
え?なんで解説してるかって?いやぁ…だってこれは主人格様の武勇伝なんですから、二人格目の私が語らずにどうしますか?
そういうことで皆さん…これから始まる主人格様の武勇伝を勿論お聞きになっていかれますよね?
では選択肢をあげますね。
A、聞く聞く!聞きまくります!
B、べ、別に聞いてあげてもいいんだからねっ!
C、はぁ…聞いてあげますよ。仕方なく…。
D、逆に聞こう!なぜ聞かせてくれない!?
さぁ選んでください。え?答えは聞いてない?そ、そんな馬鹿な?