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首なしの情事

 

 旧友の溝口氏の夫人が亡くなった、と母から電話で伝えられても、私はその奥方がどんな顔だったのかを思い出せなかった。

 私と溝口氏は大学の同級生で、同郷出身の気安さから、当時、かなり親しく付き合っていた。

 しかし、彼が結婚する以前に、私は就職の関係で故郷を離れており、その後は盆暮れの帰郷の度に、彼の自宅では無く、地元の適当なバーで会うか会わないか、というくらいに疎遠になっていたので、その奥方についての印象がないのも、無理なからぬことのように思えた。

 だから私は、故人を弔うためではなく、専ら妻を失った旧友を見舞うために、おっとり刀で帰郷したのであった。


 「溝口夫人の翔子さんは、それはもう、大人しい方で、人前で話す所を見たことがありませんでしたよ」

 葬儀に参列した私は、隣に座ったお喋りな老婦人から、旧友の奥方についての噂話をあれこれと聞かされたのであった。おかげで、葬儀が終わるころには、特に調べなくとも、旧友の(あまり上手くいっていなかった)結婚生活の一端を知ることが出来たのであった。

 翔子夫人は、容貌は十人並みだが、豊満な体つきをしていた人で、昔は社交的だったが、結婚してからしばらく経つと、滅多に人前に出なくなり、たまに出て来ても、白い顔をベールで覆って、人と話す事は皆無だったという。そこで誰かが気を遣って話しかけても、必ず溝口氏が横から出てきて、翔子夫人に口を利かせないようにしていたという。

 以前、夫婦が口汚く罵り合うのを見られたことから、外聞を気にしており、夫人が余計な事を言わないように監視しているように見えた、とそのお喋りな老婦人は話を締めた。

 だが、葬儀の最中、私には、旧友の夫婦仲よりも気になることができたのであった。

 それは、夫人の棺を覗いた時のことである。棺に横たわる翔子夫人の頭部が、まるで、よくできた蝋人形のように見えたのだ。

 私は、それに触れて確かめてみたい、という衝動に駆られた。しかし、すぐに不謹慎な考えを抱いた事が恥ずかしくなり、遺体というのはそういうものだ、とその時は思うことにしたのであった。


 葬儀の後、私は溝口氏に会って、奥方を亡くしたことに対してのお悔やみを述べた。

 彼は葬儀の間中、ずっと憔悴しているように見えた。かつては羽振りの良かった溝口家も、彼の父親が亡くなって以降、すっかり没落しており、葬儀に参列した昔の友人は、どうやら私だけのようであった。

 「おお、君は……わざわざ来てくれたのか。いやはや、まさかの時の友こそ、真の友と言うが、君こそはまさしくそれだな」

 彼は私の顔を見るや否や、僅かに元気を取り戻し、手を握ってそう言った。こんな状況ではあったが、私たちは互いに久々の再会を喜びあった。

 その後、納骨までを済ませた溝口氏から、久しぶりに一緒に飲みたいと招待を受けた私は、気落ちしているであろう友人を慰める目的で、それに応じることにしたのであった。

 彼の大きな屋敷は、今ではもう使用人が殆どいなくなっていた。そんな、がらんとした屋敷の一室で、私たちは二人だけでウィスキーを飲みながら、間遠くなっていた時期の空白を埋めるため、夜通し語り合うことにしたのであった。

 「最近、心臓が悪くてね。医者には止められているんだが、まあ、今夜くらいは、飲まなきゃやってられんよ」

 そうは言うものの、溝口氏には、やっと重荷を降ろして清々した、とでも言いたげな雰囲気が漂っていた。もっとも、それは単に、私が例のおしゃべりな老婦人の話を聞いていたせいかもしれないが。

 何杯かグラスを干して、いい加減に酔いが回ってくると、私は俄かに大胆になって、思い切って、溝口氏に、気になっていたことを訊ねてみた。

 「そういえば、翔子夫人のことなんだが……」

 「ん? 妻がどうしたのかね?」

 「葬儀の時に遺体の顔を見たのだが、何といえばいいか、その」

 「作り物のようだったと言いたいのかね?」

 「う、うん」

 私は旧友の勘の良さに驚いた。溝口氏は私の表情を見ると、昔のように、万事承知している、とでも言いたげに唇の端を歪めて、ニヤリと笑った。

「ああ、そうなんだ。実は、翔子の頭は作り物だったんだ」

「ええ!?」

 溝口氏は、酔ってはいたが、冗談を言っているようには見えなかった。

「君が信じてくれるか解らないが……。実は、翔子には秘密があってね……。あいつも死んだことだし、君にだけは話してやるよ。その秘密というのをね……」

 溝口氏は、誰かにこの話を打ち明けたくて仕方なかった、と前置きをして、話を始めた。


溝口氏の話


 溝口氏と翔子夫人が結婚したのは、もう二十年も前のことだという。

 溝口家は先祖代々の資産家であり、溝口氏の父親の頃には、それを元手に会社を経営しており、同じ資産家から産業界の大物、政治家の間にまで幅広い人脈を持っていたという。

 そんな溝口氏の父親と、山梨県で事業を営んでいた翔子夫人の実家とは、取引上の関係から、かなり深い付き合いがあったのだという。

 その縁もあり、相手の親からのたっての願いで、二人は婚約の段階を飛ばして、すぐに結婚させられたという。その時、溝口氏は二十九歳。翔子夫人は二十一歳だったという。

 溝口氏は結婚するまでに、かなり方々を遊び歩いており(私も大学時代にはよくお供したものだ)、女性関係も派手であった。その遍歴で培われた彼の審美眼に照らし合わせると、翔子夫人は(あくまでも溝口氏の主観であるが)それほど好ましい容貌では無く、彼はあまり結婚に気乗りがしなかったという。だが、資産家同士の結婚というものは、親の意向というものが多分に絡むもので、溝口氏は、特別な感情を抱かないままで、翔子夫人と結婚したのだという。

 しかし、新婚初夜のベッドで、翔子夫人が豊満な肢体を持っていることを知った溝口氏は、その容貌に、文字通り目をつぶって、彼女と暮らして行くことを決めたのだという。

 「胸は大きくて、腰はきゅっと引き締まっていて、モデル顔負けの体をしていたよ。それに尻の形も良かった。あれが理想的な和尻っていうのかねぇ。だが、どんなに良い体でも顔が好みに合わないと興醒めでね。最初の頃は顔を見ないように、後ろからしか攻めなかったよ」

 下世話な話だが、全て溝口氏の発言である。その点はご容赦いただきたい。

 さて、妻の体に首ったけだった溝口氏は、ある夜、いつものように彼女を後ろから思う存分に攻めて果てた後、その豊満な乳房に後ろから手を回し、そのまま眠ってしまったという。その体勢だと夫人が身動きが取れなくなることを、溝口氏はまったく気にしていなかったという。

 やがて、夜中に目が覚めた溝口氏は、ぴちゃぴちゃという、水が滴るような音を聞いたという。

 さては、夫人がテーブルの上に置いてあった水差しをひっくり返したのか? と溝口氏は夢うつつで思った。だが、溝口氏の手は、しっかりと彼女の乳房を掴んでいたから、夫人が動けるわけがなかった。

 奇妙に思った溝口氏が目を開いてみたところ、彼は、世にも恐ろしいものを見てしまったという。

 翔子夫人の体は、確かに彼の腕の中にあった。

 だが、その胴体には、首がなかった。

 溝口氏は、ぎょっとして夢心地が一気に吹き飛んでしまい、さては強盗でも入ったのか? と体を固くしたという。

 夫人の体を放すのも忘れて、溝口氏は、そのままの格好で首を伸ばして、豆電球だけで照らされた薄暗い部屋の中を見回そうとしたという。

 そうして、夫人の首を見つけた途端、彼の思考は、完全に麻痺してしまったという。

 夫人の首は、胴体から離れた場所に、確かにあった。

 だが、そればかりではなく、その生首は、空中にふわふわと浮かんで、テーブルの上にこぼれた水を、ぴちゃぴちゃと猫のように音を立てて舐めていたという。

 溝口氏は、その光景をはっきりと目で見ていたにもかかわらず、理解の方が追いつかなかったという。一方の翔子夫人の首は、宙に浮いたままで水を舐め続けていたが、やがて溝口氏と視線が合うと、クワっと目を剥いた後、すうっと空中を滑るようにして、胴体まで戻って来たという。

 首はたちまち胴体にくっついて、元通りになったという。

「案外、早くバレてしまったわね」

 翔子夫人は涼しく言い、溝口氏は妻の体を掴んだままで動けなかったという。そこで翔子夫人は、胴体を前に向けたままで首だけを百八十度後ろに回して、悪戯っぽく微笑んだという。溝口氏は、その時、笑顔に恐怖を覚えることもある、と知ったのだという。

「あなたが体を離してくれないからよ」

 翔子夫人は、平然とそう言ったという。

「しょしょしょしょ……翔子、これは一体……」

 溝口氏は、内心の動揺を隠して、妻に仔細を問いただそうとしたが、自覚できるほど声がうわずっていたという。溝口氏の心中を看取したのか、翔子夫人は、首を百八十度回したままの状態で、ニヤリと笑ったという。

「見ての通りよ。私、首が体から離れて飛ぶのよ」

「そんな馬鹿な……ろくろ首じゃあるまいし……」

「じゃあ、また見せてあげるわ」

 まだ自分が見たものを信じられない夫の目の前で、翔子夫人の首は、また胴体から離れて宙に浮くと、彼の背後に回りこんで、うなじを舐めたという。溝口氏の脳天から股間まで一気に悪寒が走りぬけて、溝口氏は、特に自分の男の部分が急速に縮んで行くのを感じたという。

「面白いでしょ? 私の家系には、時々、こうやって首が胴体を離れて飛びまわる人間が出るらしいのよ。私の祖母もそういう人だったらしいわ」

 恐怖に固まっている溝口氏の周辺を飛び回りながら、翔子夫人は楽しそうに、からからと笑ったという。

「でも、怖がる事はないわ。単に首が飛ぶだけよ。他に何の問題もないじゃない」

 それが大問題だったという。

 「恥ずかしい話だが、あいつの首が飛び回るのが、俺には恐ろしくて堪らなかったね。小泉八雲の『怪談』に、坊さんがろくろ首を退治する話があるが、俺はとてもその坊さんのようにはなれなかったね」

 どうやら、溝口氏、意外に小心者だったようである。

 さて、その時まで、夫婦間の主導権は溝口氏が握っており、大人しい翔子夫人を好き勝手にしていたらしいが、秘密が明らかになったその時から、俄かに溝口氏と夫人の立場は逆転し、大人しさを捨てた彼女(猫を被っていただけかもしれないが)は、溝口氏を精神的に支配するようになったという。

 それからの翔子夫人は、毎週のように新しい服や宝石や装飾品を買い込んでは、それを人に見せびらかす目的でパーティを開くようになったという。費用は当然、溝口氏持ちであったが、彼は夫人がいくら使ったのか、ということよりも、客の前で彼女の首が飛んだらどうしようか、ということばかり気になっていたという。親が決めた結婚の上に、両方の実家から生活上の援助を受けていたという関係上、親が健在の内は、そう簡単に離婚を持ち出すわけにもいかず、彼はいつも悶々としていたという。

 だが、翔子夫人を恐れていたにもかかわらず、溝口氏は(夫人が求めてきたからだと言い訳したが)、彼女との夜の営みを欠かしたことがなかったという。しかし、秘密を明かして以降、性交がクライマックスに至ると、夫人は愉悦の叫びを上げながら首を飛ばすようになり、溝口氏は射精の度に、自分の心臓まで飛び出しそうな心地になったという。

 ある時、溝口氏は堪りかねて夫人に陳情したという。

「なあ、お前、セックスの最中に首が飛び回るのは落ち着かないよ。何とかならないのか?」

「しかたないわ。だって、高ぶると、反射的に飛んでしまうのよ。今までは我慢していたけれど、もう隠す必要もないでしょう?」

「しかし、俺は生きた心地がしないよ。そのせいか、最近では、心臓も弱くなった気がするよ」

「そう。じゃあ、教えてあげるわ。ある宝石を身に着けると、私の首は飛び回ることができなくなるのよ」

 夫に対して優位に立っている余裕からか、翔子夫人は口を滑らせたようであった。溝口氏は、ここぞとばかりに、彼女の弱点を探り出そうとしたという。

「その宝石とは?」

「さあ、何かしら。そういえば、ほら、前に一緒に立ち寄った宝石店に、十二個の宝石を散りばめた素敵なティアラがあったじゃない。あの中にあったような気がするわ」

「……」

 だが、夫人の方が一枚上手だった。結局、心の平穏の為に、溝口氏は少なくない額をはたいてそのティアラを買い与え、それからは彼女も無暗に飛び回ることはしなくなったという。

 しかし、それでも相変わらず夫婦間の主導権は奪われたままで、溝口氏の心の中では、夫人に対する反感が積もる一方だったという。

 そんな状態がだらだらと続いていた、ある夜の事だった。溝口氏は、翔子夫人に、彼女よりも先に絶頂に達したことで罵倒され、つい、カッとなって、彼女の髪を掴んで、首を床に投げ落したのだという。

 「痛い!!」

 「うっ!! しまった……」

 溝口氏は反撃を予想して身構えた。だが、首は飛んでくることもなく、床に転がったままだったという。

 「ちょっと、早く戻してよ!!」

 翔子夫人(の首)は、床の上に横になったままでそう喚いたという。

 「まさか、動けないのか?」

 「言ったでしょ。あの宝石を身につけていたら、飛べないって」

 「はっはっは。そうか。そうだったな」

 「あなた?」

 風向きが変ったことを察したのか、翔子夫人は怯えたように目を剥いたという。溝口氏は、そんな妻の首を見下ろしながら、俄然、強気になったという。

 「うわははは。今までよくも俺を脅かしてくれたな。もう、お前なんか怖くないぞ」

 「!! あなた、何を考えているの?」

 「うるさい。こうしてやる」

 溝口氏は、喚く翔子夫人の首に轡を噛ませると、それをベッドに置いたという。

 「今までの仕返しに、お前に屈辱を与えてやる」

 首は、ちょうど溝口氏と翔子夫人の体の結合部が見える位置に置かれていた。彼女が呻いたのを聞いて、溝口氏はにんまりしたという。

 「そこで俺の尻でも見ているがいい」

 下世話な話だが、あくまでも溝口氏の話である。

その行為がどの程度翔子夫人に屈辱を与えたのかは不明だが、その日から夫人は性交を拒否するようになったという。だが、その度に、溝口氏は、彼女の首を胴体から引き離して、体とだけ性交したという。

 「正直な所、うるさい頭がない方が、大いに気分が乗って楽しめたね」

 これも、あくまで溝口氏の弁である。

 溝口氏と翔子夫人は、まさに肉体関係だけの夫婦となって、翔子夫人は実家に帰ると言いだしたが、溝口氏は、彼女の肉体だけは気に入っていたので、頭だけで帰れと言ってやったという。

 その時点での翔子夫人は、完全に弱点を握られており、ある宝石で作ったリングを耳たぶに取り付けられていたという。そのリングは、外そうとすると耳たぶに傷が付くような付け方をしてあり、着飾った自分を見せびらかすのが好きな夫人では、無理にそれを外すこともできなかったという。そうなると、もはや首だけで飛び回って、夫を脅かすこともできず、溝口氏は、夫婦間での主導権を、完全に回復したという。

 そんな夫への対抗手段として夫人が考えたのは、ハンガーストライキだったという。口から物を食べなければ、当然、体は衰えて行く。さすがの溝口氏もそれには参ってしまったが、そういう時には悪知恵というものが働くのか、溝口氏は、すぐに解決方法を見つけ出したという。

「尻から栄養剤を入れるようにしたんだ。下の始末が大変だったがね」

 くどいようだが、溝口氏の話である。

 ついに翔子夫人は抵抗する手段を失い、溝口氏は毎日のように、飛び回る力を失った彼女の首の前で、彼女の体と首なしの情事を繰り返したという。

 その頃の夫人は、体を奪われた腹いせに、口を開けば、溝口氏を罵り続け、溝口氏は、喚き続ける彼女の頭に、いつも平手打ちを食らわせていたという。

 そんな、妻の体は愛するが、頭を憎むという、奇妙な夫婦生活が長く続いたが、翔子夫人の父親が亡くなった頃に、遂にその関係も終わりを迎えたという。

 いつものように、自分を罵る翔子夫人の首に対して、結婚して以来、最大の怒りを覚えた溝口氏は、部屋の窓を開け放つと、夜空に向かって力一杯、翔子夫人の首を放り投げたという。

 「うわははは、これでさよならだ!」

 「この人でなし!」

 夫人の首は、溝口氏を罵りながら遙か彼方へ飛んで行き、それから溝口氏は、胴体のために蝋製の頭を拵えたのだという。つまり、夫人が口を利かなくなったのはそのせいだったのだ。私が葬儀で見たのも、その作り物の頭だったのだのだ、と彼は笑いながら言った。

 「正直、うるさいことを言われなくなって、夫婦仲はかえって良くなったね。死んでしまったのは、かえすがえすも残念だが、まあ、それも運命だ。仕方あるまい」

 以上が溝口氏の話である。


 この話を聞いたのであれば、きっと誰でも同じ感想を抱くと思う。

 「そんな話は信じられないよ」

 そう言われても、溝口氏は、実に澄ましたものだった。

 「いやいや。たとえ君が信じなくても、こいつは本当の話さ。ほら、この客間が、前に夫婦の寝室にしていた部屋でね。そこの窓から、俺はあいつの首を投げ捨てたわけだ」

 私に場所を教えるためか、溝口氏は立ち上がると、千鳥足で窓の側まで歩いて行った。

 「ほら、この窓だよ」

 溝口氏は陽気にそう言うと、窓を開いて、酔眼を夜の闇に向けた。

 「ぎゃあ!」

 だが、そこで突然、悲鳴を上げて、ばったりと後ろ向きに倒れてしまった。私は慌てて彼に駆け寄った。

 気を失うどころではなく、心臓が止まっていた……。

 「誰か来てくれ!」

 私は大声で使用人を呼んで、救急車を呼ぶために携帯電話を取り出しながら、ふと、溝口氏が見ていた方向に目をやった。

 その瞬間、私まで心臓が止まりそうになった。

 私の視線の先、窓の外に広がる闇の中に、壮年女性の生首が、目をかっと瞠いた状態で浮かんでいたのだ。

 その生首には、片方の耳たぶが欠けていた……。

 「私の体を死なせやがって! この人でなし!」

 翔子夫人の首は、そう夫を罵ると、すうっと空を飛んで、闇の中に消えてしまった……。


 後日、溝口氏の葬儀が営まれ、遺骨は妻(の体)が眠っている墓に納められた。

 翔子夫人の頭がその後どうなったのか、私は知らない。もしかしたら、まだどこかで、夫への憎しみを抱きながら、首だけで生き続けているのだろうか?


〈終〉

※この物語はフィクションです。実在の人物、団体、事件とはいっさい関係がございません。

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[良い点] オリジナリティ溢れる発想で創作されていて、とても興味深く、面白かった。 [気になる点] 「〜だという。」 が多く、違和感を感じる。 一文一文が長く、読点がありすぎるため、読みづらい。 [一…
2011/07/21 23:13 退会済み
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