第6話 私の大事な
本当に忘れててゴメンナサイ。
バタバタしてて、相棒を召喚していなかったんだよ。
着いたら直ぐに呼ぶつもりだったのに。
心の中で未来の相棒に謝ってから、召喚の儀式を行う。
準備は簡単、旅人全員が最初から持っているストレージから召喚石を取り出し、目の前に投げるだけ。
魔法陣が展開して光輝きながら、その中心に仲間になってくれるモンスターが現れる。
ガチャの演出みたいで面白い。
ただし、注意がある。
初期配布や未鑑定の召喚石はモンスターが分からない為、体が大きいタイプだと、場所によっては大変な事になる。
β時代に説明を読まずに屋内で召喚したバカが象サイズのモンスターを呼び出して、泊まっていた宿を大破させたのだ。
ソイツは運良く死者が出なかった事と、故意のヤラカシでは無かった為、垢バンにはならなかったけど借金まみれになってた。
払い切れずに、この世界の犯罪者が放り込まれる鉱山に連れて行かれたらしい。
罪を犯せばこうなると見せしめになったよ。
だから私は今最初に現れた広場で召喚の用意をしてた。
「どんな子が来るんだろう。」
ワクワクしながら、召喚石を投げた。
魔法陣が広がり光輝いていくーーー。
そこから現れたのは⋯⋯⋯
「キュ?」
鼻をヒクヒクさせながら、可愛い鳴き声を出し
つぶらな琥珀色の瞳でこちらを見つめてくる
30センチくらいのこげ茶色のモグラだった。