第4話 はじめての
「さて、これからどうしようかな。」
来て早々こんなことになるとは思わなかったよ。
と部屋のベッドに座りため息を付いた。
それはゲーム内の数時間前に遡る。
―――――
てっきりβの時と同じような村から始まるのと思いきや、ここは何処?と首を傾げた。
今いるのは石造りの広場の中心辺りで、周りを見渡す限り、古代ギリシャっぽい建物があり、そこに住む人はどうやら私と同じ天族だけみたいだし、自分以外にプレイヤーの旅人はいないようだ。
私が現れた瞬間、広場にいた人達が騒ぎ始めたけれど、長老みたいな男性が私を見て神様から御告げがあった旅人で、その邪魔になってはいけないと注意してくれたおかげで納まった。
こちらでは神官や巫女に当たる人物が神様から、私達旅人のことを神託されたので、自分の村に内容を周知していたらしい。
自分達は呪いのせいで忘れている記憶などがあり、それを救う可能性を、異世界の旅人が持っていると。
何せこの世界住人達は、自分達の記憶がおかしいことに気が付いていないのだ。
旅人との交流を得て解決するようになっている為、住人達との交流を推奨している。
中々コミュ症には厳しいものだけど、まぁリアルの知り合いの可能性があるプレイヤーよりはマシかな。
やっぱり長老だったロンダンさんに取り敢えず自己紹介をした後、町を案内して貰いながら話を聞いた。
この場所は空島になっていて見渡す限り空しか見えない天族達が住む町で、魔王がいた時は空島を覆っている結界や、天族の若者達のおかげで町がモンスターに襲われることなく無事だったそうだ。
若者達は、魔王のせいで凶暴化したモンスターが結界を破る可能性が捨てられず討伐に出たのだが、奮闘するも重傷を負った者や、亡くなった者が出てしまった。
傷はある程度回復ポーションや回復魔法で治すことが出来るけれど、死者を復活させるポーションや魔法は今の所見つかっていない。
旅人であれば異世界の神様の加護のおかげで復活出来るが、この世界の住人は復活出来ない。
βでも住人がモンスターに襲われ亡くなった後、復活していなくてショックを受けた人が沢山いた。
その為、住人と行動する場合は慎重に成らざる得ない。
今は、健康な者が空島の外に出て下へ向かうと地上の森や川があり、元に戻ったモンスターの狩りをしたり、果物や野菜、薬草などの採取を行なったりして暮らしていると教えてくれた。
話を聞いている内に、どうやらこの町の全員が忘れていることがあること、個人で忘れていることの2種類である事に気が付いた。