第1話 キャラクリ
私は、藤原美空16歳。
今話題のゲーム〈クロスワールド・トラベラー〉
を手に入れることが出来た豪運の女の子⋯⋯⋯
という冗談はやめておいて、
私はとある事情でこのゲームのβテスターをやっていたし、これはその御礼に渡されたものだ。
私の事情は機会があれば、その内語ろうと思う。
では、早速ログインしてキャラクリエイトしないと
ベッド型デバイスを起動し、インストールをする。
このゲームは個人認証システムに登録しなければならない。
個々の脳波や、指紋など細かく登録するので、ソフト1つに1人分しか登録出来ないし、サブアカウントを作って別のキャラを使う事も出来ない。
手間が掛かるけど、他人にアカウントを乗っ取られたりする心配がないのは助かる。
ゲーム内での時間は倍速仮想空間になっている為、じっくりキャラクリをすることが出来る。
倍速仮想空間と言うのは、例えばこのゲーム内でだと、1日をゲームで過ごしても現実では1時間しか経っていないということになるという事である。
何か身体や脳に異常が出た場合も、すぐにデバイスが感知して医療センターに連絡されるという、徹底振り。便利な世の中になったものだ。
ログインすると、真っ白な部屋に立っていた。
「ようこそ、クロスワールド・トラベラーへ」
目の前に現れた、シルクハットを被ったクマのぬいぐるみに話し掛けられた。
ナビゲーター及びサポートAIだ。
「初めにこの世界で御利用される、お名前をどうぞ」
「ソラでお願いします。」
βテスターの時に使っていた名前にすると、
クマさんは首を傾げ
「おや?ソラ様はどうやら初めてではない様子。
前の御姿も御利用されますか?」
と尋ねてきた。
βテスターは、装備は無理だけどその時に利用したアバターの名前や容姿を使用することが出来る。
βテスターの時は人しか選べなかったけど、
この世界にはいろんな種族がいる。
人、エルフ、ドワーフ、獣人、魚人
他にもいるけれど、それはレア種族になるらしい。
任意で選べるのは上記の5種族
後はランダムで決めた場合、低い確率でレア種族になる。
但し、ランダムを選んだ場合強制的に選ばれた種族になり、変更不可になってしまう。
現在の所、種族変更が出来る方法がない為かなりの運要素だ。
私は勿論
「いいえ、ランダムでっ」
にっこりと笑顔で答えた。