第12話 そんなのがあったの?
「運営に連絡は入れた?」
「はい、入れましたが自己責任である為どうにもできません。と」
うーん間違った事は言ってないからなー。
何にも言えない。
「キャラリセは考えなかったの?」
キャラをリセットしてしまえば、また人魚にはなれないだろうけど、詰んだ状態は解消される。
「少しは考えました、でも私人魚の友人が出来たんです。」
「全然泳げなかった私をずっと応援してくれて、やっと泳げるようになった時自分の事のように喜んでくれて。」
「今まで、唯のNPCと思っていたのが変わった瞬間でした、彼女はこの世界の住人なんだって。」
「だから私はリセットしません。あの子との思い出は今の私だからこそあるものだから。」
ハッキリとシズネさんは言い切った。
そうだね、私も長老と師匠やコハクとの出会いを
無かった事にはしたくないからね。
「じゃあこれからどうするの?地図にはここまでの道程は載って無かったんでしょう?」
一応人魚の里迄の道がないか地図を確認はしたけれど、鳥に運ばれた分は載っていなかったと。
私もこの場所から人が沢山いそうな場所への道は知らないし、天族の集落に戻るにも遠すぎる。
「それなんですけど、近くに大きな湖があるはずです。鳥に落とされた時、視界の端に見えたんです。」
「そうなんだ、それで?」
「その辺りにエルフの人が沢山いる町があるみたいですよ。」
そういえばこの場所で空は飛んでいなかったけど
大きな湖の近くに町?
何故そんな事が分かるのか尋ねると
「ゲーム公式の掲示板に載ってました!」
と答えが返ってきた。
公式の掲示板?
慌てて自分のステータスボードから公式ホームページへ、それから掲示板へと飛ぶ。
いろいろスレッドがあるが、目に止まったのは
〝ここは何処私は誰、場所を教えてクレメンス〟
と言う名の一献ふざけた題名のスレッドだ。
レア種族になった人物がプレイヤーの沢山いる所を教えて欲しいと立てたものだ。
その中にエルフの旅人がいるらしい場所の事が書いてあった。
「ちょっと確認してくるので、この子をお願いします。」
丁度地面から出てきたコハクを紹介してから、場所を確認する為、空を飛んでみる。
確かに見えるねこの場所から東に進んだ辺りに、湖がある。
じゃあ町は何処かと目を凝らして探して見ると、周りにある木々より少し大きめな太い木に囲まれている場所が見えた。
あの場所だろうか?
飛ぶのをやめ、地上に降りると興奮したシズネさんがコハクを抱き締めながら
「すごいです!てっきり鳥の獣族さんかと思ってましたが、飛び方が違うみたいですしもしかして羽根が白いですから天使族とかですか?頭に輪っかはないみたいですけどっ!それとこの子かわいいし、触り心地がすごく良い!」
とマシンガントークを炸裂させてきたので、取り敢えず落ち着かせる為に、先に私達のことを説明することにした。




