第9話 これぞ本当の旅立ち
「良ければまた、この集落に帰ってきなさい。
ここは貴方の第2の故郷なのだから、いつでも歓迎するよ。」
「基本的にこの集落の結界は、天族とその眷属しか通さないが、信頼できる仲間が出来たらコレを渡しなさい。」
私を見送りに、長老と師匠が来てくれた。
長老から渡されたのは、5枚の小さな長方形の石版に翼が彫刻された物だ。
鑑定してみると〝天族の通行証〟だった。
これを1パーティ〈最大5人組〉に1つ渡しておけば、この集落や別の場所にある天族の集落に入ることが出来る。
渡した時に自分の名前が刻印されるし、使用した場合通知が届くという特殊仕様な為、偽造は出来ない。
果たして私に仲のいい友人が出来るのかは不明だけど、せっかくなので有り難く頂戴した。
今は任意の転移やワープするようなものがないので、運営が今後実装するの待ちか、すでに何処かに
あって誰も見つけていないのか分からないけど、それまでは自分の力でここまで来るしかない。
「ではな。」
「元気でな、今まで教えたことと私のやった装備大事にしろよ〜。」
笑いながら手を振る2人を見て
「いつか必ず会いに来ます〜。」
「キュ〜〜!」
私達は手を振り返しながら答え、下界へと飛び立った。
ーーー
さて、何処に行こうか。
降り立った先は、良く狩りに来ていた森だ。
近くにはそれなりに大きい川が流れている。
ここらのモンスターは初期地にありがちのレベルの低いヤツしかでてこない。
リトルボアやリトルウルフ、リトルピジョンなどリトル尽くしだ。
ここの狩り場の範囲を越えるとリトルが取れたモンスターが出始めるから、注意が必要だ。
リトルは大体レベル1〜4、次は5〜10と段階が上がる。
私のレベルは9、コハクのレベルは5だから気を付けないと直ぐに戦闘不能になってしまう。
戦闘不能になると、異世界神の加護が発動して、最後に寝た場所にリスポーンすることになる。
ペナルティはゲーム時間で3時間ステータス半減。
コハクの様な召喚獣は旅人と同じ異世界神の加護が付くので、戦闘不能になるとリスポーン位置は召喚者の近くでゲーム時間の3時間は戦闘参加不可になる。
せっかく見送りまでしてもらったのに直ぐに出戻りなんか恥ずかしくて出来ない。
慎重に進もう、慎重に⋯⋯⋯
でもここから他の人里の道、情報なくて分からなかったんだよねコレ。
⋯⋯⋯これから、サバイバル生活っ!?
はっ早く村でもいいから見つかって〜!




