写真を撮る意味
高校3年の終わり。僕は友人にどうしても写真を撮って欲しい所があるから来て欲しいといわれ、彼の最寄りの駅に着いた。
僕はカメラが趣味でよく風景を撮りに遠くまで足を運んだりしていた。最近撮った桜の写真が思った以上に上手く撮れたので、彼にその写真を見せた。すると彼はものすごくほめてくれて、私はそれが嬉しくて、他の時の写真もたくさん見せてしまった。
「あのさ、どうしても君に撮って欲しい所があるんだけど、いいかな?」
「もちろん、どこでも撮るよ」
とっさにその場の勢いで言ってしまったが、その後、何を撮って欲しいのか何回も聞いたが
「僕の家の近くにあるものだよ。それ以外は着いてからのお楽しみ」
と言って、何一つヒントさえ言ってくれなかった。
「あのさ、結局何1つヒントさえ言ってくれなかった。」
「そこだよ」
彼の指が指したところを見ると、それは大きな公園だった。その公園の中心には大きな桜の木があり、それを囲むようにたくさんの遊具が並んでいる。
「僕が小さい頃、ずっと遊んでいた公園なんだ」
「そうなんだ」
「でも、もうこの公園はもうすぐなくなるんだ。ほら、普通の公園に比べて大きいだろ。だから少し遠くに住んでる子供とかも来るんだよ。それで騒音がひどいって周りの人が文句を言って撤去されることになったんだよ。だから撮って欲しいんだ。この公園を。いいかな」
「もちろんだよ。どこから撮ろっか?」
私はその日初めて写真に残す意味を深く感じた。