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タイトルは未定って事で  作者: おいのすけ
第二章『ゼノギア篇』

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第九話【ゼノギア国の成り立ち】

「と言う訳だ。」


 前世が祖父だと主張する目の前に鎮座するこの国の国王は、疲れた表情を隠そうともせずに溜息を吐き、この国の現状を将に説明した。


「色々とツッコミ所が多過ぎるんだけど、爺ちゃんは、元は隣の国の貴族で、その時の国の王子の婚約者が前世の婆ちゃん、んで、色々あって今はこの国の国王の王妃で、爺ちゃんがこの国の国王になった経緯は、当時、爺ちゃんが生まれた隣の国とこの国が戦争をして、んで、その国王を爺ちゃんが始末して、武功によって爵位が上がって、結果この国を納める事になったと。んで、隣りの国とは現在友好的だけどガチでヤバい魔族が最近その勢力を上げてきてるから困ってると。」

「まぁ端的に言うとそうだ。」

「いや、色々って何さ…」

「当時、ワシは隣の国、ブルームというのだが、その国の第二王子の側近という立場だった。」

「一介の貴族が第二王子とは言え側近の立場になれてるのが…」

「あぁ、アレだ内政チートとか言うやつだ、前世の知識を使ってな、その、治水関係や食糧事情、衛生管理とか、まぁ、色々やらかした結果そうなった。」

「爺ちゃんの口から内政チートって言葉が出た事に驚くよ… で、それが何で隣国とは言え国王にまでなれんの?」

「今のブルーム国の国王が、その、元第二王子でな、ワシはその方の命を受けた結果だ。」

「何したらそうなんの?」

「うむ…当時、ワシ等はブルーム国の貴族学園に通っておってな…」

「もしかして… そこで一人の令嬢が王太子にちょっかい出して、んで王太子もその令嬢に入れあげた結果、ありもしない罪で当時の婚約者である婆ちゃんに公の場で、さも婆ちゃんを悪役令嬢かの様に婚約破棄を言い渡したとかじゃないよね…」

「む? ススム、お前エスパーか? まさにその通りじゃ、その令嬢、まぁシガレット元男爵の所令嬢なのだがな、魅了の魔法を使ってブルーム国を混乱に陥れようとしていた事を掴んでいたワシと第二王子は、その婚約破棄を言い渡した所で乗り込み、その令嬢を捕縛、暴れる元王太子に解呪を施したのだが、魅了されていたとはいえ今までの行動が帳消しにはなるまいという事で王位継承権を第二王子に譲ったのだ。」

「それで何でこの国と戦争になんの?」

「そのシガレット元男爵が、元この国の宰相と繋がっておった。しかも、シガレット元男爵令嬢が元この国の王の落胤だ。」

「うわぁ… って事は…」

「うむ、他国の王族を地下牢に入れるとは何事かと難癖つけられてな、戦になった。令嬢は良い戦争の言い訳に使われた感じだな。で、その戦争でも活躍しちゃったワシはこれ以上あげられる報奨が無いから、いっそゼノギアの国王にでもなってブルーム国との和平に力を注げと元王太子の婚約者と一緒にこの国に送り出されたのだ。」

「え、婆ちゃんオマケ扱い?」

「いや、第二王子はワシがローズ、あ、婆さんの今世の名前な、ローズの事を密かに慕っていると気付いてたみたいでな。まさか、ローズもワシの事を慕っているとは知らんかった。」

「前世夫婦で転生して異世界来てまで夫婦になるとか…」

「愛のなせる業だな。もっとも、前世も夫婦だったと気付いたのは結婚後、娘が産まれてからだな。」


 次々と投げ込まれる爆弾に将は処理が追いつかなくなって来たのか頭を抑えだす。



「ちょっと待って… え、子供いるの?」

「そりゃ居るよ愛し合っとる男と女、ひとつ屋根の下、何も起こらない訳がなかろ?」

「肉親の夜の事情とか聞きたくないよ…」

「夜も昼も朝だって。」

「止めて… 子供は一人?」

「うむ、アデリアと言う。今年14歳になるな。」

「その歳で俺の叔母さんって…」

「まぁこの世界ではススムの方が年上だし、腹違いの兄の様なものだと説明はする。」


 前世祖父で現国王のその言葉に将は驚愕を表す。


「まさか、俺が前世での肉親だと公表するつもり!?」

「ははは、そんな事をすれば民も臣下も混乱するわ、対外的には客人として、内々的には義理の息子として扱うと言う感じだな。ワシ等が前世での肉親だと知ってるのはワシとローズとアデリアのみと言う事にするさ。」

「その、アデリアは、大丈夫なのか? 色々と口を滑らせたりとか…」

「ワシ等の娘だぞ?」

「スゲェ説得力だわ。」


 そんな、この国の成り立ちと国王の事を話しているとカツカツカツカツとヒールの音が響いて来た。


「む、ローズが茶会から帰ってきたようだ。この足音は… おぅ… 怒ってるなぁ…」

「足音で分かるもん?」

「うむ。」


 そう零し溜息を吐くと同時に謁見の間の扉がバンッと開かれ、二人の女性が現れる。二人とも金色の長い髪を靡かせ、見るからに位が高いことを伺えるドレスを着こなしているが一人は無表情で、もう一人は目をキラキラと輝かせて居る。


「あー… ローズおかえり。」

「おかえり。ではありません!またあのアホがやらかしたそうではありませんか!」

「う、うむ、なので今回こそは邪神の傀儡の罪で処すつもりだ。対外的には爵位剥奪の上流刑だな。」

「それで、不幸にもこの世界に無理やり連れてこられた最後のおひとりは?」

「他の二人には会ったのか?」

「先程、アデリアが客室にお邪魔しておりました。見張りの兵がもう一人はここに居ると言っていたので来たのです!」

「お母様、お母様、お客様の前ですわ。」

「あら? そ、そうね。お恥ずかしい所をお見せして申し訳ありません異世界のお客様。私、そこの男の妻のローズと申します。」


 普通は位が上の者は下の者が名乗った後に名乗るものなのだが今回の件は自分達に非がある事を理解しているのだろう。王妃は自ら名乗り出た。


「ススム、紹介しよう。私の妻ローズと隣にいる天使がワシらのコチラの世界での娘アデリアだ。」

「確かに天使だ。アレは叔母さんと呼んじゃダメなやつだ。さっきの話、義兄って立場で宜しく。」


 そんな会話を始めた二人に下げた頭をあげ王の前に居る少年に目を向けると、ローズは固まってしまう。


「え、嘘… ススムちゃん?」

「その見た目でこう呼ぶのにすっげー抵抗あるけど… 久しぶり。婆ちゃん。」


 そう言って将はローズに向かって苦笑するとローズは国王同様その場に崩れ落ちた。


「お母様! 如何されたのです!?」

「アデリア、ワシ等が前世、こことは違う世界で生きていた事は教えたな。」

「は、はい… それがお母様のこの状態と関係が?」

「うむ、このススムだがな、前世のワシ等の孫だ。」

「え? え? ええぇぇえ!? で、では、私、この歳で、お、おば、叔母さ…」

「いやいや、流石にその御歳で叔母様は私にも抵抗がありますので… それに孫と言ってもあちらの世界の事なので。」

「そ、そうですよね。では…えっと…」

「あ、羽堂 将と申します。お目通りが叶いまして感激です。アデリア姫」


 そう言ってニッコリと微笑むとアデリアは顔を真っ赤にする。


「ローズ、俺は人が恋に落ちる瞬間ってのを初めて見たぞ。」

「私もよ、ま、ススムちゃんならアデリアも安心して任せられるし良いんじゃないかしら?」

「いや、爺ちゃん婆ちゃん、おかしいからね? 血は繋がってなくても俺にとっては可愛い妹みたいなもんだからね?」

「どうなるかは本人の意思だ。」

「そうね。アデリアの意思です。」


 そう言われ将はアデリアの方を見る。

 アデリアは頬を朱に染めチラチラと将を上目遣いで見ている。

 このままでは行けない方向に持っていかれそうだと感じた将は本題に入ろうと話題を変える。


「そう言えば、俺たちを呼んだのは魔族と戦う為って事だったけど、魔族って事は魔王みたいなんも居るの?」

「逃げたな… まぁ良い。時間はたっぷりある事だしな。魔王に関しては今の所居らん。居れば魔族達を宥めるよう交渉しておる。今の魔族は所謂トップの居ない暴走族の様な物だな。」

「何その、世紀末。」


 将の反応を聞き、国王はそう言えばと将の全身を見て質問する。


「世紀末と言うのならお前たちの格好だろう? 今の日本は核戦争でも起きた後なのか?暴力が支配する世界をTOUGH BOYがYouはSHOCKな感じで悪党共を指先一つでダウンする世界にでもなったのか?」


 そう言われて将は自分の格好を見てみると今の自分の格好は虎の刺繍がされた白の短ランにボンタンと言う、AWOの世界の装備そのままの格好だった。


「え? コレどゆこと?」

「さっきの、状況が良く理解出来とらんのに一国の主に不敬を働いて、本当なら斬首刑でもおかしくない、頭がちょっと残念そうな彼も派手な鎧を着ていたな。アレはススムの友達か?」

「いや、中学時代の元同級生だよ。」

「んじゃあの女の子は…」

「もう一人の女性はススムさまの好い人なのですか!?」


 続け様の質問を食い気味にアデリアが聞いてきた為、将は若干引きながらもそれを否定する。


「あの子も中学時代の同級生でそれ以上でも以下でもないよ。」

「そ、そうですか。」

「それよりも爺ちゃん、そろそろあの二人にも詳しい話しとかないとダメなんじゃね? 元の世界に帰れない事も含めて説明しとかないと。俺から説明すんの嫌だし…」

「そうだな。まぁ、魔族に関しては本当に困っているからな協力してくれるなら有難い。」

「いや、っても俺達普通の高校生だよ?」

「普通の高校生は魔法使いのような格好をしたり水色のフルプレートメイルを着たりはせんだろ? コスプレなら解るが、ま、それも含めて確認する方法はある。」


 そう言うと国王は椅子に付いているボタンを押す。すると、謁見の間に執事っぽい人物が入ってくる。


「客室に待たせている二人を呼んで来てくれ。丁重にな。」

「畏まりました。」


 そう返事をすると見本の様な礼をし謁見の間を去って行く執事。

 程なくして皇とメグミが再び謁見の間へとやって来る。

 将は皇のやる気に満ちた表情を見て、また面倒な事になりそうだと溜息を吐くのだった。


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