第四話【魔法乙女コラボイベント ~後編~】
初のお菓子の魔女との戦闘後も、将は学校を休んでひたすらイベントを走った。
メッセージウィンドウの文章からお菓子の魔女にエミが殺された場合は通常のテイムモンスター同様ロストすると考えた将、キャロールとファングを庇いつつ、殊更エミのフォローに全力を注いだ。
そして、イベントの2日目が終わろうとする頃、将は何とか気になるアイテムをキュベたんと交換する事が出来た。
「必要ジェム数100000個とか言う訳わかんねぇレートのアイテムだ、何よりこのアイテム、エミさんのマナジェムだよな。頼む! 俺の想像通りのアイテムであってくれ!」
そう願い、交換したアイテムである『ティーカップ形のジェム』の詳細を調べ、将はその内容に崩れ落ちた。
「運営さん、いや運営神、俺ゃこの世界をずっと愛し続けるよ…」
【ティーカップ形のジェム】
雅 エミを正式にパーティーに加入させるためのアイテム。
雅 エミの魔力が詰まった宝石。溜められた魔力がある限り、雅 エミが戦闘で死んでもロストしない。復活にはジェム内の保有魔力の20%を消費する。魔力は現実時間で24時間で10%溜まる。魔女変身の消費魔力は90%。尚、保有魔力が90%に満たない場合に魔女変身を行うと変身解除後雅 エミはロストしこのアイテムも消失する。
そんな内容のテキストを見て感動の余り泣き崩れた。
「エミさんが… 俺の…… お"れ"の"~…」
「改めまして。雅 エミよ。ご存知の通り魔法乙女よ。あ、皆には内緒よ?」
「た"ふ"ん"み"ん"な"し"っ"て"る"~!」
コレがリアルな人間ならドン引きだろうが、雅 エミはNPCキャラクターであり、カテゴリー的にはテイムモンスターという括りの為、将の限界オタクじみた反応にもキラキラの笑顔で握手を求めた。
しかし、そうはいかないのが他のプレイヤーだ。ココはボスフィールドでは無く一般的なフィールドである。つまり、今の将は他のプレイヤーにガン見されているのだ。
「おぃ… なんか見た目イケメンなのにヤバいやつ居んぞ?」
「うわ… なんかすっげぇ泣いてんだけど…」
「つか、ちょっと待て。アイツ雅エミ連れてね!?」
「似せたアバターのパーティープレイヤーだろ?だってエミさん、イベント始まると同時に死ぬし。」
「だ、だよな… え? じゃプレイヤー相手にあんな事してんの? 更にヤバくね?」
そんな声が周りから聞こえ始め、将もココがパブリックエリアである事を思い出し、何事もなかったかの様に涼しい顔で立ち上がるとエミのレベリングの為、一度街から出たのだった。
「っぶねぇっぶねぇ。嬉しさが天元突破しちまってたわ。説明から考えるにお菓子の魔女以外からは殺されてもジェムの保有魔力が必要量有ればエミさんはロストしないっぽいから、ここらでレベリングして、安全にイベント周回しますかね!次に狙うわ… エミさんの制服だ!」
今の雅エミの衣装は、所謂魔法乙女の戦闘服であり、雅エミの戦闘服は喫茶店の制服『アンナミラーズ(黄)』に酷似している。
将としてはその服も大好きなのだが、エミの通う学校の制服姿も大好きなのである。その制服が交換所にあるというのなら交換するしか無い。
「問題はあの制服をエミさんに装備させられるのかって事だよなぁ。人の見た目とは言え一応カテゴリー的にはテイム"モンスター"扱いな訳だし… そう言えば、もう1つ気になるアイテムをドロップしてたんだっけ? 1番最初のお菓子の魔女倒した時にドロップしたから、多分確定報酬なんだろうけど…」
そう言って将が取り出したのは『月のハンカチ』
アイテムのカテゴリーは装備品とあるのだが将は装備出来ず、じゃ誰の装備?となった為、今の今までストレージの肥やしになっていた。
「装備出来ない装備品って… レベルキャップ解放形式って感じでもないし…」
そう将が考え込んでいると、ふと、ファングがハンカチを興味深そうに見つめている事に気付く。
「そういや、EXシナリオの発見もファングがキッカケだったな… あっ!? そう言えばお菓子の魔女って元々エミさんの友達だった白銀 月が魔女化した奴だった! 確か月って白い犬飼ってた… だからイベント特効がシルバーウルフなのか… って事はコレはもしかして…」
そう零すと将はファングの首に月のハンカチをスカーフの様に巻いて結ぶ。
装備出来ない場合は、手を離した瞬間そのアイテムはストレージに自動収納されるのだが、ハンカチは収納される事無くファングの首に巻かれたままになっている。
「装備… 出来てる… ステータス!」
慌ててファングのステータス画面を確認するとHP等の数値を記載した欄の下に新しく
【装備品】
月光のバンダナ
が追加されていた。
「アイテム名変わっとる… いや、まぁ、ファングは月の飼ってた犬じゃないから仕方ねぇけど… なんだろ、この複雑な気持ち… 取り敢えず月には謝っとこう。ゴメンな月。」
その、月であるお菓子の魔女を散々殺しまくって居るのだが、将は手を合わせ空に向かって合掌し、気を取り直してエミのレベリングを始めるのであった。
その後、レベリングがある程度終わった将はめちゃくちゃお菓子の魔女をやった。
今回の前後編
色々とギリギリです。
だって好きなんだよマミさん…
いつか自分の小説に出したかったんだよ…
髪の色とか銃を剣にしてたりとか変えているから、きっと問題ない!
魔法少女じゃなくて魔法乙女だしな!
あ、雅エミさんのイメージCVは水橋かおりさんです(キリッ)