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タイトルは未定って事で  作者: おいのすけ
最終章【魔王アドラ篇】

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第二十二話【反乱?ただの我儘でしょ?】

「兵はどうした!?」

「そ、それが… いずれも目が覚めず、使用人も魔力抵抗の低い者は軒並み…」


 慌てた様子で執事であるスミスに、今目の前で起こっている現状を打破する為、兵士を展開しようと命じるも、スミスから帰ってきたのは城の兵士達が軒並み眠ってしまっているという回答だった。

 そんな状況で右往左往している間もゾンビや魔物、ならず者たちの集団が城に接近してくるのが見える。


「このままでは… スミス、ローズとアデリアは!?」

「アナタ! 何事ですか!?」

「お父様!」

「ローズ、アデリア。起きておったか。ビセスめが多数の兵を引き連れこの城に向かっておる。」

「反乱… ですか?」

「うむ、催眠魔法を使っておるのだろう、城の兵共は昏倒しておる様で応戦できぬ。それに街の方も騒ぎにはなっておらん所を見ると前もって計画しておったのであろう。大方、民が気付かぬ内に王位を奪い何事も無かったかのように政をするつもりなのであろうな。民がいなくては手に入る税もないからな。」

「その頭の回転をもっと別の事に使って頂きたかったですな…」

「まったくだ。という訳で奴らの催眠魔法はこの城まで包んで居る様でな、いつお主等に魔法の効果が出るともわからん。今のうちに逃げるのだ。」


 シューザがローズとアデリアだけでも逃げさせようとしたその時、外から大きな声でシューザ達に呼びかける声が聞こえた。


「シューザ! 貴様に預けていた玉座、返してもらいに来たぞ!」

「ビセスか!?」

「そうだ! この時をずっと待っていたのだ! ああ、王妃や姫を逃がそうとしても無駄だぞ? その城の脱出路は全て把握している。大人しく私に殺されるのだな! 貴様の血筋は今日この日に、根絶やしにしてくれる! そこで大人しく終わりの時を待っているがいい!」


 ビセスはそう言い放つと、正門を破壊し引き連れていた戦力をなだれ込ませる。

 決壊したダムの様に次々となだれ込んでくるゾンビや魔物、そしてならず者たちの群れ。

 その様を目にし恐怖を覚えたアデリアは耳に付けたカフスを握り必死に願う。


『(ススム様! 助けて下さいまし! お父様を! お母さまを! この国を!)』


 アデリアがそう願うと、呼びかけに反応した様にアデリアの付けて居たカフスが淡く光り出す。


「その願い… 叶えよう。」


 バサリと翻るマントの音。ぱちくりと瞬きをするアデリア。

 今アデリアの目の前には明らかに人間ではない者達の姿が数人映っている。

 両手にマチェットナイフを握った兎人の魔族。

 白銀の髪をオールバックにした筋肉質の狼人の男。

 全身をぼろの様なローブで包んだ骸骨。

 水色の長い髪を縦ロールにセットしたカフェの制服の様ないでたちの女性。

 そして悪魔の仮面をし、黒を基調とし金の刺繡がされた服を纏った、マントを羽織る人物。

 突然現れた異形の集団に、執事であるスミスは警戒するも、シューザがそれを制する。

 勿論ローズもアデリアも、突然現れた、明らかに人族ではない集団に言葉を失う。

 しかし、中央に立つ悪魔の仮面の男は、そんな事はお構いなしに引き連れた仲間に命令を下す。


「久々の戦闘だ、思い切りやれ。あぁ、聖騎士の男は残しておいてくれ。俺が殺る。行け。」

「「「「はっ…」」」」

 その言葉を聞くと仮面の男以外の姿が掻き消える。

 尚も警戒を解かずにいるスミスとローズ、アデリアは仮面の男を注視するが、シューザは一歩前に出ると仮面の男に気安げに話しかける。


「真打の登場には少し早すぎるのではないか?」

「俺もそう思ったが、襲撃者の中に見知った顔が居たもんでね。カフスの出番は次の機会にお預けだ。」

「次の機会など無いに越したことは無いのだがな。しかし、援軍恩にきる。魔王アドラ殿。」


 シューザの口から出た名前を、つい最近聞いた覚えのあったローズとアデリアはアドラと呼ばれた人物に視線を向けると。アドラは若干居心地が悪そうに仮面を外し恥ずかし気に挨拶をした。


「久しぶり婆ちゃん、アデリア。地獄の果てから、俺、参上! なんつって…」

「ススムちゃん!!」

「ススム様ぁ!!」


 飛びつくように抱き着いてくる二人を何とか抱き止め、安心させるように背中をポンポンと優しく叩くアドラを、スミスは鳩が豆鉄砲を食らったような顔で見つめる。


「まさか、ハドウ ススム様でございますか?」

「ああ、今はアドラと名乗り魔王をやっている。本当の所静観するつもりだったのだが、アチラ側に少々世話になった人間が居る様なのでね。いい機会だから借りを返しに来たのだ。」

「魔王… いえ、今は良いでしょう。借り、ですか?」

「あぁ、俺が羽堂 将だった頃に作らされた大きな借りだ。自分から返せる機会をくれたんだ。その機会を有効に活用したいと思ってね。」

「は、はぁ… しかし、コレは反乱です。小さいとはいえ、あれだけの数の戦力を相手に貴方様はほんの数人… 些か劣勢なのでは?」

「反乱? 面白い事を言う。 こんなモノは反乱とは言わんよ。 これは…… ただのガキの我儘さ。」


 アドラはスミスの質問にそう答えるとマント翻し歩き出す。

 その自信満々の姿に、将という人間を、とりわけ特別な職業(ジョブ)も持っていなかった、この世界ではありふれた人間である事を知っているスミスは彼が強がりを言っていると感じたが、最後に言い残した言葉と残した殺気で、今の彼は自分の知っているハドウ ススムではない事を痛感させられた。


本日の更新はここ迄となります。

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