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タイトルは未定って事で  作者: おいのすけ
第二章『ゼノギア篇』

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第十二話【ジョブの適正】

 再び謁見の間に集まった三人は目の前に鎮座する国王とその王妃、そして、その横に座る王女アデリアに視線を向ける。

 オホンと軽く咳払いをし国王は口を開く。


「先程は無様な姿を見せた。君らの様な歳若い者達を、我らの都合で呼んでしまった不甲斐なさに悲しくなってな…」


 等と当たり障りの無い言い訳を言い頭を下げた。


「改めて、ワシはこのゼノギア国の国王をしている。シューザ・ハドウ・ゼノギアだ。」

「この人の妃のローズ・ハドウ・ゼノギアです。」

「アデリア・ゼノギアと申しますわ。」


 国王と王妃の名前を聞き恵美が反応する。


「え? 羽堂?」

「ははは、驚くであろ? ワシもススムの名を聞いた時は驚いたわ。だから、ススムには残って貰ったのだがな。」


 前世で親族だった事は伏せる為に偶然と言う体で話を進める国王シューザ。


「先ずはそなた等に話さねばならん事がある。今回の召喚なのだが… この術式、異世界の精神、まぁ魂に近いか、そういった物をこちらの世界に通す為の道を作る術式であって、正しくは召喚術式では無いのだ。」

「え?どう言う事ですか?」

「うむ、分かり辛かったらすまぬがこのふたつの丸、これを1つはワシ等の世界、そしてもう一つをそなた等の世界だと思って欲しい。」


 シューザはそう言うと右手と左手を開き光の球体を魔法によって創り出す。


「ま、魔法… マジか…」

「そして、今回の術式はこの二つの世界に一方通行の道を作るだけの術式なのだ。だからこそ、元の世界に返す事が出来んのだ。」

「つ、つまり…」

「誰かを呼び寄せる魔法じゃないという事だ。陛下、では、我らは何故この世界に?」

「うむ、そもそもこの術式は禁忌術式になっておってな。その理由が古の神、今では邪神と呼ばれておるが、その邪神が残した術式なのだ。」

「邪神?」


 元の世界でも神という概念は有ったが存在するかしないかはその人その人で違う、しかし、この世界には明確に神が存在している事に驚く。


「うむ、この邪神がな、度々我ら人間で遊ぶのだ。時には他所の国を誑かし最終戦争を起こさせたり。魔族を煽って最終戦争を起こさせたりな。」

「成程、邪神だ。」

「うむ。そして、恐らく今回はそなた等が邪神の悪ふざけの駒に選ばれたのであろう。強大な力を送り込みこの世界のバランスを崩壊させ一度世界を滅亡させ新しく世界を作り直すと言った所か。」

「強大な力って。俺等、ただの学生だぜ?」

「ワシの常識ではただの学生はその様なフルプレートメイルは着ないのだか… ススムもそう言うのでな、そなた等の存在能力を鑑定させて貰おうと思っとる。そなた等を魔族と戦う戦力にする気は無いと言った手前言いにくいのだが、もし、対抗出来る程の力が有りそうであれば力を貸して欲しい。邪神の狙いに乗るのは癪ではあるが魔族に困っておるのは事実でな。」


 そうシューザは言うと苦虫を噛み潰した様な顔で頭を下げた。


「任せて下さいよ! この俺、皇 陸王が力になって見せます!」


 そう息巻いて返事する陸王。

 コイツはいきなり何を言い出すのかと思い陸王を伺い見ると視線の先にアデリアが居る事に気付いた。


「おお、そう言ってくれるか。では、今よりそなた等の潜在能力鑑定を行う。スリザリンを呼んで参れ。」

「はっ!」


 扉の前で待機していた兵士に人を呼ぶ命令を出すと、目当ての人物が来るまでに将は気になっていたことを質問する。


「陛下、その潜在能力鑑定と言うのはどの様な物なのでしょうか?」

「うむ、まぁアレだ、その人物がどのような才能を持ってるかを大凡の職業を当てはめてくれると言った物だな。例えば魔法が得意なら魔術師、薬品作りなどが得意なら錬金術師、そして、回復魔法が使える者は聖者と言った感じだ。」

「ず、随分と大雑把なのですね。」

「うむ、何か数値が出たりパラメータが表示されたりするものでは無い。」


 そんな話をしていると、謁見の間に一人の妖艶な女性が現れた。

 女性は大きな胸を主張するような胸が大きく開いた胸元と右サイドには腰までスリットの入ったローブを着、魔法使いのようなとんがり帽子をかぶっている。


「スリザリン、参りました。」

「うむ、彼等が此度こちらの世界に来てしまった者達なのだが潜在能力鑑定を頼んでも良いか?」

「勿論ですわ。」


 シューザの願いにスリザリンはニッコリと答え陸王の方を見る。

 スリザリンの魅惑のボディに陸王は舐めるように全身を見、ゴクリと唾を飲むがそんな事を気にした様子もなくスリザリンは鑑定を始める。


「あら、陛下、その方は聖騎士(パラディン)の適性がございますわ。ふふ、貴方、今後とも仲良くしてくださいましね。」

「は! はひ! コチラこそ宜しくお願いします!」

「ふふ、えっと隣の子は… あら、この子も凄いわ。陛下、彼女は聖者の適正がございます。」

「ほぅ、回復魔法の使い手か… して、ススムはどうだ?」

「今見ますわ… あぁ… コレは…」

「な、何だ? どうなのだ? ススムの適正は…」

「武闘家、ですわね。何処にでもいる、ありふれた、職業と言っていいのかも怪しい適性です。喧嘩が出来れば誰にでも見られる適性ですわね。」

「な… まことか?」


 将の鑑定結果を出したスリザリンは、つまらない男を見せられたと、あからさまに態度に表す。

 シューザも自分達の孫が、誰にでも、言わば赤子にすら見られる、ありふれた職業である事に驚きを隠せない。


「聖騎士様と聖者様のお力があれば、きっと魔族も何とかなりますわ。そっちの坊やは… ふふ… なんなら、私の夜の相手でもしてくれれば…」

「あはははははは! マジか将! 今まであんだけ偉そうな態度取ってたのになぁ!」

「す、皇くん、辞めなよ…」

「ま、何処にでもいる凡人くんは聖騎士である俺のパシリでもしてくれよ。なんてったって俺は聖騎士だからな!」


 国王の前だと言うのに、陸王は将の適性が自分より下だった事が、どうしようもなく嬉しくて抑えられなくなった。


「アデリアちゃん、全部この聖騎士である俺に任せてくれよ! そこの何処にでも居る(・・・・・・・)武闘家なんかより役に立つからさ!」

「皇くん! 失礼だよ!」

「嫉妬してんの? 大丈夫大丈夫、恵美もちゃんと俺が守ってやっからさ! 何せ俺は聖騎士だからなぁ!」

「楽しそうだな… 適性が解っただけで、まだ貴様は何も成していないだろうに。見ていて滑稽だぞ。」

「あれれ~? 将くんは悔しいのかな~?」

「くだらん。陛下、我々は今後どうすれば宜しいでしょうか?」


 陸王はもう話にならないと、存在を無かったことにし、将は話を進める事にした。


「う、うむ。先ずはそなた等の身分を証明する物を作ってもらう必要がある。城下町に冒険者ギルドという所がある。そこで冒険者登録をしてくれ。本当ならワシ等で身分を証明出来れば良いのだが、そういう訳にもいかんのだ。」

「畏まりました。では、その後は?」

「実戦にも慣れてもらう為、いくつかギルドの依頼を受けて欲しい。場合によっては遠征して貰う事もあるかもしれん。」

「畏まりました。当面はどちらに住めば宜しいでしょうか。」

「この城に滞在して貰う事になる。部屋はコチラで用意させよう。スミス案内を頼む。スリザリンもご苦労であった。ススム、お主は残る様に…」

「はっ…」


 執事の名前はスミスと言うようだ。スミスに連れられて謁見の間を去る陸王と恵美。

 恵美の心配するような視線を将は感じ、はぁ、とため息を吐く。

 扉が閉まり謁見の間にはシューザとローズ、アデリアと将だけが残った。

 僅かな沈黙の後、バキッという音が謁見の間に鳴り響く。

 音の正体は、ローズによってへし折られた扇子だった。


「あの無礼な男は何ですか? うちのススムちゃんにあの態度… 斬首しましょう。」

「ホントですわ! あの様にススム様をバカにして!」

「流石にワシもキレそうだったぞ… よく我慢したなススム。」

「我慢? はは、してないよ。俺はあのクズに関しては中学の時からキレてんだよ。いつか、それなりのお礼をするつもり。」

「そ、そうか…」

「だから余計な気は回さなくて良いよ。時が来たらちゃんと俺が落とし前をつけるから。」

「ススムがそう言うなら、ワシ等は何もせん。だが、困った時はいつでも言うのだぞ?」

「ありがとう爺ちゃん。」


 そう言ってニッコリと微笑むと、殺伐としていた場の空気が幾分か軽くなる。


「では、ギルド登録後は冒険者として活動して貰いつつ脅威度の高い魔族がいた場合はそこに派遣するという感じになる。心底嫌だろうが彼等とパーティーを組んで活動して欲しい。バラバラに動かれると、いざと言う時に困るからな。」

「心底嫌だけど解ったよ。ま、俺は俺に出来る事をするよ。」


 そう言う将の顔は本当に心底嫌そうな顔をしていた。


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