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タイトルは未定って事で  作者: おいのすけ
第二章『ゼノギア篇』

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第十話 【皇 陸王という男】

※この話には少々ムナクソ悪い表現が含まれるシーンが御座います。

ただ、後の展開の為にも必要な買いだと思いそのまま掲載いたします。

気分を害されます方には先に謝罪をさせて頂きます。

 謁見の間に再び戻ってきた二人。

 意気揚々と歩く男の名は皇 陸王(すめらぎ りくお)

 将と同様、今年で16になる高校生である。

 短く切りそろえた髪の毛をツンツンと立て、身長も180cmと高く、筋肉質でガタイもいい、見るからに体育会系の男だ。


 彼は中学の時に将と出会い、コイツは良い相棒になるなと直感で思ったのだが、コレが将と陸王の因縁の始まりであった。


 陸王は後ろの席に座った将に無邪気な笑顔で話しかける。


「俺、皇 陸王ってんだ。席も近いし仲良くしようぜ!」

「あ、あぁ。俺は羽堂 将だ。宜しく頼む。」

「ススムか!宜しくな!ススム!」


 初めての出会いから距離感が近すぎるとは感じていた将だったが、今まで歳の近い友人など居なかった為、友人と言うのはこれくらいの距離感が普通なのだろうと考え、差し出された手を握り返し握手をした。


 二人が通学していた中学校は特別な学校ではなく、一般人が普通に通う普通の中学校だった。

 初日からつるんでいた将と陸王は、その見た目からかなり目立っていた為、すぐに学校中の噂になった。

 方やクールなイケメン、方や長身のヤンチャ系。

 正反対に見える二人だった為、余計に目立つ事になり。

 その結果、将はモテた、そう、ウンザリするほどモテたのだ。

 しかし、恋愛事に興味が全くなく、その上色々と立て込んでいた将はその須らくをやんわりと断り続ける毎日を送っていた。


「相変わらずモテモテだなぁススム。」

「煩わしいだけだ。なまじ本気で来るから邪険にも出来ん。」

「よし!この陸王様がそんなススムの為に一肌脱ごうじゃねぇか!」

「いや、大丈夫だ。いずれ飽きるのを待つさ。」

「そう言うなって。お、それ、今日貰ったラブレターか?」


 そう言うと陸王は、ため息を吐きながらカバンに直そうとしていた手紙を将の手から奪う。


「おい、陸王、辞めろ。」

「えーっと何なに? 『伝えたい事があります。放課後第二体育館の裏で待ってます。』行くのか?」

「はぁ… 辞めろと言ったのに… 行かん、行けば一瞬でも期待させてしまうし、その後の落胆した顔は見ていて気持ちの良い物じゃない。だったら行かずに期待させん方が良いだろう。」

「へぇ… 行かねぇんだな?」

「行かん。それに俺は外せん用事があるからな。直ぐに帰らなければならん。では、失礼する。」

「おぅ。じゃあなぁ~」


 その時の陸王の顔に、何か妙な物を感じたが将はそのまま帰る事にした。


 陸王は将の手紙にあった待ち合わせ場所の第二体育館の裏に行くと、そこには艶のある黒髪をポニーテールで結んだ。中学生にしてはスタイルの整った、美少女と言っても過言ではない女子が下を俯き緊張した面持ちで立っていた。


「(ありゃ、副生徒会長の杉浦 瑞希じゃねぇか! うっひょー、やっぱ将に告白しようとする奴等はレベル高ぇなぁ!)」


 そう、感想を頭の中で叫び、陸王は少女に気付かれない様に背後から忍び寄ると準備していたハンカチで口を塞ぐ

 突然背後から襲われた女子生徒は悲鳴をあげようとするがハンカチが噛まされている為声を出せずパニックになる。

 その隙に女子生徒の両手をロープで縛ると女子生徒の胸に手を伸ばし乱暴に揉み始める。


「おぉ…やぁわらけぇ… 杉浦さん、良いモン持ってんじゃん?」

「んん~っ! んんんんっ~!」

「ススムなら来ねぇよ。今日は用事があるんだとさ。だから、ゆっくり味わわせて貰うわ。副生徒会長のカ・ラ・ダ。」


 涙を流し助けを求めるも、陸王の両手でがっしりと捕まっており身動きが取れない為、ただイヤイヤと首を横に振る事しか出来ない。


「だいじょぶ、だいじょぶ♬︎ちゃんとゴムはするからさ。んじゃイタダキマ~ス♬︎」

「んん~っ!」


 陸王は自分が満足するまで女子生徒に乱暴する。

 一通り楽しんだ陸王は乱れた制服を整え今なお泣き続ける女子生徒に、吐き捨てる様にトドメの言葉を言う。


「とても、気持ち良かったです!ゴチでした! あ、誰かにこの事チクったら、今の行為の動画、副生徒会長だってわかる所だけ上手く編集してばら撒くんで、そこんとこ宜しく~。」


 そう言い捨てると鼻歌交じりで陸王はその場を後にした。

 そして、コレに味をしめたのか、その後も将に好意を寄せる女子生徒の中に好みの女子が居ると、陸王は同じやり方で女子生徒を食い物にしていた。

 そんなある日、また、将の目の前に一人の女子生徒が立っていた。

 その女子生徒は今から告白するのであろう、決意に満ちた表情で将を見つめている。


「羽堂くん! あの、その…」

「えっと、ゴメン、今日も急ぎの用事があるから…」

「待って! 言う、言うから!」

「(マジかよ… この子まで… メグミまで将が良いのかよ! )」


 今まさに将に告白しようとしているのは、もう一人の異世界転移者である『聖 恵美(ひじり めぐみ)』だった。


「 ( メグミは俺がマジで狙ってる子だぞ! クソ! ) 」

「私! 将くんの事が好きです!」

「 ( がああああ! 言いやがったあああ! 俺の、俺のメグミなのに! ) 」

「えっと、今、とょっと色々と忙しくて恋愛とか出来る様な状況じゃないんだ… 本当にゴメン」


 そう言って将は申し訳なさそうに頭を下げ、メグミの隣を通り過ぎて行く。

 実はこの時、将の尊敬し大好きだった祖父である正蔵が亡くなったばかりだった為、将は色々と余裕が無かったのだが、陸王は自分の狙っていた本命を取られたという気持ちで将が憎くなりその後ろ姿をずっと睨んでいた。


 翌日、将が学校に行き教室に行くとクラスの皆が将を軽蔑の眼差しで見てきた。


「? お、おはよう。」


 その視線に疑問を感じたがいつもの様に挨拶をし席に座ろうとした時、陸王が走りよりその勢いのまま将の頬を殴った。

 何が起こったのか解らず、そして殴られた痛みでパニックになって唖然と陸王を見ると、陸王は将を鬼のような形相で睨み声を上げた。


「見損なったぞ!ススム! テメェ! 相手の気持ちを利用して、告白してきた女子全員を襲ってたらしいじゃねぇか!」

「なっ!? っ!」


 身に覚えの無い事に将は反論しようとするが、殴られた痛みで上手く喋れない。

 そんな将に、なおも畳み掛ける陸王。


「しかも、テメェ、動画まで撮って口止めするとか! そんな奴を親友だと思ってた自分にムカつくぜ!」

「し、知らな…」

「嘘つくんじゃねぇ! 俺は昨日、とある女子から泣きながら相談されたんだ!誰にとかはその子の名誉の為にも言えねぇけどな!」

「ほ、ホントに知らない!」

「嘘つけ!」


 そう叫んで陸王は将のカバンに手を伸ばしカバンの中に手を突っ込むと一枚のメモリーカードを取り出した。


「コレか!」

「そんなもの知らない! 俺はメモリーカードなんて使わない! データは全部クラウドに保存してるんだ! だからメモリーカードなんか必要無いからソレは俺のじゃない!」

「じゃあなんでお前のカバンから出てくんだ!?」


 将の反論を聞く耳持たず、陸王は自分の携帯端末にメモリーカードを差し込み保存されたデータを見ると誰にも見られないようニヤリと笑い、将に画面を見せる。


「コレが証拠だ。撮ってんじゃねぇか!」

「違う! 俺は知らない!」

「マジか… ガセだと思ってたのにホント撮ってんのかよ…」

「羽堂くん… そんな事しないって信じてたのに…」

「幻滅~…」

「違う! ホントに! ホントに知らない!」

「次のターゲットは聖か!? もう、お前の好きにはさせねぇ!聖は… メグミは俺が守る!」

「陸王!そんなクズやっちまえ!」

「大体、ちょっとモテるからって調子に乗っててムカついてたんだ!」


 周りの生徒も騒ぎ出し将を叩きのめせと、はやし立て始めたそんな時、教室に教師がやって来る。


「コレは何の騒ぎ!?」

「先生!羽堂が女子に酷い事してやがったんです!」

「えぇ!?どう言う事!?」

「先生… 羽堂くん… 放課後に告白してきた女子に… あの… 酷い事を…」


 騒ぎ立てる男子生徒や女子生徒の声を聞くと教師はバンッと名簿を教卓に叩き付け静まらせる。


「ソレはホントに羽堂がやったの?」

「証拠があります。将のカバンから女子に乱暴を働いた時の動画を保存したメモリーカードが出てきました。」

「貸して。観るよ?」


 担任は女性だった為、生徒は皆こくりと頷く。

 教師は音量を消し誰の目にも入らぬように動画を再生するも数秒もせず動画を停止し画面を消した。


「確かにコレは立派な婦女暴行の証拠ね。」

「やっぱり、羽堂、テメェ!」

「でも! 合わせて羽堂の無実を証明する証拠でもあるわ。」

「えっ!?」

「どういう事ですか先生!? ソレは羽堂くんのカバンから出てきたんですよ!?」

「大方、真犯人に罪を擦り付けられたんでしょうね。この動画の撮影時間と日付、そして、コレは第二体育館裏かしら? その場所は、その日、その時間、羽堂はその場所には居る筈が無いのよ。」


 断定する教師に陸王は焦った様に質問する。


「ど、どういう事ですか?」

「羽堂、言うわよ? 言わなきゃ羽堂の無実は証明されないわ…」

「は、い…」

「実は2ヶ月前に羽堂のお爺さんが亡くなったの。羽堂のお爺さんは、あの、羽堂財閥の会長。葬式や通夜等は終わったけどその他の様々な処理が有り、羽堂はその処理等の為、学校が終われば直ぐに帰らなければならない状況だった。今もまだ終わっていないのよね?」

「は… い。父と母だけ… では、処理… できない物も… 多く… 私も深く関わる… 事の為、雑事にかまけている… 暇など… ありません…」

「と、いう事よ。日本有数の大財閥の会長の死、そして、羽堂はその孫。本当ならこんな庶民の学校に来るような人物では無いの。故に騒ぎになっては色々と支障があると言う事で、この事は教師陣と羽堂の関係者しか知らないわ。こんな事さえ無ければ、皆が卒業するまで誰の生徒の耳にも入らない事だったでしょうね。」


 教師からの証言にクラスの生徒達はシンと黙り込む。

 陸王も、まさかアリバイを教師によって立証されるとは思ってなかった為、作戦は失敗だと観念し、証拠のメモリーカードに自分と結びつく物が無い事に安堵し口を開く。


「な、なんだよ。んじゃ、俺は真犯人に踊らされて親友を殴っちまったのかよ…」

「俺達も… 羽堂を犯人だって決めつけちまったな…」

「は、羽堂くん… ゴメンね…」

「でも、陸王は被害者から羽堂がやったって言われたんだろ?」

「あ、いや、目隠しをされたらしくて、ススムとは言ってなかった。ただ、待ち合わせの場所を知ってんのはススムだけだから多分って…」


 皆の先程迄とは正反対の態度と陸王の言葉に将はハハッっと乾いた笑いを零す。


「っつ… 待ち合わせ場所を知ってるのは俺だけね… そうかよ… 今回の事はいい教訓になりました。他人はどこまでいっても他人、信用してはダメだと。この心と身体の痛みは授業料だと思うようにします。」

「羽堂…」

「先生も無実を証明して下さり、感謝致します。真犯人に関しては、私も巻き込まれてますので、探そうとすればそれだけでスキャンダルになります。なので、捜索等は結構です。見つかった所で少年法により罰する事は出来ないでしょうし。被害者の方に関しては可哀想では有りますが、私に関わった故に起こった事だと涙を飲んで頂けますと嬉しいです。もし被害者の方が解りましたら私の方に連絡下さい。僅かばかりですがお悔やみの物を送らせて頂きます。私にはこの程度の事しか出来ない事を合わせて謝罪していたとお伝え下さい。」

「羽堂…」

「明日より、学業カリキュラムは全てリモートで受けさせて頂きます。一応中学迄は義務教育ですからね。ただ、二度とこの学校には来ません。父にもその様に報告致します。」

「仕方ありません… 大変申し訳ありませんでした。」

「いえ、貴女のお陰で下らない罪を被る事を防げたのです。言わば貴女は恩人です。何かお困り事があればいつでもご連絡下さい。私の全力でお助け致します。」

「ススムさん、ありがとうございます。」


 とても教師と一生徒のやり取りではない事にクラスの生徒が黙り込んでいると、将はそんなクラスの生徒を見回すように流し見、言葉を続けた。


「貴方方のやった事は無実の人間を囲み集団リンチをすると言う、立派な暴力です。私は、俺は、絶対に、忘れない!貴様らは須らく、俺の、敵だ!」

「ス、ススム…」

「ん? あぁ貴様、俺を思いっきり殴ってくれたな、コレで満足か? だが、覚えておけ… 一回は… 一回だ。俺はこの痛みを忘れん… 絶対に。いずれ、利子を付けて返してやる。楽しみにしていろ。」


 そう言って、将は学校を後にした。

 そんな過去があるにも関わらず陸王は将にまた絡み、今、意気揚々と謁見の間を進んでいる。

 将はそんな陸王を殺意の籠った眼差しで見るのだった。


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