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尚も、女子大生はドラキュリアン伯爵を脅迫してくる。
「いい?警察に突き出されたくなかったら私のいう事に従いなさい?」
「吾輩にとれば、そんな輩はどうでも良い、相手にもならん」
そう一蹴する。
「血はあげられないけれど、生レバーならスーパーで買ってあげる」
意外とうまいではないか。
むっしゃむしゃ食べると、ドラキュリアン伯爵の空腹が満たされる。
同時刻、警視庁は揉めている。
目標を見失ったのだ、それも危険な怪物を。
上役だけが集まり会議をしているのだ。
「どうする?面倒な事になったぞ」
「しかし、このままでは……」
上司が上役に報告している。
「吸血鬼を取り逃がしました、申し訳ありません」
そう鬼のように緊張した形相で報告している。
「何を言っているんだ?君は、そんなものをがいるわけないではないか」
そう、上役は知らないふりをするんだもんね作戦に出てきたのだ。
更に上司の上役の上官に至っては、
「君~、集団でおかしな夢でも見てたんじゃないの?そうでしょ?」
そう上役に伝え、伝言ゲームのように上役から上司に伝わってくる。
糸電話のほうがよほど早いのに。
こうして、見事な華麗なる連携スルーをされることでドラキュリアン伯爵は自由を勝ち取っている。
けれど、警察とて馬鹿ではないのだ。
密かにドラキュリアン伯爵をGPSを使い、空から監視をしていく事で合意しているのだ。
市民に危害を加えたら、即刻麻酔銃を撃たれ掴まる可能性もある。
そして、かつ丼付きの取り調べが待っている。
警察からしたら頭の痛い話だ。
どうか、このまま平和に自国へと帰ってくれますように。
そう願う一同。
その期待を見事に裏切り、今日も闇夜に紛れ元気に華麗な淑女を求め彷徨う
ドラキュリアン伯爵の姿がある。
「なはははははは、待たせたな、麗しの乙女よ。
我が名はドラキュリアン伯爵だ。さぁ、血を頂こうか」
そう言って夜道に現れる変態の噂が警察に届かない日はない。




