第3話 十円玉と缶ドロップ
お金の価値を問うてみたい…
令和2年4月12日(日)曇り
親愛なる読者様へ
最近、嫌やなニュースばかりでへとへとになりますねえ。コロナウイルスが、早く無くなって普段の生活に戻れたら良いのに、と思います。
あなたは、大病してはいませんか?不調になってから、健康であることの有り難みを感じてしまいますよね。また、お時間ある時にでも、あなたのことを教えてくださればありがたいな。
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「ねえ、真白や。僕に、お賽銭を持ってきてよ。」
僕は、僕の周りにずっと付き従ってくれる真白の使い達に頼んでみた。真白の子達は、その願いを聞くやいなや、サッと僕の前から居なくなった。
「主さま!持ってきましたよ!」白い布の袋から、小銭と数枚のお札がじゃらじゃらと出てきた。
「ありがとう。」そう礼を言いながら、僕は「千円」と書かれた紙を1枚摘み上げる。
「人の子達は、これに人生を左右されるんだね?」
「作用でございますとも。ですから、これらを多く欲しいと頼む人が沢山おります故、我らも誰に多く渡せば良いのか思案に暮れてございます。」
真白の子達の金色の瞳が怪しく輝いた。
「逆に、欲深きモノへお罰を与える、良い基準にもなりますがね…。さあさあ、そんなものにいつまでもお手に触れておりますと、汚れが移ってはいけませんからね。早く、お手を離してくださいまし。」
賽銭の小銭や札には、大なり小なり黒い邪気が染み付いている。金は、天下の回りもの。特に小銭がそうだった。鬼灯の目にも、賽銭から立ち上る黒い煙りのようなモノが見えた。
鬼灯は、千円札を興味無さ気にハラりと落とし、敢えてより黒い煙りを上げている1枚の十円玉を手に取った。そして、パクりと口に放り込んだ。周囲から、キャアと悲鳴が上がる。
(蛍の墓に居た、セツ子がおはじきを舐める時を思い出しただけなんだけどなあ。)
「早く、吐き出しなさい!そんなモノまで浄化する必要はございません!」との真白の子達の願いを無視して、モゴモゴと十円玉を口の中で動かす。鉄の味と、それからこの十円玉がここに行き着くまでの経緯が走馬灯の如く流れてきた。
ぺっと十円玉を口から吐き出すと、真白の子達が柔らかくした和紙で唾液を拭いとる。見た目には汚れてしまったが、その賽銭は他のどの賽銭よりも清められていた。