第2話 優しいお顔
優しい顔から紡がれる事の葉とは…
令和2年4月11日(土)晴
読者のみなさん、こんにちは!桜が大分散ってしまった様で、葉桜が垣間見える時期になりましたね!あなたは、どんな桜が好きですか?満開がやっぱりお好きでしょうか?私は、どんな桜も等しく綺麗なモノでして…。感想欄とかで、よかったらまた教えて下さい!雨上がりの桜の木、花弁は散ってしまうけれども、清められた大気の中に生える薄桃色をした絨毯がすきですよ。
僕は白い経帷子をきている。こちらの国に住うものは、皆外の着物とは逆向きにきている。ただそれだけなのに、すごく悲しくて悲しくて。どうして僕は人になれないの?そもそも僕は人なの?
愛おしい人の子様、お願いだ僕に教えてくれないか。だって僕は生まれてこの方、鬼子としか言われてないんだ。ツノは生えてないし、牛の尻尾だってない。のに、実は自分がそう思っているだけで、本当はもうすでに人外のモノと化したのだろうか。
「ねえ、件。あなたは、人の顔をして生まれてくるんでしょう?僕はちゃんと人の身体をしているだろうか。」
僕は、近くに住んでいる件の元へ赴き、聞いてみることにした。ここに住むモノ達は、殆どが人の顔や形を為していない。件は、知り合いの中でも人の形に近い存在なのだ。
当然ながら、件は返事をしなかった。優しそうな二重の瞳で、こちらをじっと見つめるばかりである。
「あなたが、何か話してくれたら良いのに。そうしたら、僕は人の子の声を聞くことができるのに。でも、仕方ないよね?だってあなたは、声を発すると死んでしまうというじゃないか。だから、話せないのが仕方ないのは、分かってるんだ。そうだよね、仕方ないよね。」
(鬼の愛子が言うならば、私はいくらでも話しましょう。でも、私が話せば、それは現実に変わってしまう。そして、それはあなたにとって良くない話だわ。私だって、あなたとお話ししたい。それで、自分が死んでしまっても良いくらい。けれども、それはあなたの為にならないことなのだわ。私は、寂しい。そして、悲しくもある。私の大切な友人の最後を知っていますからね…)
件の瞳から涙がぽろり、と落ちた。顔は人の子ながら、身体は牛であるから、自分で涙を拭くこともできない。鬼灯は、慌てた様子で自分の手拭を取り、彼女の涙を拭い取った。
「大丈夫?件の姉さんは、いつもこうして涙するよねえ?何か、嫌なことでもあったの?」
(優しい我らが鬼子よ。私はね、あなたの身の上を思い泣いているのよ?お願いだから、もっと自分を大切にして頂戴な。)